おしりのはなし
外科 河合 宏美
(緑のひろば 2014年7月号掲載)
「おいしくご飯が食べられて、気持ちよく排便ができる。」
幸せな毎日が過ごせるということは、こんな当たり前のことを普通にできることなのかもしれません。
普通にできない原因には、もしかすると重大な病気や問題があるからかもしれません。おしりとか、排便とかいうと、見せるのも話すのも恥ずかしいので、ひとり黙って悩まれている方も多いと思います。
・・・でも、こんな症状がある時には受診してください。
- 便が出にくい…口から肛門までは一本道です。そのどこかに通過を邪魔するものがあっても、出口や腸の動きに問題があっても、便が出にくくなる可能性があります。
ただの便秘が原因とは限りません。大腸がんがないかどうか、調べる必要があります。 - 排便のときに血がでる…痔の出血だと思っていたら、大腸(直腸)からの出血だったということもよくあります。腸の炎症や腫瘍が原因で出血していることもあります。
便秘と下痢を繰り返す…大腸の働きの問題、または、憩室など腸の性質の問題のほか、大腸がんによる症状の可能性があります。 - 便が細い…出口(肛門)が狭くなっているなどの問題、もしくは大腸がんの可能性があります。
- 痔がある…どの部位にできた痔なのか、原因は何かによって、治療法が変わってきます。生活習慣で注意することによって改善することもあります。
痔は大きく3種類に分けられます。
- いぼ痔(内痔核・外痔核):一番多い痔のタイプで、血管がコブ状に膨れたものです。痛みの有無は、できた位置によります。
- あな痔(痔瘻):肛門周囲から細菌が感染し、膿のたまりをつくり、膿が皮膚に出てきたものです。
- 切れ痔(裂肛):排便の刺激により肛門付近が切れたり裂けたりしたものです。便秘が原因であることが多いようです。
一番多いのがいぼ痔ですが、実は女性にも、出産や立ち仕事などが原因でいぼ痔のある方が多いのです。
治療法には、外用薬、注射や輪ゴムで血管をつぶす方法、手術など病状によって異なります。外来で、麻酔をせずにできる処置の方法もあります。病院に来たら、いきなり手術をしなければならないということにはなりません。診察して、相談しながら治療方法を決めていきます。痔について詳しく書きましたが、痔以外の可能性もあります。他の疾患が見つかった時には適切な検査、治療をいたします。
いずれにしても、上記のような症状があるときには、診察、検査を受けたほうが良いことは確かです。
便秘や痔は実は女性にも多く、恥ずかしくて受診できないという声もよく聞かれます。どの科にかかればよいのかわからないという声もよく聞かれます。
この度、スタッフ全て女性が対応する、女性のための「レディースケア外来」を開設いたしました。排便を含めたおしりの諸症状について、お悩みになっていらっしゃる方のお力になれれば幸いです。
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