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病気のはなし

足のむくみ(下腿浮腫)の原因と対策-本当は〇〇科でもみるほうが良い

2023年5月

部長 鑑 慎司

足がむくむ原因はさまざまであり、時には重大な病気が潜んでいることがあります。足のむくみの原因となるものを以下に列挙します。

心不全
循環器内科でみる病気です。体重が急に増えたり、呼吸が苦しくなったりします。水分制限、食事の塩分摂取量の制限、医師の指示による運動、体重管理、薬物治療などを行います。

 

甲状腺の病気
甲状腺機能低下症でも甲状腺機能亢進症でも下腿浮腫は起こりえます。当院では主に糖尿病・内分泌内科でみる病気です。薬物治療を行います。

 

下肢静脈瘤
軽症ならば弾性ストッキングや弾性包帯などで足背や下腿を圧迫します。痛みが強い、しびれが強い、あるいは皮膚の傷がなかなか治らないという場合はレーザー治療や手術をすることがあります。

 

深部静脈血栓症
片足だけむくむ、痛みが強いなどの特徴があります。血液検査でD-dimerが高いときに、下肢静脈超音波検査や下肢の造影CT撮影で評価します。血栓がふくらはぎにあれば抗凝固薬の内服で対処しますが、血栓が骨盤内や太ももにあれば循環器内科でみてもらいます。

 

ベーカーのう腫
膝の裏側が腫れてきます。原因は変形性膝関節症、関節リウマチ、過剰な運動などがあります。大きくなると膝の動かしにくさ、痛みやしびれが出ることがありますので整形外科で穿刺してもらうこともあります。

 

肝臓の病気
肝硬変や肝不全などにより肝臓でたんぱく質が作られなくなると足がむくんできます。当院では肝胆膵内科でみますが、消化器内科でみる医療機関もあります。

 

腎臓の病気
腎臓からたんぱく質が漏出する、あるいは体内の水分を排出できないという理由で足がむくみます。血圧を下げる薬、塩分制限、たんぱく制限などで治療します。

 

低栄養状態
食事が十分にとれない場合、または腸や腎臓からたんぱくが漏れる病気でも足がむくんできます。

 

糖尿病
糖尿病でも腎臓は悪くなりますので、足がむくむことがあります。食事療法、運動療法、内服薬や注射薬による治療などを行います。

 

運動不足・筋力低下
下腿の筋肉は心臓に血液を送る作用がありますので、運動不足や筋力低下は足がむくむ原因となります。

 

肥満
患者さんに面と向かって申し上げにくいのですが、肥満も足がむくむ原因です。当院では高度肥満症の患者さんを対象に腹腔鏡下スリーブ状胃切除術を実施しています。

 

姿勢の問題
立ちっぱなし、足を下ろして座りっぱなしだと足がむくみやすくなります。横になって寝るときは少し足を高くして寝る、座るときはおしりと同じ高さまで足を上げて座るといった工夫をするとよいでしょう。

 

蜂窩織炎
皮膚や皮下脂肪の細菌感染症です。足が腫れたり、赤くなったり、熱を持ったり、痛くなったりします。軽症ならば抗生物質や鎮痛薬の飲み薬および安静で治療できますが、重症だと皮膚科で入院加療をすることもあります。

 

うっ滞性皮膚炎・硬化性脂肪織炎
皮膚が赤くなったり茶色くなったり硬くなったりします。皮膚に繰り返し傷ができることもあります。蜂窩織炎と紛らわしい場合もあります。ステロイド剤を塗る、弾性包帯や弾性ストッキングなどで圧迫するなどの治療法があります。

 

リンパ浮腫
鼠径部のリンパ節を手術で取り除くとできやすくなります。形成外科でリンパシンチグラフィーという検査をしてから、リンパ管静脈吻合術という手術をすることもあります。保険外診療になりますが、当院ではリンパ浮腫外来にて、ご家庭での圧迫法の指導やマッサージを受けられます。

 

薬剤性
カルシウムチャネル拮抗薬、ピオグリタゾン、非ステロイド系抗炎症薬、ホルモン剤、甘草、プレガバリン、ミロガバリンなどは副作用として浮腫が起こりえますので、これらの薬を中止することで足のむくみが治ることも時にはあります。ただし薬を止める前にその薬を処方した医師に相談しましょう。

 

複合性局所疼痛症候群
外傷後に発生することが多い、末梢神経が傷害されることで起こる病気です。焼けつくような痛みやうずくような痛み、知覚過敏などが生じます。

 

月経前症候群 (PMS)
PMSはPremenstrual Syndrome の略称であり、生理3~10日位前からおこる、さまざまな精神的・身体的な不調のことです。つらいときは産婦人科でみてもらいましょう。

 

腫瘍
腹部や骨盤内の腫瘍により静脈やリンパの流れが妨げられることで足が腫れることもあります。通常片方の足が腫れます。CT撮影やMRI撮影などで診断します。

 

皮下血種、筋層内血種
急に痛みを伴って足が腫れた場合、皮下や筋肉内に出血していることがあります。外傷後に出現することが比較的多いです。超音波検査で診断し、必要であれば針を刺して溜まった血液を吸引します。

 

原因不明
どんなに詳しく検査をしても、どうしても原因が見つからないことが結構あります。

対処法

原因が何であれ、圧迫することは有用です。弾性包帯や弾性ストッキングは効果が高い反面、着用に手間がかかります。効果には限りがあるけれども着脱が容易な着圧ストッキングを皮膚科外来にて実費でお渡しすることもできます。薬局やドラッグストアで市販されているものを購入してもよいでしょう。
また、足がむくんでいるとすねや足の甲に水ぶくれができやすく、それらが破けて傷ができます。それらの傷の手当ても皮膚科外来で実施しています。ご自宅で圧迫や傷の手当てが困難な場合は、訪問看護を検討することもあります。

詳しくはこちらの診療科にて

皮膚科

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