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病気のはなし

最近の薬の話。 薬が多くなる循環器系疾患(前編)

2022年7月

部長 伊藤 敦彦

血圧、高脂血症、糖尿病、血栓予防、心不全予防、心筋保護、胃薬、眠剤…循環器内科から処方される薬は、多くなるのが、最近の常になってきました。決して出したくて出しているわけではありません。患者さんの今後のために薬剤は必要だからであります。
心血管病に係わる疾患の基本は成人病対策。特に、喫煙、食生活、運動などが重要です。遺伝的要素ももちろんありますが、それに加えて、毎日のことが影響します。毎日のことをしっかり行っている方、できていない方、みなさんそれぞれかと思います。いずれにせよ、毎日行うべきことがしっかりできていてもデータが改善しない、そのような方が多いかと思われます。それを助けてくれるのが薬と考えて、まずは飲むようにすべきです。循環器系で処方される薬は、急性期に必要なものもありますが、慢性期に必要性の高い薬が多くなっているのが現状です。エビデンスといいますが、大規模な試験を行った結果をもとにガイドラインという、こうした方がいいというものが決められます。長期的な薬はそれに則して各医師が薬剤を検討しております。

1.血圧の薬

大切なこと:その後ろにある重大な心血管疾患にならないように

現在、120/mmHg超えると正常高値、130/mmHg超えると高値血圧となります。正常血圧は120/ mmHg以下です。薬を飲んでよくなったから止めようとしてしまう方がおられます。しかし、止めるとまた血圧は高くなり戻ってしまうことが多いです。血圧の薬は、血管拡張に関わるホルモンなど各種作用機序を介して降圧します。数種類飲んでいる方はそれぞれ違った作用機序を使って降圧しようと主治医はしております。
血圧を下げる最大の意味は、その後ろにあるもっと大きな生命に関わる心血管病、すなわち、脳卒中、大動脈瘤、心筋梗塞、狭心症、心不全…と、病気に直接的に関わります。その予防から考えて、“血圧はこのくらい”と目標を立てています。いまや、120/台が目標になりました。
腎臓で作られるホルモンにレニン、アルドステロン系があります。心血管病予防に関わりが深いため、そこに作用する薬をよく使います。ACE阻害薬やARBと言われる系統で、レニベース、オルメサルタン、アジルサルタン、テルミサルタン、エンレストなどの薬があります。MRAの薬ではミネブロなど。降圧の強では、カルシウム拮抗薬のアムロジピン、ニフェジピン…など。脈や緊張を抑えてというとβ遮断薬のビソプロロール…など。そのほかにもα1遮断薬のカルデナリン、降圧利尿薬として、フルイトランなどがあります。このように多彩な薬剤をうまく組み合わせて降圧しております。

2.高脂血症の薬

大切なこと:動脈硬化対策。血管が詰まる病気にならないように

基本は食生活で、卵を減らすことは話に出ますが、遺伝的要素が大きく、薬剤使用に至る人が多いのも高血圧同様です。アトルバスタチン、ロスバスタチン…スタチン系と言われる薬をまず使用しますが、内服後、筋肉症状がでる方が観られることがあります。狭心症や心筋梗塞でステント治療されたような患者さんはLDL70とかなり厳しくコントロールするために、スタチン増量、コレステロール再吸収抑制のゼチーアを使用したりします。家族性の強い方は、PCSK9阻害薬:レパーサという注射も使用します。なぜ、そこまで下げようとするのか?というと、一度そのように狭窄するような状況になった患者さんは2回目、3回目と繰り返すからです。健診含め最近は早期に対応して下げることが多くなりましたが、年齢や喫煙、糖尿病などその他の要因が重なってくるほど、血管は硬くもろくなって、狭窄、石灰化なども起こし、厄介になります。

循環器疾患に対しての基本は、生活習慣に関わることをしっかり行うことですが、なかなかできないのも“人”というものです。一生懸命やっていても、遺伝的な要素や環境要素が加わります。うまくいかないところを補うのが薬ですし、また、根本から治してくれるものはありません。生活習慣病を抑えることにより、その後ろにあるもっと大きな心血管病にならないように!ということです。

詳しくはこちらの診療科にて

循環器内科

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