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公立学校共済組合 関東中央病院

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患者さまへ

肝胆膵内科

消化器は食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、胆管、膵臓という幅広い臓器があり、それぞれ多くの疾患があります。
肝胆膵内科では、その中で肝臓、胆嚢、胆管、膵臓の疾患を、肝臓専門の医師および胆膵(胆嚢、胆管、膵臓)専門の医師が診療を担当します。具体的な主な対象疾患としては、肝炎、肝硬変、肝細胞癌、転移性肝がん、脂肪肝、胆石、胆嚢炎、胆嚢癌、胆管癌、膵炎、膵癌、閉塞性黄疸などがあげられます。
食道や胃、大腸など消化管疾患は消化管内科が担当しますが、消化器疾患は複数の臓器にかかわる場合が少なくないため、肝胆膵内科と消化管内科で連携し、患者様に最善の治療を迅速かつ適切に提供いたします。総合力と専門性において大学病院にひけを取らない医療水準を保つよう常に努力しております。また外科や放射線科など他科との連携も重視しており、内科的治療と外科的治療、放射線科領域の手技を組み合わせた最善の治療を提供いたします。

肝臓疾患

肝臓の病気の診断、治療を行っています。肝臓は沈黙の臓器といわれていますが、肝臓に対してウイルスや薬剤、アルコール、脂肪などの負担がかかると、患者さん本人は全く自覚症状がない中で、肝臓が炎症を起こし肝炎となり、それが長期化することで肝硬変、肝がんへと進行していくことが知られています。
我々、肝胆膵内科肝臓グループではできてしまった肝がんに対する治療も行っていますが、採血や腹部超音波検査、CT、MRIなどの検査を行うことで、病気が発生する前から肝臓が発する声なき声を汲み取って、病気を未然に防ぐための生活習慣のアドバイスや病気の早期発見に努めています。

肝がん

肝臓にがんが発生することを「肝がん」と呼びます。肝がんには肝臓自体から発生する「原発性肝癌」と肝臓以外にできたがん腫や肉腫が肝臓に転移することで発生する「転移性肝癌」があります。
原発性肝癌のほとんどが肝細胞から発生する肝細胞癌で、肝機能が低下している肝硬変の状態から発生します。また、この病気の特徴として再発率が高いことが知られています。
転移性肝癌は原発性肝癌の約20~30倍と高い頻度で発生するといわれています。また、転移はがんが全身に血流やリンパ節のながれにのって全身に広がるというある程度進行した状況でおこるため、一度治療を行っても、再発をある一定の確率で防ぐことができません。
両者とも繰り返し治療が必要となる可能性があるため、肝臓や体への負担が少なく、確実に、かつ安全に治療を行う必要があります。

切らずに治す肝臓がん
肝がんの経皮的ラジオ波焼灼療法(ラジオ波、RFA)

前述のとおり、肝がんは繰り返し治療を必要とすることが多いため、肝臓や体への負担が少なく、確実に、かつ安全に治療を行える経皮的ラジオ波焼灼療法(Radiofrequency ablation ; RFA)はこの領域では標準的な治療法として確立されています。
本邦では1999年2月から本格的に導入され、2004年4月から保険適応となりました。
具体的には超音波装置で観察しながら腫瘍の中に直径1.5mmの電極針を挿入し、電極周囲を450kHzの高周波(ラジオ派)により誘電し加熱することで、癌を凝固壊死させる治療法です。当科ではこれまで延べ3000名を超える肝がん患者さんにこの経皮的ラジオ波焼灼療法をおこなっております。
傷口も電極針が通るところのみで非常に小さく、肝臓も腫瘍の一回り大きく治療を行うだけなので、がんに侵されていない正常な肝臓を多く残すことができます。さらに治療を行ったところについては確実に腫瘍を縮小もしくは消失させることができますので、繰り返し治療が必要となる肝がんに対する治療としては理にかなったものとされています。

ラジオ波治療の詳細については当科の「切らずに治す肝臓がん」のページをご覧ください。

肝がんの経皮的ラジオ波焼灼療法(ラジオ波、RFA)

病気の状態によっては、ラジオ波治療ではない別の治療法が適格と思われる場合もあります。その際には、必要に応じて肝動脈塞栓術(TAE、TACE)や化学療法や放射線(陽子線)療法など、その方の状態に最善 と思われるほかの治療法の選択肢も、提示させていただいております。

切らずに治す肝臓がん

肝炎

肝臓に炎症が起こることを「肝炎」といいますが、その原因としてウイルスや薬剤、アルコール、脂肪、自己免疫など肝臓に対して負担がかかることが挙げられます。
肝炎をおこしたまま長い時間が経過すると、やがて肝硬変や肝がんへと進行してしまうため、肝炎の原因を見つけ、それに対して治療を行っていく必要があります。

ウイルス肝炎の治療

近い将来、その割合は変化する可能性がありますが、2015年現在、肝炎の中で一番多い割合を占めるのが、C型肝炎ウイルスが原因で起こる肝炎です。C型肝炎は一度罹ってしまうと慢性化することが多く、肝硬変・肝がんを起こす原因としても知られています。
以前はインターフェロンという注射薬を用いた治療が主流でしたが、2014年から注射をしないで飲み薬だけで行う治療が確立され、副作用も少なく、治療を行った95%以上の患者さんがウイルスを完全駆除できるようになりました。当科では治療薬の選択からウイルス駆除後のフォローアップまで専門的な知識を駆使しつつその方にあった治療を行っていきます。

脂肪肝、アルコール性肝炎など生活習慣による肝炎の治療

過度の食事や運動不足、飲酒は肝臓に対して負担がかかります。そして、その負担が肝臓内の酸化ストレスとなって炎症を引き起こし、進行すると肝硬変や肝がんに至ります。
この種の肝炎の一番の治療法は生活習慣の改善です。
当科では医療機器のInBodyという体成分分析装置を用いて、体脂肪量や筋肉量を測定しそこに普段の採血や画像検査のデータを加味して食事や運動などの普段の生活の過ごし方のアドバイスを具体的に行っています。

脂肪肝、アルコール性肝炎など生活習慣による肝炎の治療

肝硬変

肝臓の炎症がおこると肝細胞が破壊されます。炎症によって破壊された細胞を修復しようと肝臓は働きますが、それが慢性的に長期間続くと、やがてその働きにも限界となり、肝臓の中で線維組織が増え、肝臓が小さく硬くなり、本来の肝臓の機能を十分に果たせなくなってしまいます。
この状態のことを「肝硬変」といいます。肝硬変が起きてしまうと、今まで保てていた体内の色々なバランスが崩れ、黄疸、腹水貯留、肝性脳症、食道静脈瘤といった様々な病態を引き起こす可能性があります。また、肝硬変から肝細胞がんが発生することも知られています。
腹水の予防では日々の生活において塩分の制限が必要となり、肝性脳症の予防では便秘をしないように排便コントロールが重要になってきます。各々の症状に応じて、予防や治療が必要となるため、当科ではこまめな検査やより厳格な日常生活の指導を行っております。

胆膵疾患

胆道(胆嚢と胆管)・膵臓の病気の診断、治療を行っています。胆道・膵臓の病気は診断が難しく、とくに膵癌・胆管癌・胆嚢癌は難治癌の代表と言われています。また、悪性疾患でなくても、総胆管結石による胆管炎や急性膵炎は、重症化した場合には生命の危険もあり得る恐い病気です。
胆道・膵臓の病気の診断には、まず腹部超音波やCT、MRIなどの検査が行われますが、さらなる精密検査や治療が必要な場合には、特殊な内視鏡を用いた手技を行います。この特殊な内視鏡検査・治療は私たち肝胆膵内科が担当しています。

内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)

内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP: endoscopic retrograde cholangiopancreatography)は、通常の上部内視鏡(胃カメラ)とは異なる、特殊な内視鏡を口から入れて、胆管・膵管の出口のある十二指腸まで進め、胆管や膵管に細いチューブを挿入して造影剤を注入することで、胆管や膵管の異常を詳しく調べる検査です。
病変の細胞を直接採取して病理検査を行なうことが可能です。また検査に引き続いて総胆管内の結石を除去したり狭くなった胆管にステントを入れたりする治療を行なうことも出来ます。

超音波内視鏡検査(EUS)

超音波内視鏡検査(EUS: endoscopic ultrasonography)は、超音波(エコー)装置がついた内視鏡を用いて、消化管(胃や十二指腸)の中から消化管自体や周囲の臓器の異常を診断する検査です。
体外から行なう通常の超音波検査とは異なり、胃や腸の中の空気や骨などが検査の邪魔になることが少なく、病変の近くから観察できるためより詳細な情報を得ることが出来ます。
また以前は膵臓の腫瘍や腹腔内のリンパ節などの病理検査は困難でしたが、2010年に超音波内視鏡と径1mm以下の細い針を用いた、超音波内視鏡ガイド下穿刺(EUS-FNA: EUS-guided fine needle aspiration)が保険適応となり、この領域の疾患の診断能が飛躍的に向上しました。実際の検査時間は30~60分程度で、静脈麻酔を用いるため、苦痛はほとんどありません。外科的な開腹腫瘍生検とは異なり皮膚に傷は残らず、体への負担が少ない検査です。当院では1~2泊の検査入院で行なっています。

超音波内視鏡検査(EUS)

総胆管結石の治療

総胆管は肝臓が作る消化液である胆汁が通る管です。
胆石は胆汁中の成分(コレステロールやビリルビン)が結晶となり大きくなったもので多くは胆嚢に出来ますが、時々総胆管に落ちてきたり、総胆管の中で新たに胆石が出来たりすることがあり、総胆管結石といいます。総胆管結石は無症状のこともありますが、総胆管が胆石で詰まると胆汁が流れなくなり、黄疸や心窩部(みぞおち)から右上腹部の痛みが出ます。溜まった胆汁に細菌感染(急性胆管炎)が起きると、血液の中に細菌が侵入して敗血症という重症感染症に陥ることもあります。比較的小さな石では急性膵炎を同時に発症することもあり、緊急治療が必要になることがあります。
総胆管結石の治療には、外科的手術、経皮的治療(体外から超音波を用いて胆管に針を刺して行なう治療)、内視鏡的治療がありますが、近年では内視鏡手技や処置具の進歩により内視鏡的治療が第一選択とされており、当院でも内視鏡的治療を積極的に行なっています。総胆管結石の内視鏡治療はERCPの技術を用いて行ないますが、結石を除去するためには胆管の出口(十二指腸乳頭)を拡げる必要があります。胆管の出口を拡げる方法には、十二指腸乳頭を電気メスで切開する内視鏡的乳頭切開術(EST: endoscopic sphincterotomy)、切開ではなくバルーンで拡げる内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD: endoscopic papillary balloon dilation)があります。また近年では大きな結石を効率よく除去出来る内視鏡的乳頭大径バルーン拡張術(EPLBD: endoscopic papillary large-balloon dilation)という方法もあり、患者さんの状態や結石の状況に応じて適切な方法を選択しています。十二指腸乳頭を拡げた後、結石を除去するための処置具を胆管内に挿入し、結石を除去します。
実際の治療にかかる時間は結石の大きさや数など症例によって異なりますが、安全に治療するために一回の治療は60分を目安に行なっており、ほとんどの症例は1~2回で治療を終了しています。

総胆管結石の治療

閉塞性黄疸の治療

胆管は結石だけではなく腫瘍や炎症によっても詰まってしまうことがあり、胆汁が流れなくなって黄疸が出現します。
この状態を閉塞性黄疸といいます。閉塞性黄疸は溜まった胆汁に細菌感染を起こす急性胆管炎に移行し緊急治療が必要なこともありますが、感染を起こさなくても、胆汁が流れないことで栄養の消化吸収が悪くなったり、肝臓や腎臓の機能が悪くなったりするため、溜まった胆汁をどこかに逃がしてあげる(胆道ドレナージ)必要があります。胆管ステントはプラスチック製の細長いチューブで、内視鏡を用いて胆管に挿入して狭くなった部分をバイパスします。また悪性腫瘍による閉塞性黄疸の場合はプラスチック製のものより太い金属製のステントを留置して、黄疸や胆管炎がない状態を長く維持するようにします。

閉塞性黄疸の治療

癌の治療

膵癌は早期発見が難しい上、進行が早く、難治癌の代表と言われています。治療は手術が第一選択ですが、進行した状態で発見された場合は手術ではなく、化学療法(抗がん剤治療)を選択します。
これまで膵癌に有効な抗がん剤はわずかでしたが、2013年にFOLFIRINOX療法、2014年にゲムシタビン・nab-パクリタキセル(商品名:アブラキサン®)併用療法が保険適応となり、治療の選択肢が増えました。当院ではFOLFIRINOX療法を除いて、原則外来通院での治療を行なっています。

消化管ステント

膵臓や胃、十二指腸の癌では、進行すると腫瘍により腸が閉塞してしまい、食事が摂れなくなったり、吐いてしまったりすることがあります。
この状態を消化管通過障害といいます。一般には開腹によって胃と小腸をつなぐバイパス手術が行われますが、最近では内視鏡と用いて金属製のステントを留置することが出来ます。

その他の疾患

当科では上記の疾患、病態以外にも、胆道癌(胆管癌、胆嚢癌)、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、急性膵炎、急性胆嚢炎、胆嚢ポリープなどの胆道、膵臓の疾患を幅広く診療しています。

担当スタッフ紹介

肝胆膵内科部長代行 中込 良
資格 日本内科学会認定内科医
日本肝臓学会専門医
日本消化器病学会専門医
難病指定医
身体障害者指定医(肝臓機能障害)


肝胆膵内科医長

佐藤 達也

資格 日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
難病指定医
医師緩和ケア研修会修了者

肝胆膵内科

玉田 健次



肝胆膵内科 渡邉 信彦

消化器センター

白石 和雅


消化器センター 林 猛志

診療実績

2015年度
診療科で扱った主疾患と入院患者数
疾患名 入院患者数
悪性腫瘍 食道癌 11
胃癌 79
大腸癌(転移性肝癌含む) 304
原発性肝癌 94
胆道癌 62
膵癌 100
その他の悪性腫瘍 18
非悪性腫瘍 消化性潰瘍 58
急性腸炎 38
イレウス 6
UC・クローン 9
大腸ポリープ 145
急性肝炎 10
アルコール性肝疾患 46
慢性肝炎 0
肝硬変 1
胆石・胆嚢炎 125
膵炎 46
その他の消化器疾患 367
その他 259
合計 - 1,778