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病気のはなし

「腸閉塞専門外来」のご紹介

2023年9月

医長  藤代 雅巳

腸閉塞とは?

腸閉塞(イレウスと言われる事もあります)は、何らかの原因により、腸(小腸や大腸)の内容物が流れなくなってしまう事を言います。イメージとしては、排水溝がつまって、あふれてしまうような状態です。

腸閉塞の原因

腸閉塞の多くは、お腹の手術(虫垂炎の手術や婦人科の手術など、あらゆる手術を含みます)をした後に生じる組織の「癒着(ゆちゃく)」が原因となって生じます。
「癒着」とは、手術に伴う炎症などの影響で、もともと離れて存在しているお腹の中の組織や臓器同士がくっついてしまう状態を言います。
「癒着」によって腸が強く曲がってしまうと、食物やガスが流れにくい状況、すなわち腸閉塞を生じます。
やっかいな事に、この「癒着」は自然に治る事はなく、お薬などの治療でも改善する事はありません。

腸閉塞の症状

腸閉塞の典型的な症状は、腹痛や腹部膨満感、吐き気・嘔吐などです。
腹痛は軽いものから激しい痛みを伴うものまで様々ですが、病状の進行と共に症状が強くなるのが一般的です。

腸閉塞の治療

病状が軽い場合には、まず絶食によりお腹を休め、点滴による治療を行います。鼻から特殊なチューブを挿入して、胃や腸に溜まった内容物を体の外に排出する治療を行うこともあります。このような治療によって、多くの場合は一時的に症状が改善しますが、腸閉塞を繰り返される患者様も多く、手術治療が必要となるケースは少なくありません。

再発を未然に防ぐ治療=手術

「癒着」を原因とする腸閉塞を繰り返し再発する場合、「癒着」を物理的に解除する事が必要であり、再発を未然に防ぐ治療として、手術治療が考慮されます。
当院でもこれまで腸閉塞に対する多くの手術治療を行っており、近年は特に積極的に「腹腔鏡手術」を施行しております。
癒着がある場合の手術は比較的難易度が高く、かつては腸閉塞に対する手術の多くは傷の大きな「開腹手術」で行われておりましたが、現在当院ではさまざまな領域で小さい傷での「腹腔鏡手術」を行っており、腸閉塞に対してもこの技術を利用することにより、極めて安全に「腹腔鏡手術」を施行することが可能となっています。

腹腔鏡手術は、開腹手術に比べ、新たな癒着を生じる可能性が小さいため、腸閉塞の再発のリスクが非常に低くなることが大きな利点です。
また、傷が小さく痛みが軽度であり、手術後の回復も早く、短期間で退院することが可能になります。

腸閉塞でお悩みの方へ

腸閉塞症による症状で入院を繰り返されている患者様や、再発予防のための厳しい食事制限などから生活の質の低下を感じられている患者様など、適切な治療を行う事により、それらの負担が大きく軽減できる可能性があります。
当院では腸閉塞専門外来を開設しております。お気軽にご相談下さい。

当外来で対象となる患者様

お腹の手術を受けられた事があり、その後に腸閉塞を発症した事がある患者様(特に何度も再発している方)
※ただし、以下の患者様は手術の適応とならない可能性がございます。
・年齢や基礎疾患等の影響で体力が低下していて、手術に耐えられる体力がない
・腸の動きが鈍ったことによる便秘などの、機能的な問題による腹満感
・極めて高度の癒着等により手術による腸閉塞の改善の可能性が乏しいと考えられる
・がん転移を原因とする腸閉塞(状況により手術治療も検討されます)

なお、腸閉塞に対する緊急処置(緊急手術を含む)が必要な患者様は、腸閉塞専門外来に限らず、随時診療を受け入れております。

詳しくはこちらの診療科にて

外科

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