生理痛のはなし
生理痛のはなし
産婦人科部長 中江 華子
生理について人と話す機会はなかなかないでしょうし、お茶の間でナプキンのCMが流れて気まずい思いをした方も多いのではないでしょうか。自分の生理が多いのか少ないのか、生理に伴う体調の変化が正常範囲内なのか病的なのか、人知れず悩んでいる方もおられると思います。今回は人には聞けない、そんな生理痛のはなしです。
そもそも生理ってなに?
生理の出血は、子宮の内膜が剥がれることに伴っておきています。正常の周期では、排卵に向けて子宮内膜が徐々に分厚くなっていき、受精卵が着床しやすい環境になっていきます。排卵後も赤ちゃんができなければ、排卵から約2週間で子宮内膜は剥がれて子宮の外に押し出されてきます。それが生理(医学用語では月経)です。
生理痛はどうして起きるの?
子宮内膜が排出されるときに子宮が収縮することに伴って痛みが起きたり、子宮頚部の狭いところを内膜組織が押し出されることで痛みを起こしたりします。このような痛みは特に子宮や卵巣に問題がなくても起きる痛みですので、機能性月経困難症と言います。
一方で、子宮内膜症や子宮筋腫、クラミジア感染などによる骨盤内の炎症など、何らかの原因があって起きる生理痛は器質性月経困難症と言い、早期に診断して適切な対応をすることで月経困難症だけでなく貧血や不妊の予防にもつながり、生活の質が総合的に改善されることから、早めに婦人科を受診していただくことが大切になります。
受診した方がよい生理痛は?
過去の調査では、約8割の女性は生理痛があり、生理痛を訴えて病院を受診した方の1/4に子宮内膜症が見つかっています。とくに病気が見つからなくても、学校や会社を休むような生理痛、生活に支障のある生理痛というのは治療が必要な状態です。生理痛で鎮痛剤が必要な方は、一度婦人科を受診してみてください。また、ご自身でなくても学校や会社を生理痛で休むような方が身近にいらっしゃれば、ぜひ一度婦人科受診を勧めてみてください。婦人科疾患の発見につながる可能性もありますし、鎮痛剤だけでなく漢方薬やホルモン剤など自分に合った対処法を見つけてうまく付き合っていきませんか。