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病気のはなし

骨盤底筋を鍛えましょう!

2025年3月

部長 中江 華子

更年期世代や年齢が上がってくると、尿もれや頻尿、股になにかが挟まったような違和感がある、入浴時にピンポン球のような丸いものを触れる、などの不快な症状が気になることもあるでしょう。このような症状はなかなか家族や友人にも話すことができずに我慢しながらすごしてしまい、症状がひどくなってから受診される方も多いのですが、もしや、と思った時に遠慮せず相談にきて頂ければ状態に応じた治療もできる、れっきとした疾患です。
また、これらの症状は、日頃から骨盤底筋を意識して鍛えることで予防も可能ですので、ぜひ若いうちからケアを開始してください。

骨盤底の成り立ち

骨盤底は骨盤と骨盤内の臓器を下から支えている筋肉や靭帯でできたハンモック状の支持組織で、尿道のまわりや腟、肛門のまわりを広く支持しています(図1)。
尿道のまわりの筋肉(尿道括約筋)は、膀胱に尿を貯めておく時には収縮して尿が漏れないようにし、排尿する時には緩むことで尿道が広がって膀胱の収縮に伴って尿が出てくる、というように膀胱と連動して排尿をコントロールしています。ところが、尿道括約筋が緩んでしまうと、くしゃみや咳などの腹圧がかかった時に尿道がうまく締まらず、尿もれが起きてしまいます。これを腹圧性尿失禁といいます。
さらに骨盤底の支持組織全体が緩んでくると、子宮や膀胱、直腸など腟に接する臓器が腟内に落ち込んで、だんだん位置が下がってきてしまいます。これが骨盤臓器脱で、膀胱が落ち込んだら膀胱瘤、子宮が下がれば子宮下垂や子宮脱、直腸が落ち込んだら直腸瘤といいます(図2)。このような状態になると不快なだけではなく、排尿障害(尿もれ、尿が出てこない、頻尿など)、不正出血やおりもの、便秘や排便困難などの症状が出る可能性があります。

骨盤底筋を鍛えましょう!

骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋も、腕や足などの筋肉と同じようにトレーニングが可能ですが、日頃から意識して生活して鍛えなければ筋肉は衰えてしまいます。骨盤底筋を意識しながらトレーニングをしましょう。

肛門・腟を締めるイメージで行うトレーニングです。

どのような姿勢でもかまいませんが、全身の力は抜いてお腹にも力をいれないようにし、呼吸を止めずに行います。

  1. 肛門のまわりの筋肉を締めます。お尻の穴をキュッと締めて引き上げるようなイメージです。尿を我慢するように尿道を締める方がイメージしやすければそれでも構いません。
  2. キュッと締めたまま3秒間その状態をキープします。慣れてきたら時間をのばしてみましょう。
  3. 力を抜いてリラックスします。
  4. この「締める」「キープ」「緩める」というのを毎日5〜10回繰り返します。

まずは1日3セットをめざしましょう。

特別な機械や準備はなにも必要ありません。電車に乗りながら、家事をしながら、「緑のひろば」を読みながら・・・いつでもどこでも、誰にも知られずにできるトレーニングです。思い出したらその場ですぐにやりましょう。毎日根気よく続けることが大切です。

また、肥満は骨盤臓器脱を助長する要因になりますので適正体重をキープするように心がけましょう。慢性の便秘や咳が続くなど腹圧がかかりやすい状態が続くのも、骨盤底筋を弱らせる要因になりますので、食生活に気をつけたり上手に薬を使うことも必要になります。

受診の目安

骨盤底筋のトレーニングは、すぐに効果が出るものではないため、効果が出るまで1ヶ月〜半年かかる方もおられます。ただ、ご自身ではきちんとトレーニングしているつもりでも、うまく骨盤底筋に力が入っていない場合や、腹圧がかかるような力も同時に入っていて十分な効果を得られていない場合もありますので、骨盤底筋トレーニングを1~2ヶ月継続しても改善しない場合は受診しましょう。
もちろん、不快な症状があれば、その時点ですぐに受診していただいて構いません。ごく軽度の状態なら骨盤底筋トレーニングで様子をみることもありますし、骨盤臓器脱で症状が強い方には手術も行っています。手術を希望されない場合や手術ができない場合、腟内にリング(ペッサリー)を挿入して下垂している臓器を整復するような治療も行っています。受診された方の状態に応じた治療法を、ご本人と相談しながら選択しています。

骨盤底筋のトレーニングについてイラストで解説したパンフレットをお渡ししています。産婦人科外来の窓口にお声がけください。
また、気になる症状がおありでしたら恥ずかしがらずに早い段階でご相談ください。

詳しくはこちらの診療科にて

産婦人科

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