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病気のはなし

特発性正常圧水頭症

脳神経外科 菊池 隆文
(緑のひろば 2010年6月号掲載)


特発性正常圧水頭症という病気をご存知でしょうか。
年齢がすすむとともにうまく歩けなくなる方は少なくありません。歩きにくくなる原因は色々ありますが、特発性正常圧水頭症もそのひとつであります。
これはどういった病気かを理解するにはまず「水頭症」についてご説明しなくてはなりません。水頭症とは、頭の中の脳脊髄液の流れが悪くなることによって、脳室という脳脊髄液が産生する場所に過剰に溜ることで生じる病気です。
原因として約9割の方は、くも膜下出血や髄膜炎・脳腫瘍、先天奇形などの病気や頭部外傷の結果でおきますが、中には特に原因がないのに水頭症になる方がいます。そういった病気を正常圧水頭症といいます。
また、水頭症の症状は急激におきたものであれば頭痛・嘔吐・意識障害などの症状で発症しますが、正常圧水頭症はゆっくり進行すると考えられていて、その症状は歩行障害・認知障害および尿失禁が代表的なものとされています。

もし的確に正常圧水頭症と診断された場合は、7〜9割ほどの方が症状改善を期待できるとされています。ただしこの病気になりやすい中高年の方は、パーキンソン病やアルツハイマー病及び脳梗塞・脳出血などの脳卒中によってこういった症状が起きている場合も少なくないので、専門家による検査・診断が必要となります。おおまかに言えば、診察では歩行障害などの症状が水頭症の特徴にあっているかをみたり、頭部MRI(CT)を施行して脳室が拡大していることを確認したり、タップテストといって腰椎の間に針を刺して脳脊髄液を抜き、症状が改善するかをみる検査などを行います。ただこの正常圧水頭症の難しいところは、症状があいまいであることが多く検査しても確証に欠ける方が少なくないということです。
そして水頭症であった場合は、脳神経外科で過剰な脳脊髄液を頭の中から排出させる管(シャント)を体内に埋め込む手術(シャント手術)を施行します。この手術は2時間くらいで終わるのですが、そもそも正常圧水頭症であるという診断が正しかったかの判断が難しいため、すべての方がよくなるわけではありません。とはいえ他の歩行障害・認知症と違い、一部の方には手術により症状の改善を得られる病気であるのが大きなポイントであります。
なお脳脊髄液のシャント手術には3種類(V-P:脳室-腹腔・V-A:脳室-心房・L-P:腰椎‐腹腔)あり、一般的な病院においてはそのいずれかの方法を採用しているところが多いようです。しかし当院ではその全ての方法を施行しておりますので、より患者様に適した方法を選択するようにしています。

この話をお読みになって、もしご自身もしくはご家族で正常圧水頭症かもと思われた場合は、まずは神経内科・脳神経外科にてご相談ください。

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