病気のはなし
「気胸」についてのQ&A
Q.気胸とはどんな病気?
A.気胸とは、肺がなんらかの原因で破れ、空気が胸腔にもれて縮んだ状態をいいます。
自然気胸と続発性気胸に分けられます。自然気胸は肺表面の肺嚢胞(ブラ、ブレ部)が破裂することで発症します。続発性気胸は様々な原因がありますが、多くは、肺に元々、疾患があり、その病変が進行することで気胸が発生します。どのような病気が背景になるかというと慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎をはじめ、感染症(結核、非定型菌抗酸菌症NTM等)、癌などの悪性疾患の進行、女性特有の病気として、異所性子宮内膜が横隔膜上や肺表面にあり、月経時の子宮内膜脱落時に穴が空いて起こる月経随伴性気胸、肺脈管筋腫症(LAM)、外傷に伴う気胸があります。
CTで赤矢印が肺嚢胞(ブラ)です。右にもあります。
下方にみえるのが肺で後方は胸壁(肋骨の裏側)。白い風船のようなものが肺嚢胞で、破けてしぼんでいます。
Q.どんな人に起きやすい?
A.気胸の起こりやすい年齢層は2つのピークがあり、若者と高齢者です。若者の気胸はほとんど肺嚢胞に伴う自然気胸で10代後半~20代前半で、高身長、やせ型に多いのが特徴です。高齢者の場合は肺に疾患があり、その病変が進行することで発生する続発性気胸のことが多いです。喫煙者が多く、その喫煙の影響が大きい慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎が背景にあり、病状の進行により、肺表面が破けてしまい気胸が発生します。また、転んで肋骨骨折したりすると起こります。
Q.どんな症状?
A.自覚症状は、突然の胸・背中・肩の痛みや息がしにくい呼吸困難感が起こります。多くの場合、肩から背中が急にどんと痛くなるようです。
注意したいのが、胸背部痛が発生して、だんだん、ドキドキ脈が早くなってきたり、ふらっとするようなことがある場合、緊張性気胸、血気胸の可能性があります。病院までいけないときは救急要請していただいてよいかと思われます。その際は、関東中央病院までどうぞ。呼吸器外科はお受けします。
Q.どんな治療をしますか?
A.気胸の治療法は症状、重症度により、4つあります。初期治療として安静保存、胸腔ドレナージがあり、手術、手術できない場合の治療があります。
安静保存は肺があまり縮んでおらず、自覚症状があまりないといった場合、軽症と判断し、肺の安静(過度な運動を控える、大声をださない等)にして1週間経過を観察します。破れが自然にふさがると、肺は次第にふくらんでいきます。安静は肺が落ち着くまで2-3週かかることが多いです。
胸腔ドレナージは、肺が大きく縮んでいる、安静にしても肺が膨らまない場合に行います。局所麻酔をして、皮膚から小さい穴をあけ、ドレーンと呼ばれる細いチューブを胸腔に挿入し、たまった空気を抜く方法です。基本的には入院して治療を行います。5-7日間くらいの治療期間となります。
手術は胸腔ドレナージを行っても肺が膨らまない場合や、空気漏れが持続するとき、出血を伴っているとき、気胸が再発した場合に検討されます。気胸は再発しやすく、胸腔ドレナージを行ったあと、30~50%が再発しているという報告もあり、根本的な治療には手術が適しているといえます。
手術以外の方法を用いるときは、高齢者で体の負担が大きい場合や、COPDや間質性肺炎が進行して肺の状態が悪い場合は、手術以外の治療法を検討します。胸腔ドレナージを行い、ドレーンを使って患者さん自身の血液を注入し、穴のあいている部分にかさぶたを作る方法(癒着療法)や、破れた部位に通じる気管支に栓をして空気の漏れを止める方法があります。
Q.手術はどのようにしますか?
A.手術方法は、全身麻酔下で行われ、胸腔鏡を使って気胸の原因である肺嚢胞切除し、肺を修復します。当院では、小さな1~3つの小さい孔で行っています。手術した場所をセルロースのシートで覆って肺の表面を補強しています。多くの場合、術後2-3日でドレーンが抜け、3-4日で退院となります。私たちは早期の学校登校、職場復帰できるように務めております。
通常の体力があり、若い方には手術をおすすめしています。持病などにより全身の状態が良くないため、全身麻酔がかけられない患者さんには、胸膜癒着療法という治療を選択する事があります。
Q.どのくらい再発しますか?
A.一般的に胸腔ドレナージを行ったときは、30~50%、手術後は5~10%ほどの再発率が報告されております。再発を感じる胸背部痛、呼吸困難感発生時は、何時でも対応しております。ご相談ください。
Q.気胸のfollow upはどうしていますか?
A.術後も再発の可能性があるため、一定期間、外来診察で経過観察いたします。特に反対側にも肺嚢胞があると早期にそちらも破けることがみられます。
気胸外来を設けておりますが、気胸は若い方が多く、社会生活が活発です。学校、職場に併せて、柔軟に診察日は相談して設けています。学校終わってからとか、出勤前の朝一、昼休み時などいろいろとご要望ありましたら、気兼ねなく、ご相談ください。
Q.夜間、休日はどうすればよいですか?
A.時間外、休日は医療機関も診療していないことが多いです。関東中央病院呼吸器外科では、
いつでもオンコール体制を整えています。対応いたしますので、ご安心していらしてください。
詳しくはこちらの診療科にて