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病気のはなし

腸閉塞について

2022年11月

医長 藤代 雅巳

腸閉塞について

腸閉塞症は何らかの原因により、腸(小腸や大腸)の内容物が停滞し、肛門側に流れなくなってしまう状態を言います。
「腸閉塞」と同じような症状を生じる病態として、「イレウス」というものがあり、かつては同じ意味で使用されておりましたが、近年では、腸管が物理的に狭くなってしまう事により生じるものを「腸閉塞」、一方、腸管の動きが麻痺する事が原因で生じるものを「イレウス」として、両者を区別するようになってきております。

腸閉塞の多くは、腹部の手術をした後に生じる組織の「癒着(ゆちゃく)」が原因となって生じます。
※胃、大腸(虫垂炎含む)、肝臓・胆嚢・膵臓、子宮・卵巣などに対する腹部のあらゆる手術を含みます
「癒着」とは、手術に伴う炎症などの影響で、もともと離れて存在しているお腹の中の組織や臓器同士がくっついてしまう状態を言います。

症状がない場合には特に問題にはなりませんが、特に小腸に「癒着」を生じてしまうと、腸が強く曲がってしまい、食物やガスが流れにくい状況、すなわち腸閉塞症を発症することがあります。
典型的な腸閉塞の症状は、腹痛や腹部膨満感、吐き気・嘔吐などです。

病状が軽い場合には、まず絶食によりお腹を休め、点滴による治療を行います。鼻から特殊なチューブを挿入して、胃や腸に溜まった内容物を体の外に排出する治療を行うこともあります。このような治療によって、多くの場合は一時的に症状が改善しますが、腸閉塞を繰り返される患者さんも多く、手術治療が必要となるケースは少なくありません。

当院でも腸閉塞に対する多くの手術治療を行っており、近年は特に積極的に「腹腔鏡手術」を施行しております。
「癒着」がある場合の手術は比較的難易度が高く、かつては癒着性腸閉塞症に対する手術の多くは傷の大きな「開腹手術」で行われておりましたが、現在当院ではさまざまな領域で「腹腔鏡手術」を行っており、腸閉塞に対してもこの技術を利用することにより、極めて安全に「腹腔鏡手術」を施行することが可能となっています。

「腹腔鏡」で腸閉塞に対する手術を行う事の利点として、「開腹手術」に比べ、新たな「癒着」が生じる可能性が少ないため、腸閉塞症の再発のリスクが低くなることが挙げられます。
また、傷が小さく痛みが軽度であり、手術後の回復も早く、短期間で退院することが可能になります。
腸閉塞症による症状で入院を繰り返されている患者さんや、再発予防のための厳しい食事制限などから生活の質の低下を感じられている患者さんなど、適切な治療を行う事により、それらの負担から解放される可能性があります。

毎週木曜日午後の当院の腸閉塞専門外来にぜひご相談下さい。

当外来で対象となる患者様

・腹部手術の既往があり、その後に腸閉塞症を発症した事がある患者様(特に何度も再発している方)
 ※ただし、以下の患者様は手術の適応とならない可能性がございます。
・年齢や基礎疾患等の影響で全身状態が悪く、手術に耐えられる体力がない
・腸の動きが鈍ったことによる便秘など機能的な問題による腹満感。
・高度の癒着等により手術治療による腸閉塞症の改善の可能性が乏しいと考えられる
・悪性腫瘍の腹膜播種等を原因とする腸閉塞症(状況により手術治療も検討されます)

なお、腸閉塞症に対する緊急処置(緊急手術を含む)が必要な患者様は、腸閉塞専門外来に限らず、随時診療を受け入れております。

詳しくはこちらの診療科にて

外科

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