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病気のはなし

橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)

整形外科 山田 紀彦
(緑のひろば 2014年8月号掲載)


どんな骨折か
 簡単にいうと手首の骨折です。二の腕を構成する2本の骨のうちの片方、橈骨の先端部分の骨折で、転倒して手を突いた際に良く発症し、受傷すると他の部位の骨折と同様で疼痛とともに腫脹(腫れ)が出現し、程度が強いと外見でも変形が分かることがあります。周囲の骨折や靭帯などの損傷を合併することがあります。


年齢的な分布では大きく2つの層があります。ひとつは比較的若い年代で男性にやや多く、運動や強い外力の加わったことによるもの。もうひとつは高齢者で女性にやや多く、ちょっとした転倒など比較的軽微な外力によって発症したものです。後者は骨粗鬆症の存在が関与していると考えられ、骨粗鬆症の理解や治療が発展すれば発生率を減少させることができる可能性もあります。

治療
 発症頻度が高いため以前から外傷外科や整形外科ではよく扱う疾患で、徒手整復(体外から力を加えて骨の位置を修正する手技)してギプスで固める方法が、長らく主体だったようです。
 近年骨折に対する視点のみならず、診断技術の進歩、軟部組織についての知識、手術器具の進歩などに加え、解剖学的な修復(なるべく元に近い形態に戻すこと)の重要性が本骨折に対しても認識されてきました。最近では金属性でスクリューとプレートが一体化する機構を持った器具で、手のひらの側の皮膚を切開して固定する手術が多く行われています。勿論全ての症例がこれで対応できるわけではありませんが、従来骨が弱かったり、粉砕が強かったりなど十分な固定ができず、対応に難渋するような例でも良好な成果が得られる可能性が開けました。このため、高齢の方であっても以前よりも積極的に手術をする機会が増加しています。

当院では
 外来を受診された方にはまず骨折に対しレントゲンやCTなどの検査を行います。高齢の方は全身状態や合併症、日常生活の状態なども良く評価し、適切な治療方法を検討いたします。手術をしない場合は外固定を装着し、リハビリの指導を行います。手術の場合は、前日からの入院と手術を全身麻酔にて行うため最短で3日程度の入院期間が必要ですが、各患者さんの状態や疼痛に応じて4〜10日程度の入院となることが多いようです。手術のみで治療が完結するのではなくリハビリが重要となりますが、当科では入院当日から専門の理学療法士によるリハビリを開始し、手術翌日から退院まで、さらに外来でも継続して行っております。

終りに
 もし転倒して手首周辺の怪我をしてしまったら、必ず整形外科を受診してレントゲン検査を受け、適切 な治療の方法を相談 されることをお勧めし ます。

※イラストは日本手外科学会手外科シリーズ13「橈骨遠位端骨折」より


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