患者さんの権利について
関東中央病院は、患者さん及びご家族の方々と病院とが相互の信頼関係に基づいた医療を共同して実践するために、ここに患者さんの権利を保障いたします。
- 個人の人格、価値観の尊重の権利、相互信頼、相互協力関係下の医療を受ける権利
一人ひとりの患者さんの人格および患者さんの価値観が尊重される権利、医療者との信頼・協力関係のもとに医療を受けることができる権利があります。
- インフォームド・コンセントと自己決定権
検査や治療をお受けになるとき、医療者からよく理解できる言葉と方法で選択肢の説明をお受けになり、自らの自由意志でそれを選択し、自らの診療計画を立てる過程に参加し、自ら決定される権利があります。
- 自らの医療情報を知る権利、情報開示の原則
ご自分の病気や診療について疑問がおありになれば、どのようなことでも質問し、これを知ることができる権利があります。また所定の手続きをおとりになることにより、ご自分の診療録の開示をお求めになる権利があります。
規定 / 手続き方法(診療記録開示請求書、委任状)
・診療情報開示について
- セカンドオピニオンを求める権利
ご自分の病気や診療について、主治医以外の医師からのセカンドオピニオンを求める権利があります。他の医師や医療機関でのセカンドオピニオンを希望される場合、診療情報提供書や資料をご用意します。
- プライバシーが保護される権利
診療の過程で医療者が得た患者さんの個人情報や患者さんのプライバシーが厳正に保護される権利があります。
- 安全で適切な医療を受ける権利
医療事故防止に配慮した優しい療養環境で、安心して適切な医療をお受けになる権利があります。
患者さんの責務(責任と義務)について
患者さん及び家族の方々と病院とが、相互の信頼関係に基づいて安全で適切な医療を共同して実践するために、患者さんの責務についてご理解をお願いいたします。
- 安全で適切な医療をお受けになるために、患者さんにはご自分の健康、病状に関する情報を医師をはじめ病院職員にできる限り正確に提供する責務があります。
- 全ての患者さんが等しく適切な医療を受けられるように、患者さんには他の患者さんへの診療や入院生活、病院職員の医療提供に支障を与えないように配慮する責務があります。
- 安全で優しい療養環境を維持するために、患者さんには医療に関する法律や病院で決めた約束事などをお守りいただく責務があります。
民法改正に伴う同意書の対象年齢の引き下げについて
令和4年4月1日より民法の一部が改正となり、成人年齢が20歳から18歳へ引き下げられました。
これに伴い、当院は法律と同様に18歳以上は保護者の同意を不要とすることになりました。
ただし、説明に対しご本人が十分に理解できない場合などは、保護者及び法定代理人の方に同意をいただきますのでご了承ください。
身体的拘束適正化のための指針
-
身体的拘束の最小化に関する基本的な考え方
身体的拘束は患者の権利である自由を制限するのみならず、身体的・精神的に弊害を伴う。したがって、身体的拘束を行わないことが原則である。
公立学校共済組合関東中央病院では、患者の人間としての本来の姿を重視しながらチームでディスカッションし、合意形成した方向性に基づいて医療安全対策を行うことで、緊急やむを得ない場合を除いて身体的拘束をしない診療・看護の提供に努める。
-
基本方針
1)身体的拘束の原則禁止
当院は、患者または他の患者等の生命または身体を保護するために緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束の実施を禁止する。
この指針でいう身体的拘束は、抑制帯等、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限をいう。
2)緊急やむを得ず身体的拘束を行う場合
-
緊急やむを得ず身体的拘束を行う要件
患者または他の患者等の生命または身体を保護するための措置として、緊急やむを得ず身体的拘束を行う場合は、次の3要件をすべて満たした場合に限り、必要最低限の身体的拘束を行うことができる。
切迫性 : 患者本人または他の患者の生命または身体が危険にさらされている可能性が著しく高いこと 非代替性 : 身体的拘束を行う以外に切迫性を除く方法がないこと 一時性 : 身体的拘束が必要最低限の期間であること -
緊急やむを得ず身体的拘束を行う場合の説明と同意
上記3要件については医師・看護師を含む多職種で検討し、医師が指示し、患者・家族等への説明と同意を得て行うことを原則とする。
-
身体的拘束を行う場合は、当院の「身体的拘束マニュアル」に準ずる。
3)身体的拘束禁止に取り組む姿勢
-
認知症や意識障害、せん妄や内分泌疾患、脳疾患等に伴う一時的混乱により、必要な検査・治療が行えない場合にそこまで至った経緯をアセスメントし、なぜその事象が起きているのか背景を理解する。
-
身体的拘束をすぐに行う必要性があるのかを複数名で評価し、身体的拘束をしなくてもよい対応を検討する。
-
多職種によるカンファレンスを実施し、身体的拘束の必要性や患者に適した用具であるか等を評価する。
-
身体的拘束は一時的に行うものであり、期間を定め、アセスメントを行い、身体的拘束解除に向けて取り組む。
-
身体的拘束を行う必要性を生じさせないために、日常的に以下のことに取り組む。
@患者主体の行動、尊厳を尊重する。
A言葉や対応などで、患者等の精神的な自由を妨げない。
B患者の思いをくみとり、患者の意向に沿った医療・ケアを提供し、多職種協働で患者に応じた丁寧な対応に努める。
C身体的拘束を誘発する原因の特定を除去に努める。
D薬物療法、非薬物療法による認知症ケアやせん妄予防により、患者に危険行動を予防する。
-
身体的拘束には該当しない患者の身体又は衣服に触れない用具であっても、患者の自由な行動を制限することを意図とした使用は最小限とする。
-
薬剤による行動の制限は身体的拘束には該当しないが、患者・家族等に説明を行い、同意を得て使用する。
@生命維持装置装着中や検査時等、薬剤による鎮静を行う場合は鎮静薬の必要性と効果を評価し、必要な深度を超えないよう、適正量の薬剤使用とする。
A行動を落ち着かせるために向精神薬等を使用する場合は、精神科や認知症ケア委員会と共同で、患者に不利益が生じない量を使用する。
-
-
身体的拘束最小化のための体制
身体的拘束等の適正化を目的として、医療安全委員会の中に、身体的拘束最小化対策に係る『身体的拘束最小化チーム』を設置する。
-
身体的拘束最小化チーム構成員
@委員:医師、医療安全管理者、看護師、認知症看護認定看護師、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、臨床心理士、事務職員
-
身体的拘束最小化チームの役割
@身体的拘束の実施状況を把握し、管理者を含む職員に定期的に周知徹底する。
A身体的拘束実施事例の最小化に向けた医療・ケアを検討する。
B定期的に本指針・マニュアルを見直し、職員へ周知して活用する。
C身体的拘束最小化のための職員研修を開催し、記録をする。
D身体的拘束最小化チームで患者ラウンドを行い、部署にて多職種を含めてカンファレンスをする。
-
-
身体的拘束最小化のための研修
医療・ケアに携わる職員に対して、身体的拘束最小化にための研修を実施する。
-
定期的な教育研修(年1回)実施
-
その他、必要な教育・研修の実施および実施内容の記録
-
-
身体的拘束を行う場合の対応
患者等の生命または身体を保護するための措置として、緊急やむを得ず身体的拘束を行わなければならない場合は、以下の手順に従って実施する。
-
緊急やむを得ず身体的拘束をせざるを得ない状態であるかどうかを、医師と看護師を含む多職種によるカンファレンスで検討する。必要と認めた場合、医師は身体的拘束の指示をする。
-
医師は同意書を作成し、事前に患者・家族等に説明して身体的拘束開始の同意を得る。ただし、直ちに身体的拘束が要する切迫した状況で、事前に同意を得ることが困難な場合は、身体的拘束開始後直ちに家族等に説明して同意を得る。
説明内容 : @身体的拘束を必要とする理由
A身体的拘束の具体的な方法
B身体的拘束を行う時間・期間
C身体的拘束による合併症 -
患者・家族等の同意を得られない場合は、身体的拘束をしないことで起こり得る不利益や危険性を説明し、診療録に記録する。
-
身体的拘束中は、身体的拘束の態様および時間、その際の患者の心身の状態並びに緊急やむを得ない理由を記録する。
-
身体的拘束中は、毎日、身体的拘束の早期解除に向けて、多職種によるカンファレンスを実施する。カンファレンスでは、やむを得ず身体的拘束を行う3要件を踏まえ、継続の必要性を評価する。
-
医師はカンファレンスの内容を踏まえて身体的拘束の継続または解除の有無を指示する。
-
身体的拘束を継続する必要がなくなった場合は、速やかに身体的拘束を解除する
-
-
多職種による安全な身体的拘束の実施および解除に向けた活動
患者が身体的拘束を行わざるを得ない状態である要因によっては、患者の病状および全身状態の安定を図ることが、安全な身体的拘束の実施、早期解除につながる。各職種は、身体的拘束における各々の役割を意識して患者にあたる。
附則
この指針は2025年3月3日より施行する。
院内に身体的拘束最小化対策に係る身体的拘束最小化チーム(以下、「チーム」という。)を設置する。
医療安全管理委員会
認知症ケア委員会
2025年2月21日作成