患者さんへ
循環器内科
当科は循環器疾患の診断と治療を行います。循環器疾患とは心臓や血管に関連する病気で、具体的には、狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈、高血圧症などです。
当科外来を受診する場合は、先ずかかりつけ医(ホームドクター)に相談し、紹介状(診療情報提供書)を書いてもらってから、受診されることをお勧めします。患者さんの正確な情報が得られることにより、無駄な検査を省き、診断と治療を早く正確に行うことができるからです。しかし、強い胸痛、呼吸困難(安静にしていても呼吸が苦しい)、失神など、急を要する場合には、救急車を依頼して速やかに受診してください。
当院は、日本循環器学会認定循環器専門研修施設の認定を受けており、日本循環器学会認定循環器専門医、日本心血管インターベンション治療学会認定医が主治医として治療を担当します。
循環器内科概要
診療体制
専門外来では、毎日午前中の初診外来と予約外来、午後は予約外来のみを診療しています。
入院では、スタッフ医師(全員が卒後10年以上で、日本循環器学会認定専門医の資格を持つ)が主治医となり、その指導の下にレジデント医師(研修医、卒後1~5年目)が受け持ち医としてチーム医療を行っています。必要に応じて、外来主治医やカテーテル治療専門医も診療に参加します。
治療方針
適切な治療を行うためには、正確な診断が必須です。かかりつけ医からの診療情報、外来で行う検査結果などに基づき診断を進め、必要に応じて入院して検査を行う場合もあります。そして、診断結果に基づき生活指導(食事の注意、禁煙など)、薬の内服、カテーテル治療など最適の治療法を選択します。
得意分野
循環器疾患全般を幅広くカバーしています。
当院は、東京都CCUネットワーク加盟施設であり、年間カテーテル件数は世田谷区でトップの実績を誇ります。特に、狭心症や心筋梗塞に対するカテーテル治療を積極的に行っています。不整脈に対するカテーテルアブレーションや、下肢の血管が動脈硬化で狭くなり、歩くと腿やふくらはぎが痛くなる症状がある患者さん(閉塞性動脈硬化症または末梢動脈疾患)に対するカテーテル治療も行っています。
脈が遅くなり、めまいや失神などの症状のある患者さんに対するペースメーカー植込み手術、失神発作の精査のためのループレコーダー(ILR)の植え込みなども行っています。
取り扱う主な疾患
- 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)
- 不整脈(心房細動、徐脈、頻脈など)
- 心不全
- 心臓弁膜症(僧房弁、大動脈弁の異常)
- 血管疾患(大動脈解離、動脈瘤、末梢動脈疾患)
- 腎臓病(腎不全、腎炎、ネフローゼ症候群など)に合併する心臓・血管疾患
- 慢性腎不全に対する血液透析治療
担当医紹介
循環器病センター長
検査科部長
|
伊藤 敦彦 |
資格 |
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本不整脈学会-日本心電学会認定不整脈専門医
腹部ステントグラフト実施医
浅大腿動脈ステントグラフト実施医
日本心血管インターベンション治療学会心血管カテーテル治療専門医
日本心エコー図学会SHD心エコー図認証医
植込み型除細動器/ペーシングによる心不全治療実施医
日本超音波医学会認定超音波指導医
東京医科大学地域医療指導教授 |
循環器内科部長 |
田部井 史子 |
資格 |
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器学会認定循環器専門医
身体障害者指定医 (心臓機能障害)
医師緩和ケア研修会修了医 |
循環器内科医長 |
杉下 靖之 |
資格 |
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会心血管カテーテル治療専門医
身体障害者指定医 (心臓機能障害) |
循環器内科医長 |
明城 正博 |
資格 |
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定医
難病指定医
医学博士 |
循環器内科医長 |
松原 巧 |
資格 |
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本不整脈学会認定不整脈専門医
日本不整脈心電学会評議員
身体障害者診断担当医(循環器内科)
医学博士 |
循環器内科医長 |
菊池 宏信 |
資格 |
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会専門医
日本心臓リハビリテーション学会指導士
医学博士 |
治療手技・手術
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)
心臓の筋肉に血液を送っている血管(冠動脈)が動脈硬化で狭くなり、心臓の筋肉に十分な酸素が送られなくなり、胸の痛みが起きる状態を狭心症と呼びます。この部分を風船やステント(金属製の小さな金網のようなもの)を入れて膨らませることにより血管を拡げる方法です。また、血栓(血の固まり)ができて冠動脈が完全に詰まると、心臓の筋肉は壊死に陥り、非常に強い胸痛が長時間持続し、急性心筋梗塞になります。この場合にも、血栓を吸い取ったり溶かしたりすることができ、さらに、風船やステントで狭いところを拡げることができます。石灰化病変には、ロータブレーターやダイヤモンドバックも施行しています。
詳しくはこちら
経皮的動脈形成術(PTA)
下肢の血管が動脈硬化で狭くなると、歩くと下肢の筋肉が痛くなるという症状や、重い場合には潰瘍や壊死を起こすことがあり、閉塞性動脈硬化症または末梢動脈疾患と呼びます。心臓の血管と同様に、風船やステントで下肢の血管を拡げることにより、治療することができます
詳しくはこちら
カテーテルアブレーション
脈が速くなる不整脈が対象です。
心臓に細い管を入れて、電気興奮が異常に速く回る回路の一部を高周波で焼いて、不整脈が起こらないようにします。
詳しくはこちら
ペースメーカー植込み術
脈が遅くなる病気の治療です。
心臓に1ないし2本の電線を入れ、胸にぺースメーカーという心臓を電気刺激する装置を植え込み、心臓を電気刺激して脈を正常に保ちます。
外科手術ですが、胸を開けるわけではなく、局所麻酔で行います。
詳しくはこちら
経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)
重度の大動脈弁狭窄症に対する最新の治療法です。
カテーテルを使って人工弁を患者さんの大動脈弁に装着します。開胸手術が出来ない、又は手術リスクが高い方でも治療を受ける事ができます。ご希望の方は施行できる施設を紹介しますので、桐山 晧行医師(東京大学医学部附属病院 特任助教/TAVI担当)の外来でご相談ください。(第2,4,5木曜)
主な検査と説明(入院検査、外来検査)
入院検査
心臓カテーテル検査
心臓の中にカテーテルという細い管を入れて、心臓の中の圧力を測ることにより、心臓の機能を調べることができます。また、造影剤という薬を用いて、心臓の壁の動きや、心臓の筋肉に酸素を送っている血管(冠動脈)に狭いところや詰まっているところがないかどうかを調べることができます。
入院すると、受け持ち医から詳しい検査の説明があります。
詳しくはこちら
電気生理学的検査(EPS)
心臓に電極カテーテルという細い管を入れて、心臓の中の様々な場所の心電図を記録したり、心臓を電気刺激したりして不整脈の診断を行います。
こちらも、入院すると受け持ち医より詳しい検査の説明があります。
詳しくはこちら
外来検査
心エコー図
心臓に超音波を当てて心臓の動き、壁の厚さ、弁の異常などを調べます。検査時間は30分程度です。
ホルター心電図
24時間心電図です。予約をした日に病院に来て心電図と小さな機械を付けます。
家に帰って普段どおりの生活をしていただき、翌日の同じ時間に病院に来ていただき機械をはずして終了です。
不整脈や狭心症の診断に使われます。
運動負荷心電図
心電図を付けてベルトの上を走っていただく検査です。
走っている時に胸が圧迫されたり締め付けられるような症状のある方に行います。
検査時間は30分程度です。
心臓核医学検査
血液の流れに乗って心臓に取り込まれる放射性同位元素(RI)を注射してレントゲンを撮る検査です。冠動脈疾患の診断に使われます。注射で負荷をかけた状態でRIを注射し、直後と3~4時間後の2回撮影します。昼過ぎまでかかる検査です。
午後にもう一度RIを注射して合計3回撮影する場合もあります。
心臓CT
特殊な方法でCTを撮影することにより、冠動脈を検査することができます。
心臓カテーテル検査より少ない負担で検査を行うことができます。
心臓リハビリテーション
心臓リハビリテーション指導士資格を持つ理学療法士による運動療法「心臓リハビリテーション」も当院の特徴の一つです。心血管疾患の治療として定期的な運動を行うことは、疾患の再発が予防され、日常生活における活動機能が改善します。一方で心臓に病気のある患者さんでは、運動時に胸痛発作が起きたり、心不全などの症状が出る可能性もあります。このため、治療として運動を行う前に「心肺機能検査」を行い、一人ひとりの患者さんに快適かつ安全な運動量を決定しています。
心肺運動負荷試験
心臓リハビリの様子
診療実績
診療科で扱った主疾患と入院患者数
疾患名 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
急性心筋梗塞 |
32 |
36 |
64 |
その他の虚血性心疾患 |
190 |
218 |
179 |
不整脈 |
96 |
119 |
136 |
心不全 |
210 |
230 |
214 |
閉塞性動脈硬化症 |
22 |
17 |
14 |
大動脈解離 |
10 |
12 |
6 |
肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症 |
23 |
19 |
24 |
診療科で行った主な治療の件数
治療の名称 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
経皮的冠動脈インターベンション(PCI) |
115 |
122 |
105 |
経皮的末梢血管インターベンション(PTA) |
14 |
10
| 8
|
カテーテルアブレーション |
21 |
20 |
49 |
ペースメーカー植込 |
48 |
62 |
59 |
診療科で行った主な検査の件数
検査の名称 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
運動負荷心電図 |
0 |
0 |
0 |
ホルター心電図 |
431 |
603 |
591 |
心エコー |
2936 |
3082 |
3138 |
経食道心エコー |
25 |
28 |
143 |
心筋血流シンチ |
81 |
108 |
58 |
冠動脈CT |
225 |
255 |
207 |
冠動脈造影(PCI施行件数を除く) |
178 |
231 |
202 |
冠血流予備量比(FFR) |
41 |
35 |
24 |
その他
学会のデータ登録へのご協力のお願い
リンク
National Clinical Database(NCD)への登録について