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病気のはなし

予防接種について

2018年11月

統括部長 金子 正英

こどもの予防接種は、現在たくさんの種類があり、なかなか分かりづらいと思います。今回は予防接種についてお話をさせていただきます。

基本的には、母子手帳で次の接種を確認しながら一つずつ進めてもらえばよく、すべてを一度に把握する必要はありません。乳児期に行うもの、1歳過ぎに行うもの、学童期以降で行うものがあります。少しずつワクチンのスケジュールが変わっていますので、年長児も母子手帳を手にして小児科で確認されることをお勧めします。

いくつかの予防接種について個別に説明します。
乳児期に行う予防接種のうち、肺炎球菌やインフルエンザ菌(ヒブ)ワクチン、BCGは乳幼児期の重症化予防に効果的です。仮に打たないで成長した場合でも5歳以降では自分の免疫が強くなるため、これらのワクチンは接種しなくてもよくなります。肺炎球菌、インフルエンザ菌は、特に乳幼児の髄膜炎という重症感染症の予防に効果的です。いくつかのタイプや耐性菌の存在のため必ずしも効果がない場合もありますが、この予防接種のおかげで、乳幼児の細菌性髄膜炎はかなり減っています。BCG予防の実感はないと思いますが、現在日本において結核感染は少なくありません。いつ乳幼児が感染するか分かりませんので、重症化を予防するために接種が必要です。しかし、将来に渡って結核を予防できるわけではありません。

B型肝炎は、2016年から定期接種が始まりましたが、1歳までが対象のため、それよりも大きいお子さんは有料で接種となります。せん。知らずにウイルスを持っている人から血液、体液を介してうつることがあります。集団生活の中で気づかず感染することもありますので、やはりどの年齢でも将来の肝炎、肝癌を予防するために接種をお勧めします。3回の接種が必要です。

麻疹・風疹(MRワクチン)、水痘、おたふくの生ワクチンは、おたふく以外は定期接種となっています。いずれも現在は2回の接種が勧められています。水痘は1回しかうっていない方もいらっしゃると思います。公費の年齢(3歳未満)を過ぎている場合は自費になりますがお勧めします。麻疹は、ときどきニュースで出ますが、基本的に海外から持ち込まれて、地域で流行し消失することを繰り返しています。20~40代の大人は未接種か、一回のみですので、罹患者以外は予防接種が勧められます。風疹も今年流行しております。主に成人男性です。風疹は麻疹に比べれば症状は軽めですが、妊婦が罹患すると胎児奇形の原因となります(先天性風疹症候群)。こちらも合わせて予防接種をお勧めします。おたふくは、現在も小さな流行があります。任意接種のためうっていないお子さんや大人も多いと思います。子供は5~7歳くらいから小学生での罹患が多く、その親御さん世代でも感染があります。最近の調査で、おたふく後遺症としての難聴が1年で150人ほど報告されています。こういった合併症の予防のためにもできれば2回の予防接種をお勧めします。

4種混合は、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオのワクチンで、乳児期と1歳でうちます。11歳から2種混合(ジフテリア、破傷風)の追加があります。最近、大人の百日咳が増えており、11歳の年齢での百日咳をふくむ3種混合や大人での接種が必要かもしれません。

日本脳炎は、幼児期に3回、9歳以降で4回目をうちます。こどもは2015年の発生が最後ですが、実は大人では西日本を中心に毎年10人前後の発生がある病気です。高頻度に重篤な脳障害を残すためしっかりした予防接種が必要です。豚などの動物の血を吸った蚊に刺されたら感染する可能性があります。普段あまり聞かない病気ですが、なったら大変ですし、予防ができる病気ですから、ちゃんと予防接種が終了しているか確認しましょう。北海道や海外(特にアジア地区以外)で育った場合、予防接種を行っていない可能性があります。

予防接種を躊躇する理由のひとつに副反応のリスクがあります。大体10万接種中0~10人に重篤な副反応が起こると報告されています。罹患した場合のリスクや合併症の頻度に比べれば明らかに低いことをご理解ください。
主な予防接種についてお話しました。なかなかすべてを理解するのは大変ですので、何らかの受診の際に母子手帳を持って相談してください。

詳しくはこちらの診療科にて

小児科

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