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病気のはなし

お金は使わず、寝ているウチに癌予防?

2024年11月

部長 館花 明彦

お久しぶりです。緑のひろばへは、2年以上のご無沙汰だったようですが、最近の患者さんとの雑談をヒントにしました。

発癌というコトバ。しばしば目に、耳にしますよね。発癌性物質とか発癌リスクとか。アレダメ、コレダメ。喫煙、無数の食品添加物や無数の化学物質。外に出れば直射日光・紫外線。排気ガスやホコリまで。ナニからナニまできけん、危険、キケン。自分たちで避けられること、どうしようもできない事。いろいろありますが、いつもの生活ではどうしましょう。

この原稿を書いているイマ、10月でも30度越え。8月(~9月も)の盛夏は猛暑・酷暑に疲労、熟睡できなかった日も少なくないでしょう。そんな睡眠が癌と関連?ということが、少しずつ分かってきています。睡眠に絞り少し紹介してみます。

さて、朝のひかりを目が感じ、夜に脳から睡眠物質が出て、脳に眠れと指令される、と聞いたことはありませんか?朝のひかり、直射日光ではなく、木々や草花、建物や道路に反射するひかり、曇り空の明かりでも良いのです。目の奥の網膜という部分に刺激が伝わり、脳の一部にある松果体というトコロに連絡されます。ここでメラトニンというホルモンが作られますが、これもわれわれを眠らせる作用を持っています。この物質は規則正しい睡眠にはとても大切な物質で、朝の屋外で浴びた光により、12~14時間後にたくさん出るとわかっているのです。皆さんも聞いたことのある体内時計、生物時計にも重要な物質ですね。人工的に作られて睡眠導入剤の一つ(日本はこどもの特別な病気などに保険適応)にもなっています。体内時計を狂わせると、糖尿病や高血圧、肥満の危険が高まり、乳癌と前立腺癌の発症リスクが高まると、米国から発表されています。メラトニンは性ホルモンの分泌を抑える働きも認められているので、しっかり眠っている間にたくさん分泌されるメラトニンは、乳癌や前立腺癌の危険を下げるという作用なのです。逆に夜勤者や交代勤務者は、この癌のリスクは高まっています。当院のスタッフを怖がらせるつもりはありませんが、本当らしいのです。また不眠や良好な睡眠ができない場合、免疫力が低下してあらゆる癌の発生リスクが上がることが報告されていますし、また、発生した癌の増殖力が高まることもわかっています。不眠によりストレスホルモンの一つであるコルチゾールという物質がたくさん出て、高血圧や糖尿病の悪化、免疫力の低下と発癌や癌増殖に作用することも指摘されているのです。

良質の睡眠をしっかりとる、できるだけ規則正しく眠る、これは美容のためだけでなく、癌の発生や増殖の抑制にとても大切な働きがあることを、今回はお伝えしました。高価なサプリメントを買うより、怪しい民間療法より、お手軽な癌予防ですね。睡眠とメラトニンには、酸化の防止作用も確認され、お肌をはじめとした脳までの全身、そして老化対策にも極めて有効と考えられているのですよ。では、おやすみなさい。

詳しくはこちらの診療科にて

乳腺外科

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