病気のはなし
“風疹ゼロ”プロジェクト
平昌オリンピック・パラリンピックでの選手たちの活躍も記憶に新しいところですが、次は2020年東京オリンピック・パラリンピックです。ここ世田谷区でも馬事公苑での馬術競技の開催やアメリカ選手団のキャンプが予定され、2年後に向けて皆さんの周りでも準備が進められていることでしょう。実は私たち産婦人科医も、2020年をめざして”風疹ゼロ”プロジェクトを立ち上げ、先天性風疹症候群にかかってしまう赤ちゃんをゼロにして風疹を完全に抑制しようと活動しています。
先天性風疹症候群とは?
妊娠中(特に妊娠初期)に初めて風疹にかかった時、風疹ウイルスが胎児にも感染してしまうと、赤ちゃんに白内障や緑内障、先天性心疾患、難聴が引き起こされることがあります。このように、子宮の中で風疹に感染することで起きる胎児の病気を先天性風疹症候群と呼んでいます。
風疹の予防について
風疹はかかってしまうと治療する方法はありません。ですから、妊娠中に風疹にかからないように、妊婦さんに風疹をうつさないように、予防することがとても大切です。現在は1歳児と小学校入学前1年間の幼児にMR(麻疹風疹)ワクチンが接種されていますが、1977年から1995年までは中学生の女子のみがワクチン接種の対象になっていました。その結果、現在30〜50歳代の男性は風疹に対する免疫がない方が多くいらっしゃいます。実際2013年に日本で風疹が大流行した時は、発症者の8割が30〜40歳代の男性でした。この流行の影響で、45人の赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断されています。
世田谷区の取り組み
①風疹抗体検査の費用が助成されます
これから妊娠を希望する女性とそのパートナー、風疹抗体価が低いことが判明している妊婦さんの配偶者は、一人1回に限り風疹抗体の検査が全額助成されます。風疹の予防接種を受けたことがある方など対象にならない方もいらっしゃいますが、事前に世田谷保健所感染症対策課に連絡し、助成券をもらってから指定医療機関を受診してください。
②風疹抗体価が低い女性の、風疹予防接種費用が一部助成されます
風疹抗体検査を受けて抗体価が低いことが確認された場合や、妊婦検診で風疹抗体価が低く、出産後すぐに接種を受ける場合は、風疹ワクチンまたはMR(麻疹風疹)ワクチンを区からの助成金額の差額で接種できます(※妊娠中はこれらのワクチンは接種できません)。指定医療機関に助成券がありますので必要事項を記入して使用してください。
当院も指定医療機関になっています。
風疹抗体の検査も予防接種も可能ですから必要な方は受診し、2020年には風疹をゼロにしましょう!(世田谷区以外の多くの自治体でも同様の助成が受けられます。詳しくはお住いの自治体の保健所にお問い合わせください。)
“風疹ゼロ”プロジェクトメッセージ2018
- 海外にでかけるなら風疹の用心と万全の 対策を!
- 海外から帰国後の体調異変はもしかしたら 風疹かも!診察をうけてから職場へ
- 30〜50代の男性は風疹への抵抗力が弱 い人が多く、ぜひMR(麻疹風疹)ワクチンを接種してください(かかりつけ医、職場 健康相談で尋ねてください)。
- 妊娠を考えているおふたりへ
風疹対策は大丈夫ですか?予防接種は 妊娠前に忘れずに!
詳しくはこちらの診療科にて