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病気のはなし

突然の股関節 大腿骨近位部骨折治療と2次骨折予防

2023年2月

部長 赤坂 嘉之

以前、2021年2月号で「変形性関節症と人工関節置換術」について紹介させていただきました。(https://www.kanto-ctr-hsp.com/ill_story/202102_byouki.html) 関節軟骨がすり減ることによる「変形性関節症」は徐々に痛みが悪化することが多い病気ですが、今回は突然の股関節痛、大腿骨近位部骨折治療と2次骨折予防について紹介します。

突然の股関節痛で、“足を引きずるようになった”、“足を着くことができなくなった”という患者さんを診察する機会があります。患者さんの年齢や併存疾患など考慮する点はありますが、成人の方では「大腿骨頭壊死症」や「大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折」、「一過性大腿骨頭萎縮症」、「がんの骨転移」などを疑い必要に応じてMRI検査を行うことが診断の助けとなります。診察、画像所見などを参考に治療方針を検討し、説明いたします。

突然の股関節 大腿骨近位部骨折治療と2次骨折予防

手術治療の緊急性は後に紹介する骨折ほどではないものの、早期に手術を行ったほうが良いケースもあるため、相談いただければと思います。治療方針を考える際には治療法の利点欠点を考えるのと同時に、痛みで動けなくなることによる体力の低下や運動をしないことでの内科疾患コントロールの問題、人との交流が疎遠になることによるこころの問題も考えると良いでしょう。より良い生活が送れるように、患者さんとともに考えてゆきます。

大腿骨近位部(足の付け根:股関節)骨折について

いわゆる外傷による足の付け根の骨折(「大腿骨転子部骨折」や「大腿骨頚部骨折」をあわせて「大腿骨近位部骨折」といいます)は、もとからの筋力・体力低下や他の運動器疾患の影響もあるのでしょうが、思いがけないタイミングで突然起こります。「不顕性骨折」というレントゲンではわからない骨折もあり、受傷直後は歩ける人も稀にいます。しかし、多くの人は自分の力で立ち上がることができずに救急車で受診されます。
高齢者に多い「大腿骨近位部骨折」は、骨粗鬆症を背景とし、自立した生活に影響する部位の骨折であり、当院では院内多職種連携による次の骨折を防ぐ治療(2次骨折予防)にも取り組んでいます。
治療の基本的考え方は早期手術、早期リハビリテーションで、体内に金属などの器械(インプラント)を入れて治療します。また最近は、以前入れたインプラント周囲での骨折をする患者さんもいらっしゃいます。

突然の股関節 大腿骨近位部骨折治療と2次骨折予防

元の生活状況や併存疾患の状態などにより、患者さんごとに目標ゴールは異なりますので、ケースワーカーを中心に退院転院の調整をお手伝いさせていただきます。

院内多職種連携~次の骨折を防ぐために骨粗鬆症治療を行いましょう

若い頃の正常なホネ(骨)では、軽い尻もちなど軽微な外力によって骨折するようなことはありません。骨が弱くなる骨粗鬆症の要因は、加齢による体内環境の変化のほかに、運動量の減少やフレイル、栄養の不足や偏り、病気治療に必要で使用している薬剤の影響、生活習慣病を含む併存症の関連なども考えられます。

突然の股関節 大腿骨近位部骨折治療と2次骨折予防

運動・栄養・社会活動参加・骨粗鬆症治療薬による骨折予防を、早い時期からかかりつけの医師と相談することが重要です。また骨粗鬆症治療薬使用にあたっては、口腔内衛生を確認してからの使用が安全ですので、歯科医の先生による定期的な診察もとても大切です。
足の付け根(大腿骨近位部骨折)や背骨(脊椎圧迫骨折)などの骨粗鬆症を背景とする骨折(脆弱性骨折)は、活動性や移動能力、生活の質を低下させ、健康寿命にかかわってくる骨折です。さらにこれらの脆弱性骨折では「骨折の連鎖」といった他の部位や反対側の骨折が引き続き起こる危険性が高いため、次の骨折を防ぐ治療(2次骨折予防)が欠かせません。
当院では他科・関連部署との協力体制が整っており、早期手術・リハビリテーション介入が可能です。手術後の患者さんはリハビリテーション目的での転院となる方が多いのですが、入院中から2次骨折予防のための治療・指導を院内多職種で連携しながら行い、繰り返す脆弱性骨折の予防に努めています。

整形外科に限ったことではありませんが、手術を含めた全ての治療は、医師の力のみでは良い結果を導くことはできません。外来や病棟で接する頻度が多い看護師、リハビリスタッフのほかに、放射線・検査技師、薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなど多くのスタッフが、患者さんの回復のため専門知識・技術を結集して治療にあたっています。患者さん一人一人を大切に考え、早期回復を目標に治療・お手伝いしていきますのでご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

また「緑のひろば」2022年12月号の『画像診断の話』では骨の強さについて紹介しており、当院ホームページ上でもご覧になれます。

関連リンク

突然の股関節 大腿骨近位部骨折治療と2次骨折予防

高齢者の「せぼね」の骨折については、「緑のひろば」2019年9月号で紹介しております。
但し、現在当科では脊椎手術は行っておりませんので、手術必要時は他院へ紹介させていただきます。

詳しくはこちらの診療科にて

整形外科

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