皮膚科概要
診療体制
外来は通常、医師3名、看護師2名、クラーク1名で行っています。
特別な処置・手術は完全予約制です。それ以外の外来は予約なしでも診察しますが、予約のある患者さんを優先します。
当科受診時には、前医からのご紹介状、お分かりになる限りの現在までの経過、過去・現在のすべての内服薬・外用薬の情報・残薬などをご持参下さい。
治療方針
病状について、できるかぎり分かりやすくお話しし、ご本人またはご家族の意思を尊重して治療していきます。また、学会や論文などで最新の情報を得て、診療に役立てます。
取り扱う主な疾患
ありふれたものから珍しいものまで幅広く診療します。
代表的なものは湿疹、接触皮膚炎、薬疹、アトピー性皮膚炎、じんましん、尋常性乾癬、細菌感染症(トビヒ、おでき、蜂窩織炎、丹毒、壊死性筋膜炎など)、ざそう(にきび)、真菌感染症(みずむし、爪みずむし、たむしなど)、ウイルス感染症(帯状疱疹[50歳以上の方へのワクチンについてはこちら]、いぼ、みずいぼなど)、褥瘡、やけど、けが、糖尿病、および閉塞性動脈硬化症などによる皮膚潰瘍、粉瘤・ほくろ・脂肪腫などの良性腫瘍、悪性黒色腫・基底細胞癌・有棘細胞癌などの悪性腫瘍、陥入爪、膠原病、血管炎、内臓疾患に伴う皮膚病変、天疱瘡、類天疱瘡、円形脱毛症、多汗症、太田母斑、後天性両側性太田母斑様色素斑、異所性蒙古斑、外傷性刺青、苺状血管腫(乳児血管腫)などです。
スギ花粉症、ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎も診療します。
担当医紹介
皮膚科部長 | 鑑(かがみ) 慎司 |
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資格 | 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 日本レーザー医学会レーザー専門医・指導医 医師緩和ケア研修会修了 |
皮膚科医員 | 古山 千晶 |
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資格 | 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 日本医師会認定産業医 医師緩和ケア研修会修了 |
皮膚科医員 | 内田 百佳 |
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皮膚科医師 | 種村 真一 |
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皮膚科医師 | 中馬(ちゅうまん) 久美子 |
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治療手技・手術
皮膚良性腫瘍、皮膚悪性腫瘍
粉瘤・ほくろ・脂肪腫などの良性腫瘍から悪性黒色腫・基底細胞癌などの悪性腫瘍まで幅広く対応しております。
疾患によって、外科的手術、液体窒素による冷凍凝固療法、電気焼灼、炭酸ガスレーザーなどを選択します。植皮、皮弁やリンパ節生検をすることもあります。
レーザー治療
Qスイッチアレキサンドライトレーザーを用いて、原則として保険適応のある疾患の治療(太田母斑、後天性両側性太田母斑様色素斑、異所性蒙古斑、外傷性刺青など)を実施します。
乳幼児から成人まで対応します。
苺状血管腫(乳児血管腫)に対するプロプラノロール内服療法
当院では2012年より臨床試験を実施しました。レーザーなど従来の治療より効果が高いです。
2016年9月から保険診療で処方できるようになりました。当院では入院の必要は無く、外来で実施しています。
円形脱毛症
全身的疾患の精査の後、液体窒素、ステロイド外用、塩化カルプロニウム外用などを行います。重症例ではSADBEやDPCPによる局所免疫療法、ステロイド局所注射、ステロイドパルス療法、経口JAK阻害薬などを行います。
褥瘡、糖尿病性皮膚潰瘍、うっ滞性皮膚潰瘍など
細菌感染を伴う場合は抗生物質を投与し、必要なときはポケット切開、壊死組織の除去、局所陰圧閉鎖処置、および多血小板血漿処置も行います。
乾癬
外用療法、紫外線療法、内服療法から生物学的製剤まで様々な治療を実施できます。
水疱症
天疱瘡や類天疱瘡の重症例には、ステロイド内服、免疫抑制剤内服、免疫グロブリン大量療法などを実施できます。
多汗症
塩化アルミニウム外用や抗コリン薬内服の他に、腋窩で重度の場合はボトックス注射を行います。
湿疹、皮膚炎群
アトピー性皮膚炎はガイドラインに沿って、皮膚症状に対し適切な治療をします。
アトピー性皮膚炎の重症例には生物学的製剤や経口JAK阻害薬を用いることもあります。じんましんの生物学的製剤も実施可能です。
接触皮膚炎、薬疹などのアレルギー疾患は、その原因を究明するため、パッチテストや皮内テストやDLSTを積極的にしています。金属パッチテストやパッチテストパネルも扱っています。
光線療法
Narrow band UVBで、尋常性乾癬、尋常性白斑、皮膚悪性リンパ腫、掌蹠膿疱症などの治療を行います
内臓疾患に伴う皮膚病変
閉塞性動脈硬化症、糖尿病、膠原病、血管炎などは他科と連携して、最適な治療をします。
陥入爪
外科的治療、ワイヤ法、ガター法、巻き爪用クリップ、フェノール法などを行います。
舌下免疫療法
スギ花粉症およびダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法もできます。
主な検査と説明(入院検査、外来検査)
ダーモスコピー
光の乱反射を抑え、明るい光源を用いて拡大して観察すると、ほくろとがんの識別に役立ちます。
皮膚の生検
病変部を局所麻酔下に少し採って、組織検査し、診断します。
様々な病変で行う検査です。採るのは少しの皮膚でも多くの情報を得ることができ、重要な検査です。
アレルギー検査
接触皮膚炎・薬疹など、アレルギーの関与が疑われる場合に行う検査です。
IgE抗体の測定、パッチテスト、プリックテスト、皮内テスト、DLSTなどいろいろな方法があります。 必要に応じて行います。
画像診断
当院の画像診断科によって、超音波診断、CT、MRIなどを行い、病変を外部から診断するのに役立てます。
診療実績
主疾患別入院患者数
疾患名 | 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 |
---|---|---|---|
帯状疱疹 、他ウィルス感染症 | 29 | 22 | 28 |
湿疹、皮膚炎 | 6 | 4 | 3 |
薬疹、薬疹疑い | 2 | 1 | 5 |
皮膚潰瘍 | 14 | 31 | 32 |
膠原病 | 2 | 0 | 1 |
水疱症 | 7 | 12 | 9 |
細菌感染症 (丹毒、蜂窩織炎、溶連菌感染症等) |
50 | 41 | 41 |
皮膚悪性腫瘍(手術以外) | 1 | 0 | 0 |
熱傷、外傷 | 1 | 1 | 2 |
円形脱毛症 | 5 | 6 | 6 |
その他 | 4 | 2 | 7 |
外科的治療を要した疾患 |
|||
皮膚良性腫瘍 | 8 | 9 | 11 |
皮膚悪性腫瘍 | 13 | 13 | 6 |
褥瘡 | 14 | 13 | 17 |
その他(壊死性筋膜炎など) | 12 | 3 | 12 |
※1名で数種の病名を持つ場合を含む。
診療科で行った主な手術や処置の件数
手術名 | 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | |
---|---|---|---|---|
手術室 | 切除,縫合,植皮,皮弁 | 40 | 34 | 31 |
皮膚切開,デブリードマン,その他 | 11 | 12 | 19 | |
計 | 51 | 46 | 50 | |
外来 (外来で行った治療も含む) |
Cryosurgery(液体窒素) | 1,258 | 1,159 | 1,243 |
SADBE,DPCP(円形脱毛症治療) | 115 | 58 | 12 | |
陥入爪手術 (フェノール法,ガター法,ワイヤ法) |
19 | 11 | 19 | |
ボトックス局注 | 8 | 8 | 9 | |
ナローバンドUVB | 1,040 | 877 | 887 | |
手術 |
315 | 227 | 271 | |
Qスイッチレーザー | 28 | 11 | 22 | |
CO2レーザー | 29 | 20 | 25 | |
モーズ法 | 18 | 17 | 16 | |
多血小板血漿処置 | 7 | 1 | 5 | |
舌下免疫療法 | 25 | 28 | 24 | |
計 | 2,862 | 2,417 | 2,533 |
診療科で行った主な検査・治療、特殊な検査の件数
病名 |
令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 |
---|---|---|---|
皮膚生検 | 126 | 117 | 116 |
貼付試験 | 23 | 11 | 13 |
皮内試験(プリック・テストを含む) | 7 | 6 | 7 |
当科紹介受診数
(2021年1月から2021年12月までの集計)
紹介患者さんの年代
年齢 | 人数 |
---|---|
0歳代 | 19 |
10歳代 | 45 |
20歳代 | 68 |
30歳代 | 71 |
40歳代 | 111 |
50歳代 | 116 |
60歳代 | 106 |
70歳代 | 161 |
80歳代 | 106 |
90歳代 | 62 |
100歳代 | 5 |
紹介患者さんの病名
病名群 | 人数 |
---|---|
粉瘤 | 60 |
帯状疱疹 | 42 |
母斑細胞性母斑 | 34 |
蜂窩織炎 | 32 |
湿疹 | 29 |
脂漏性角化症 | 27 |
中毒疹、多形紅斑 | 22 |
蕁麻疹 | 20 |
脂肪腫 | 20 |
外傷後皮膚潰瘍 | 20 |
血管腫 | 19 |
うっ滞性皮膚炎・皮膚潰瘍 | 18 |
円形脱毛症 | 17 |
基底細胞癌 | 16 |
血管奇形 | 16 |
褥瘡 | 16 |
薬疹、薬疹疑い | 16 |
痒疹 | 13 |
ガングリオン | 13 |
アトピー性皮膚炎 | 12 |
白癬 | 12 |
リンパ節腫脹 | 12 |
有棘細胞癌 | 12 |
陥入爪 | 12 |
尋常性乾癬 | 11 |
水疱性類天疱瘡 | 11 |
金属アレルギー | 10 |
掌蹠膿疱症 | 9 |
色素沈着症 | 8 |
皮膚線維腫 | 8 |
紹介患者さんが受けた検査
(直接鏡検、採血、ダーモスコピーは除く)
検査 | 人数 |
---|---|
超音波検査 | 105 |
皮膚生検 | 96 |
CT撮影 | 21 |
MRI撮影 | 18 |
パッチテスト | 15 |
ABI(足関節上腕血圧比) | 12 |
DLST(薬剤誘発性リンパ球刺激試験) | 11 |
TBI(足趾上腕血圧比) | 3 |
プリックテスト | 2 |
皮内テスト | 1 |
MED(最小紅斑量試験) | 1 |
紹介患者さんが受けた処置
(いぼ冷凍凝固法、創傷処置、炭酸ガスレーザーは除く)
処置 | 人数 |
---|---|
ナローバンドUVB照射 | 12 |
局所陰圧閉鎖処置 | 6 |
ガングリオン穿刺術 | 4 |
放射線照射 | 2 |
Qスイッチアレキサンドライトレーザー照射 | 1 |
モーズペースト | 1 |
多血小板血漿処置 | 1 |
紹介患者さんが受けた手術
手術 | 人数 |
---|---|
皮膚、皮下腫瘍摘出術 | 108 |
皮膚切開術 | 35 |
皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) | 30 |
皮膚、皮下、粘膜下血管腫摘出術 | 7 |
陥入爪手術 | 5 |
分層植皮術 | 4 |
全層植皮術 | 1 |
皮弁作成術 | 1 |
デブリードマン後に再建 | 1 |
マチワイヤ | 1 |
口腔粘膜の手術 | 1 |
毛巣洞手術 | 1 |
紹介患者さんの入院の有無
入院 | 人数 |
---|---|
紹介受診日に入院 | 64 |
後日に入院 | 38 |
入院せず | 768 |