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病気のはなし

背骨の手術をすると、歩けるようになるんです

リハビリテーション科部長   村上 元昭

今回は、背骨の手術についてのおはなしです。

 背骨の手術と聞いて、「椎間板ヘルニア(ついかんばんへるにあ)」を思いついた方は多いのではないでしょうか。あるいは、「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」を想像されたかもしれません。でも、いずれの病気も手術しないといけない方は多くありません。自然と良くなることの方が多いのです。

 なぜ自然に良くなるかというと、例えば椎間板ヘルニアは自然と消えてなくなってしまうことがあります。椎間板の一部の柔らかい部分が殻を破って中からはみ出したものがヘルニアですが、ご自身のからだがこのヘルニアを溶かす(吸収する)力を持っているのです。ちょっと小さくなるだけでも良くなりますし、全然大きさが変わってないように見えても、ヘルニアが触っている神経の腫れ(炎症)がとれてくると少しづつ痛みが減っていきます。

 脊柱管狭窄症は背骨の形が加齢で変化・変形することが原因です。硬い骨が自然と消えてなくなることはありませんが、それでも痛くない姿勢や行動をするようにご自身で注意していると、狭窄症の痛みもいったんは落ち着いてしまうことがよくあります。

 では、良くなるのになぜ手術をするのでしょう。良くなるにしてもそれまでに必要な時間は、1〜2週のこともあれば2〜3か月だったり様々です。すると中には3か月以上、あるいは1年も待ったのに痛みが取れなかったためゴルフや旅行にも行けないでいる、なんてこともあります。また、いったん良くなったけれど半年くらいでまた痛みが出てきてしまった、という人もいます。「早く良くなって仕事や家事を再開したい」「旅行に行きたい」、そのような方々にとって手術は良い治療方法だと思います。もちろん身動きも出来ないくらいの痛みがはじめからずっと続いている人は、その痛みから早く解放されたいでしょう。手術のメリットは、早く、そして高い確率で痛みが良くなることです。そう思って患者さんに手術の話をすると、「背骨の手術なんて危険!」「手術したら車椅子になるんでしょう?」とおっしゃる方がいます。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の手術において、通常そのようなことはありませんのでご安心ください。背骨の手術は安全です。そして、良くなっていただくための手術なのですから、元気に歩いて退院することが目標です。

 背骨の手術が「安全です」と言えるのは、例えば20年前と比べると医療が格段に進歩したからです。手術で使用する器材が良くなり、体に埋め込む金属などの種類が豊富になりました。精密な画像検査を手早く繰り返し行えるので、診断の精度が良くなり、あらかじめ危険を回避するような準備ができます。そして患者さんの負担の少ない手術方法がいろいろと考案され、翌日に座ったり立つことができて、1〜2週間での退院が目安です。ただ、高齢者や体力の乏しい方では同じというわけにいかないことがあり、退院まで準備に長期間必要なことがあります。 あと知っておいていただきたいのは、病気の状態には個人差がありますので、重症な方の場合は手術をしても現状維持が精一杯だったり、手術前より悪化してしまうことが避けられない場合もあります。手術をお考えになったら、担当医の話をよく聞いて相談されることをお勧めします。


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