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病気のはなし

内視鏡の進歩 -痛みがない・お腹を切らない内視鏡-

2023年12月

部長 渡邉 一宏

私たち内視鏡専門医がいつも使って頼りになる内視鏡、患者さんの早期がんの発見・治療に頼りになる内視鏡。今回はこの内視鏡の歴史と、みなさんが受けられる内視鏡治療についてです。

内視鏡は1850年代の硬性鏡→1930年代の軟性鏡→1950年代の胃カメラ→1957年のファイバースコープ→1983年に米国で開発された電子スコープに進化してきました。米国で開発されたにも関わらず、現在の内視鏡の世界市場は、7割がオリンパス、残りの富士フィルム、ペンタックスを合わせて9割以上のシェアとなり、この世界で日本の高い技術力が誇示されています。私個人として日本は、日本人内視鏡医師の手先が器用なことや検査が受けやすいこと、かかる費用も納得の世界最高レベルと思っています。その費用面では、医療制度の違いはありますが、ニューヨーク・タイムズによると米国で大腸内視鏡を受けると6,385〜9,142ドルだったとのことでした。1ドル140円とするならば89万4千円〜128万円となります。日本で大腸ポリープ切除治療を受けたとして保険診療3割負担として3万円です。米国の内視鏡費用は高すぎますね。続いて英国は、まずはホームドクターに受診してから内視鏡ができるところに紹介されます。多くはすぐ内視鏡は受けられずに、希望した内視鏡検査受けるまでには3ヶ月以上はかかリます。どう感じましたか?海外赴任の方には、ぜひ地元の世田谷で内視鏡検査を受けてと説明しています。さて私は世田谷胃がん内視鏡検診の世田谷区スーパーバイザーをしております。拝見するクリニックの内視鏡画像と診断レベルは非常に高く、患者さんからしてみれば、世田谷のどこのクリニックで検査を受けても十分満足ができるでしょう。あとは私、内視鏡研修講演(世田谷区保健所と世田谷区保険センター主催、2023年10/23-You tube 医師会員限定公開)なども行い、クリニックと当科の内視鏡医療連携をしています。

次に先端医療についてです。今までは混合診療(保険診療と保険なしの自費診療を同時に行う)は禁止されてきました。先端医療では、医療技術が一定の基準を満たす保険医療機関は届出により保険診療との併用ができるものとなっています。例えば我々の消化管内科の先端医療になりきれていない自費診療は、 (1)内視鏡的胃内バルーン留置術 (湯原医長による自費診療 55万円)、これは、コロナ禍などで高度肥満になってしまった人に対して行う治療です。2泊3日入院にて胃内にシリコン風船を入れて胃のスペースを減らしてから食事療法を開始し、6か月後、肥満改善してから外来で内視鏡により風船を割って取り出すもので、お腹を切らないため体に優しく、全て内科内視鏡でできます。(2)ピロリ菌除菌自費診療(3回の受診で 1万7千500円)、これはペニシリン・アレルギーや今までの保険診療での除菌薬でピロリ菌が残ってしまった人が対象です。いま(1)、(2)は自費診療ですが、いずれは保険診療になると思います。ちなみに我々が2005年から行なっているお腹を切らない大腸内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、もともと先端医療でしたが2010年の日本全国精鋭の施設と我々当科との健闘により2012年に保険承認されました。これにより現在は、すでに多くの患者さんが保険でこの治療を受けられるようになっています。

話は変わり最近、当科にお問合せが多い内視鏡ロボット手術、この場合の内視鏡は腹腔鏡など(進行がんに対する外科内視鏡)のことを指していて、我々の早期がんに対するお腹を切らない内科内視鏡のことではありません。この手ぶれのなく可動域の広い外科内視鏡治療のロボット支援手術(機械の名前からダビンチ手術とも言う)は現在、保険診療で受けることができます(当院にはダビンチは、ありません)。

最後に多くの治療法にはそれぞれに長所・短所があります。むやみに民間医療に飛び付いたりしないで、まずは先端医療も含めて その治療を得意とする病院実績を検索したり、かかりつけ医に相談するのも得策と思います。消化管に関しては、何かありましたらお気軽に当科セカンド・オピニオンでご相談ください。それ以外の場合は ご自身の資料などを初診外来に持参してもらうと大変に助かります。また検査希望者には、痛みのない鎮静での内視鏡検査(眠った状態での検査)も用意しております。いつも皆様のご健康をお祈りしております。

詳しくはこちらの診療科にて

消化管内科

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