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病気のはなし

肥満症に対する外科手術について

2025年7月

叶多 寿史

はじめに

肥満症は糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの様々な生活習慣病の原因となる疾患です。また、変形性膝関節症による膝関節痛や、睡眠時無呼吸症候群による睡眠不足など、日々の生活に直接支障を来すような症状をお持ちの方も多いのが特徴です。特にBMI※35以上の高度肥満症患者さんは、合併症により平均寿命が明らかに短いことが今までの研究でわかっています。

肥満症に対してはまず栄養指導、運動指導を中心とした内科的治療が試みられますが、高度肥満症患者さんにおいては、リバウンドしてしまうことも多く、残念ながら改善効果が少ないとされています。そのような治療に難渋する高度肥満症患者さんに対する選択肢として肥満外科手術があります。肥満外科手術は1980年代初めにわが国に導入されて以降、手術件数は限られていましたが、近年、腹腔鏡下手術が導入され、さらに2014年医療保険制度にも取り入れられ、増加傾向にあります。

肥満症に対する外科治療の有効性は内科的治療に比べて著しく高いことがわかっています。また、糖尿病などの肥満症に関連した代謝疾患に対しても有効性が高いことから、代謝改善手術 (Metabolic surgery)としても大変注目されています。

※BMI:Body Mass Index 体重[kg] ÷ ( 身長[m] × 身長[m] )で算出された値

肥満外科手術の保険適応基準

肥満症に対して6ヶ月以上の内科的治療を受けても十分な効果が得られない、BMIが35以上の高度肥満があり、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群、非アルコール性脂肪性肝疾患のうち、一つ以上を有している方が対象となります。

また、BMI 32以上においても基準をみたせば適応となることがあります。ご年齢においては保険適応上の決まりはありませんが、日本肥満症治療学会が作成している治療ガイドラインにおいては65歳以下が推奨されています。

上記の条件を満たしていても、患者さんのお体の状態によっては対象とならない場合もありますので、詳しくは担当医にお聞き下さい。

手術方法

手術は腹腔鏡を使用し、傷の小さい、体に負担の少ない方法で行います。肥満外科手術にはさまざまな術式がありますが、当院では腹腔鏡下スリーブ状胃切除術(下図)を行っています。これは胃をバナナ状に細長く切除して、食事摂取量を減らす術式です。

腹腔鏡下スリーブ状胃切除術

手術による合併症

腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は安全性の高い手術法ですが(死亡率0.2%)、縫合不全1~2%、逆流性食道炎、通過障害などの合併症が起こることがあります。

チーム医療

肥満治療においては医師のみならず、多職種の関わりが重要であると考えられています。当院でも看護師、栄養士、臨床心理士、理学療法士が肥満症治療チームとしてメンバーに参加しており、術前、術後を通して、患者さんのサポートをさせて頂きます。患者さんは肥満症治療チームメンバーの中心であるとお考え下さい。

最後に

肥満外科手術は肥満症に対して有効性の非常に高い治療方法ですが、手術を受けるだけでは最大の効果は得られません。治療を成功させる為には、今までの生活そのものを変えて、規則正しい食習慣や、運動習慣を身につけて頂く必要があります。
手術は肥満治療に対するきっかけと考えて頂ければと思います。

肥満・減量外科外来のご案内
診療日:肥満・減量外科外来 金曜日(第1、3、5週)、午前(予約制) 
担当医師:外科 叶多寿史
お問い合わせ:外科外来 TEL:03-3429-1171(内線 3006)
肥満・減量外科外来 受診希望とお伝え下さい。その際にいくつかのご質問をさせていただきます。(質問事項: 年齢、身長、体重、内科受診歴 等)
上記の手術条件にあるように、手術を受けていただくためには内科治療が十分になされていることが条件になりますので、受診時には同時に糖尿病・内分泌内科の診察も受けて頂きます。肥満症、糖尿病などで、かかりつけ医のある方は紹介状を持参いただけるとスムーズです。

詳しくはこちらの診療科にて

外科

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