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公立学校共済組合 関東中央病院

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病気のはなし

糖尿病に関する最近の話題 2021年度

糖尿病・内分泌内科 部長 岡畑 純江

 青葉の色が目にしみる六月、みなさま元気でお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。新型コロナウイルス対策の初回緊急事態宣言が発布された2020年4月から早2年が経過し、コロナ禍も3年目を迎えようとしております。このような時代にあっても2021年12月に厚生労働省が公表した日本人の平均寿命は男性81.4歳、女性87.4歳、健康寿命は男性72.6歳、女性75.3歳と何れも過去最高となりました。一方で2021年は糖尿病治療の歴史においてインスリン発見100年の節目であり、現在まで様々な経口・注射薬剤が研究開発され糖尿病患者さんの予後は格段に改善されてきました。このように世界でも類を見ない長寿国となった日本において糖尿病と関わりながら生きる患者さんの寿命の延伸のみならず質を考慮した「糖尿病をもつ人が安心して社会生活を送り、人生100年時代の日本でいきいきと過ごすことができる社会形成を目指す活動(アドボカシー活動)」が日本糖尿病学会・日本糖尿病協会(以下、日糖協)により提唱されています。当院でも1975年に設立された糖尿病患者会「欅(けやき)会」が試行錯誤の活動を継続しております。日糖協が会員向けに刊行している月刊誌「さかえ」の2021年度の特集タイトルから糖尿病を取り巻く最近の話題を纏めてみたいと思います。

4月号 睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の関係

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は睡眠中に10秒以上の無呼吸状態を繰り返す病気です。2型糖尿病患者の4~8割にSASが関連しているといわれ、SASが糖尿病合併症を悪化させるという報告もあります。いびきや日中傾眠がある人は注意が必要です。

5月号 心不全と糖尿病の新たな関係

糖尿病患者に心機能低下が合併しやすく、その傾向が高齢者に高いこと、一方で心不全が重症化すると糖尿病の合併が高くなることがわかってきました。このような中でSGLT2阻害薬という糖尿病薬が糖尿病患者の心不全を改善する可能性が報告され注目されています。

6月号 糖尿病とむくみ

「むくみ」には①糖尿病腎症②うっ血性心不全③肝硬変④お薬など、様々な原因があることと、その改善策としては①適度な運動②塩分・水分制限③良好な糖尿病治療を行うこと④感染症を予防することなどが挙げられます。日頃から手足のむくみの有無の観察が大切です。

7月号 熱中症の対策と予防

熱中症を引き起こす条件3つ①環境:高温、高湿度、日射し等②体:高齢者、肥満、持病(糖尿病)、低栄養、脱水等③行動:激しい・慣れない運動、長時間の屋外作業等。感染対策のマスクも熱中症のリスクとなるため、着用ルールを守りながら熱中症対策にも気を付けましょう。

8月号 心療内科医から見た糖尿病

こころと体は双方向で影響を与え合っています。糖尿病があること自体をストレスに感じる一方で、そのストレスが糖尿病に影響を与えることもあります。「自己効力感」“うまく糖尿病治療を行うことができるという自信を持つこと”が重要と言われています。

9月号 災害時の対策

大規模な地震や水害などの災害が相次いで発生しており避難生活を想定して防災用品と共に避難用お薬「飲み薬(1週間分)、インスリン注射(1本以上)と針、お薬手帳(処方箋)のコピーやスマートフォンに写メで記録、ブドウ糖、補食用ビスケット」も準備しておきたいですね。

10月号 糖尿病から腎臓を守る“くすり”の話

糖尿病腎症を発症・進展させないことは、患者さんの健康・QOL(生活の質)を守るために重要です。糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬、高血圧治療薬のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は腎臓を守るという点からも注目されています。

11月号 がんに備える―糖尿病患者として知っておきたいがんのこと―

糖尿病患者さんの死因の第1位はがん(全体38%、男性40%①肺がん②肝臓がん③膵臓がん、女性33%①膵臓がん②肝臓がん③白血病・リンパ腫)であり、糖尿病合併症による血管障害を上回っています。

12月号 糖尿病と皮膚疾患

糖尿病に関連して起こる皮膚の病気は水虫・たむし(白癬)、うおのめ(鶏眼)、たこ(胼胝)、糖尿性潰瘍・壊疽、蜂窩織炎等の合併症・併存症として生じることが多いですが、糖尿病治療薬の服用に伴うこともあります。

1月号 勇気を与えられる存在になりたかった―1型糖尿病とともに生きる― 阪神タイガース・岩田稔さん

17歳で1型糖尿病発症後もインスリン治療を続けながら2005年プロ野球入団時「1型糖尿病患者の希望の星になりたい」と語り、2021年マウンドを降りた岩田稔元選手のインタビューです。

2月号 糖尿病と“しびれ”

糖尿病患者の「しびれ」には糖尿病神経障害(左右対称両側性に足趾・足裏からゆっくりと上行する)や手根管症候群(片側性に小手指以外の指先がジンジン)、頚椎症・腰椎症(上肢或いは下肢に姿勢の変更時や歩行時に症状の変化がある)など原因が糖尿病によるものと別の疾患によるものがあります。

3月号 脂肪肝の新しい概念

飲酒量によって分類されていた脂肪肝(Non-alcholic fatty liver disease:NAFLD)が、糖尿病や肥満などの代謝異常を認める場合「Metabolic dysfunction associated fatty liver disease:MAFLD(代謝異常関連脂肪肝)」という新しい概念で提唱されるようになりました。

「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」
(If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.)

 現首相が所信表明演説で引用して日本でも注目されたフレーズで、米国の元副大統領がノーベル平和賞授賞式の演説で引用して有名になったアフリカの諺だそうです。コロナ禍が明け、初夏のような爽やかな日常が戻ることを信じて、患者の皆さんと当院のスタッフが手を携えて一緒に一歩ずつ前進しつつ診療に取り組めればと願っております。引き続きご体調にお気をつけてお過ごしくださいませ。お読みいただきましてありがとうございました。

詳しくはこちらの診療科にて