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公立学校共済組合 関東中央病院

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病気のはなし

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)のはなし

産婦人科部長 中江華子

 現在、新型コロナウイルス(COVID-19)対策のために、世界でワクチンや治療薬の開発が急ピッチですすめられています。感染症対策には、かからないようにするための予防(マスク着用、手洗い、ワクチン接種など)と、感染した人に対する治療という2つの大きな柱がありますが、治療薬がない場合には予防策をとることがとても重要です。

子宮頸がんは感染症が原因?

 発がんにはいろいろな原因がありますが、その一つが感染症です。と言われてもピンとこないかもしれませんが、例えば胃がんの大部分はピロリ菌の感染が原因です。ピロリ菌の感染を予防するワクチンはないのですが、治療薬で除菌ができます。日本では検診や除菌治療の普及によって、胃がんの死亡率は10年前と比べて30%以上も減っています。
 同じように、子宮頸がんの原因の大部分がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染であることもわかっています。HPVはごくありふれたウイルスで180種類以上の型があり、型によって子宮頸がんや尖形コンジローマ(性器や校門の周りにできるイボ)といった異なる病気の原因になります。ピロリ菌と異なり、HPVに対する治療薬はまだありませんので、子宮頸がんにならないようにするにはHPVにかからないようにすること、すなわちワクチン接種が有効なのです。

子宮頸がんワクチンの種類

 現在日本で使用されているHPVワクチンは、子宮頸がんの原因の約60%を占める16型と18型の2つの型のウイルスの感染を防ぐものです。米国など多くの国ではさらに6.11.31.33.45.52.58型を加えた9つの型に対するワクチンがすでに認可されており、このワクチンは子宮頸がんの原因になるほとんどのHPVの型をカバーしています。日本でもつい先日承認されましたが発売時期は未定です。
 どのHPVワクチンも、充分な効果を得るためには初回接種から1,2ヶ月後、半年後の合計3回の接種が必要です。また、HPVに感染する前でワクチンに対する免疫反応も良い若いうちに接種する方が予防効果が高いため、HPVワクチンは、特に10〜26歳のうちに接種することが勧められています。ですから日本でも12〜16歳の女子は自己負担なしで接種できるように定期接種のワクチンになっています。

子宮頸がんで子宮を失ったり死亡したりする女性を減らすために

 最初にお話しした胃がんですが、ピロリ菌の除菌など対策が普及して死亡者数は徐々に減っています。一方子宮頸がんで亡くなる人数は、徐々にですが増えていて、もう少しで胃がんの頻度と逆転しそうです。
 子宮頸がんで子宮を失ったり死亡したりしないようにするためには、2段階の対策方法があります。まず第1段階として、HPVに感染しないようにワクチンをうつこと。第2段階として、もしもHPVの感染を防げなかった場合でも子宮頸部の細胞の変化を早期に発見するために、子宮がん検診を定期的に受けることです。HPVの感染自体に対する治療薬はありませんが、子宮頸がんになってしまう前の前がん病変(放っておくとがんになってしまう病変)のうちに発見できれば子宮頸がんになってしまう前に治療が可能です。子宮頸がんは、ワクチンでHPV感染を予防し、もし感染した場合も子宮がん検診で前がん病変のうちに早期に発見できれば根治が可能ながんなのです。私たち産婦人科医は、少しでも辛い思いをする人を減らしたいと思っていますので、特に症状がなくても、ワクチンの相談や検診等遠慮なく受診してください。

HPVワクチンは定期接種のワクチンで、小学校6年生から高校1年生相当の女子は無料(公費助成)で受けられます。今年度の対象者は平成16年4月2日から平成21年4月1日生まれの女子ですが、6ヶ月の間に3回の接種が必要なワクチンですので、現在高校1年生の方が3回の接種をすべて無料で行うためには、9月(遅くとも10月)には接種を開始する必要があります。
公費助成の対象外の方でもワクチン接種自体は可能ですので、希望される方は産婦人科外来までお気軽にお問い合わせください。

詳しくはこちらの診療科にて