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公立学校共済組合 関東中央病院

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病気のはなし

乳房アートメイク?

形成外科部長 丹生 淳史

 アートメイクはご存知の方も多いと思います。眉毛やアイラインなどの皮膚の浅い部位に色素を入れていく美容診療で広い意味では刺青と類似の施術です。これは日本では明確に医療行為とされており、医療施設以外のエステなどで行うのは違法とされています。では乳房アートメイクとは何のことでしょうか?

 形成外科では、乳がんの患者さんに対して、失われた乳房を再建する乳房再建という診療を行っております。乳房再建には種々の方法がありますが、何れにしてもまずマウンドと呼ばれる乳房全体の盛り上がりを作ってから、乳頭、乳輪と順番に再建を行っていきます。時間もかかり根気のいる治療ですが、乳房アートメイクはこの乳輪乳頭の再建法の一つになります。手術による乳房マウンドの再建を行った後に引き続き乳頭の再建を行います。この状況ではまだ乳輪はなく、また手術方法によっては白い乳頭の状態です。この後に乳輪の再建を行うわけですが、主に2種類の方法があります。

手術による方法(保険診療)
 一般的な方法はこちらになります。その理由は保険診療が可能だからですが、主に足の付け根あたりの皮膚を取って薄く処理してから乳輪部や乳頭に移植します。こうすることにより色素沈着が強く起こり乳輪らしい色合いが再現されます。しかしながらこの方法は手術が必要なことに加え、術後の安静のために1週間近くの入院が必要になり、身体的にも時間的にも少し負担の多い治療となります。

乳房アートメイクによる方法(自費診療)
 もう一つの方法が「乳房アートメイク」という方法です。再建した白い乳頭や乳輪の皮膚の浅い部位に器械で色素を入れていきます(麻酔をしますがほとんど痛くありません)。健康な側の乳輪に色合わせをして入れていきます。患者さんにもよりますが1時間~1時間半位で終了します。この方法のメリットは身体に楽ということと入院が必要なく外来通院で可能であることです。逆にデメリットは、時間が経つと少し色落ちして再度色素を入れないといけない場合があるということです。平均的には1年後に再度リタッチと呼ばれる追加の施術を検討します。もう一つのデメリットは自費診療ということですが、患者さんの立場ではデメリットにはなりません。コスト的には入院手術の方がはるかに費用はかかるのですが、患者さんの自己負担という点では、入院手術するのとほぼ同じくらいかむしろ負担が少なくなります。

 費用の事や施術の流れなどご質問があればいつでも形成外科外来にご相談に来てください。施術は当院の専門のインストラクター資格のある看護師が行いますが、ご相談およびカウンセリングには費用はかかりません。
 なお美容診療に該当する眉やアイラインのアートメイクは当院では行っておりませんのでご了承ください。

詳しくはこちらの診療科にて