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病気のはなし

脳ドックのはなし

2019年12月

副部長 児玉 俊

人間ドックは毎年のように受診されても、脳ドックついては「受診を考えたことがない」、または「知らなかった」「聞いたことはあるけど、どんなものだか……」という方が少なくないと思います。そこで今回は脳ドックの内容を少しお話したいと思います。
脳ドック特有の検査として挙げられるのが「脳のMRI」と、「高次機能検査」です。脳のMRIでは現在ある脳腫瘍、脳梗塞、脳出血がわかるのはもちろんですが、それだけではありません。

脳梗塞と脳ドック

MRIでは、将来脳梗塞に至るかもしれない脳の虚血(血液が十分に行き渡っていない)部分もわかってきます。また、脳だけではなく頚部の超音波検査(心臓から出た血液が脳に行くまでに必ず首を通ります)と組み合わせることで、今後脳梗塞の原因となるかもしれない血管の狭くなった部分を見つけ出すことができます。起こった場所によっては機能にとても大きな障害を引き起こす可能性がある脳梗塞の予防に役立つメリットは非常に大きいと思います。

くも膜下出血と脳ドック

くも膜下出血は脳の動脈瘤が破裂することによって起こります。突然起こる上に急激な経過をたどるため、現在でも死亡率が高く、救命できても重い後遺症を残すことが少なくありません。脳動脈瘤は中高年者の2%ほどに見られるとされていますが、MRIで発見することができます。血圧のコントロールや、大きさによっては手術などの治療で、予防に大きく役立てることができます。

認知症と脳ドック

認知症を心配される方が非常に増えてきました。ただ、MRIでは脳の萎縮や、認知機能に影響を及ぼし得る脳梗塞などを見つけることができますが、すべての認知症を判断することはできません。
誰にでもみられる加齢に伴う脳の老化と認知症を見分ける助けとなる検査の一つが「高次機能検査」です。これは機械や血液などを用いた検査ではなく、受診された方と直接会話したり、お願いした動作などをしてもらったりしながら進めていきます。自分でも気づいていなかった認知機能の変化や、抑うつなどの気分のすぐれない傾向を見つけ出す役に立ちます。

オプション検査として……

脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす重要な原因の一つが動脈硬化です。ただ、みなさんが普段の生活で「おや、動脈が硬いかも」と実感することはなかなかないと思います。本当に発症してしまう前には症状が出にくいこともあり、予防や治療に目が向きにくいのが実情です。これに対して、四肢の血圧から硬化の度合いを測る動脈硬化検査や、動脈硬化の初期段階を反映する血液中の物質を測定するLOX-indexという検査があります。
また、認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症については、その主な原因物質に関連する血液中の物質を測定することによって、前段階である軽度認知障害(MCI)のリスクを判定するMCIスクリーニングという検査も行っています。

全てとはいえないまでも、予防できるはずの脳の疾患で命を落とされたり、重い後遺症を抱えられたりすることを防ぐお手伝いを「ドック」の面からできれば幸いです。

詳しくはこちらの診療科にて

健康管理科

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