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公立学校共済組合 関東中央病院

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病気のはなし

予防接種について ~2~

小児科部長 八谷 靖夫

 昨年11月の「病気の話」のコーナーで予防接種についてのお話をしました。今回は、再度予防接種のお話をします。
 お母さんから、へその緒や母乳を通して赤ちゃんに受け継がれた病気に対する免疫は、生後数ヵ月から1歳くらいまでにほぼ失われていきます。お母さんからの免疫はあるとはいっても、赤ちゃん自身の総合的な免疫力は生まれてすぐの時期は弱く、生後数年かけて徐々に大人に近づいていきます。
 この生後数年間は、子どもは感染症にかかりやすい時期といえ、感染して免疫をつけながら成長していきます。しかし、子どもがかかりやすい感染症のなかには、確実な治療法がなくて、重い合併症や後遺症をおこしたり、命を落としたりする危険のあるものもあります。このような感染症の予防の方法が予防接種です。
 予防接種とは、感染症の原因となるウイルスや細菌、菌が作る毒素の力を弱めてワクチン(予防接種液)を作り、それを子どもの体に接種して、抵抗力をつけることです。予防接種によって、その病気にかからないことや、かかった場合でも重くならないことを目的にしています。全ての感染症に予防接種があるわけではありません。予防接種の対象となる疾患は、予防接種法で定められている定期接種と、それ以外の任意接種があります。
 定期接種は、市町村が行うことになっているため、保護者の方へ個別に通知され、お子様ごとに個別に接種となります。通知がありましたら、お子様の体調をふまえながら、かかりつけ医とご相談して、予防接種の順序や日程を決めるとよいでしょう。
 予防接種法の対象になっていない任意接種は、保護者と医師との相談によって判断して実施されます。行政は推奨していませんが、使うワクチンは厚生労働省で認可されたものです。多くの子どもで行う任意接種には、おたふくかぜ、ロタウイルス、季節性インフルエンザなどがあります。任意接種の場合は、市町村からは保護者の方への通知はありません。任意接種だからといって、定期接種で定められている感染症と比べて重い合併症や後遺症が少ないわけではありません。なお、任意接種で健康被害を生じた場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づいた救済の対象となる場合があります。予防接種法と比べると救済の内容や給付額が異なります。
 ここでは、任意接種のおたふくかぜワクチン、ロタウイルスワクチンについて、ご説明いたします。

 おたふくかぜは、かかると唾液をつくる耳下腺、顎下腺または舌下腺が脹(は)れます。年長のお子様や大人がかかると、症状が強く、また他の合併症の率が高まります。合併症のうちで多いのは無菌性髄膜炎です。他には脳炎、膵炎、精巣炎、卵巣炎があります。近年の全国調査では、難聴の合併率が他の合併症に比べて高いことが報告されています。小児期の言葉のコミュニケーションの発達に影響を与える深刻な合併症です。ワクチンは、おたふくかぜの原因ウイルスのムンプスウイルスを弱めて病原性をなくした生ワクチンです。接種回数は、以前は1回が勧められていましたが、日本小児科学会が2回接種を推奨した2012年頃から2回接種が徐々に広まっています。発病が3~6歳に多いこと、予防接種率が高くないために、おたふくかぜを発症する患者が他の定期接種対象患者と比較して多いこと、が課題です。これらのことを考えると、1回目の接種は1歳過ぎのできるだけ早い時期に、2回目接種は早ければ1回目の接種から6カ月あけて、遅ければMRワクチン(はしか・風しんワクチン)の2回目の接種時期までにできればよいでしょう。おたふくかぜワクチンは、先進国で定期接種になっていない国は日本だけで、国内の各方面から定期接種を望む声が上がっている状況が続いています。

 ロタウイルスによる胃腸炎は、嘔吐と水のような下痢を繰り返し、脱水、けいれん、腎不全や脳症などにより入院になることがあります。意識の低下やけいれんなどがあれば、医療機関を速やかに受診することがよいでしょう。ワクチンはロタウイルスを弱めた生ワクチンをお口から飲んで接種します。生後6週から接種でき、4週間隔で2~3回接種します。1回目の接種は生後14週6日までに行うことが推奨されています。一方で、副反応である腸重積症(腸閉塞の一種)が起こりにくいとされる低い年齢で接種するようにスケジュールを調整する必要があります。ワクチンを導入した国では、ロタウイルス感染症は減少しています。最近、ロタウイルスワクチンが、2020年10月から定期接種化されることが報道されました。

 2つの予防接種は任意接種で費用負担も高額ですので、どちらも簡単に「接種しましょう」と言いづらい点はあります。今回の内容が、お子様の任意接種について考えるご参考になれば幸いです。任意接種を含めた予防接種全般については、適宜ご相談に応じます。ご相談の際には、母子手帳をご持参いただけますと大変ありがたいです。

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