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病気のはなし

治る高血圧

2019年5月

医員 高野 倫嘉

厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」の平成26年度調査によると、高血圧性疾患の総患者数は1,010万8,000人と、前回の調査に比べて約104万人増加しました。性別をみると、男性445万人、女性567万6,000人で、前回調査に比べて男性が63万人、女性が42万人の増加となりました。しかしこれは通院され加療されている患者さんのみで、実際に収縮期(最高)血圧が140 mmHg 以上の者の割合は男性34.6%、女性で24.8%であるそうです。従って全人口のおよそ3人に1人、約4000万人程度は高血圧患者であると考えられます。

その高血圧症ですが、「治る高血圧」と「治らない高血圧」があるのはご存知でしょうか。「治らない高血圧」はどうにも避けられない遺伝的体質や、加齢による動脈硬化の経過から、血圧が上がってしまう本態性高血圧症です。この本態性高血圧症はどんなにお薬を内服しても対症療法ですので、内服薬を中止すれば血圧は上がってしまいます。その為、お薬を継続して内服していないと、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞、腎不全になる可能性が高くなってしまいます。

では「治る高血圧」というのはどういう病気なのでしょうか。「治る高血圧」は病名では二次性高血圧症という病気になります。二次性高血圧症は副腎腫瘍による過剰なホルモンの分泌による高血圧症(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫)、腎血管性(腎動脈の狭窄による)高血圧症などが挙げられます。これらの病気は、治療が上手くいくと現在内服している薬を全て中止することや減量することが出来ます。ではその二次性高血圧の原因となる病気はどのような病気なのでしょうか。

副腎という臓器をご存知でしょうか。腎臓の上にある茄子のヘタのような臓器です。その小さな臓器は、アルドステロン、コルチゾール、アドレナリンなどのカテコラミン類、女性ホルモン、男性ホルモンを作っています。これらのホルモンには血圧を上げる作用があり、副腎に出来た腫瘍から過剰にホルモンが分泌されると異常な血圧上昇が起きます。したがってその腫瘍を摘出することが出来れば、過剰なホルモン分泌が無くなり、血圧が下がっていきます。もう1つの腎血管性高血圧は腎臓の血管が狭くなると、副腎からアルドステロンが過剰に分泌されるようになり血圧が上がります。この病気の治療は腎血管の狭い部分をカテーテルで拡張させることにより腎血流が改善することでアルドステロンの分泌が抑制され、血圧が下がってくるようになります。このようにアルドステロンというホルモンは高血圧を引き起こす重要なホルモンでありますので、今度はこのアルドステロンが主役の病気についてお話しましょう。

原発性アルドステロン症という病気をご存知ですか?この病気はアルドステロンが副腎から必要以上に分泌されてしまう病気で、高血圧だけでなく低カリウム血症という状態をも引き起こし、本態性高血圧よりも4~5倍心筋梗塞や脳梗塞になりやすいと言われております。関東中央病院では入院していただいて負荷試験という血液検査を3日間(入院は全部で5日間)行って診断します。この負荷試験で原発性アルドステロン症と診断された場合、副腎に明らかな腫瘍がある人はその腫瘍からの分泌をみるためにカテーテルの検査をします。そこで腫瘍側からのみアルドステロン分泌過剰が認められた場合、その腫瘍を摘出することで血圧が下がっていきます。両側副腎から分泌過剰が認められた場合や手術希望がない場合で、明らかな腫瘍が認められないときは内服薬での治療を行い、アルドステロンをブロックすることで血圧が低下し、大きな病気になるのを防ぐことが出来ます。

このように「治る高血圧」というものが存在します。最初にもお話した通り、治療したから100%全員の方が内服薬をゼロに出来るわけではありませんが、加齢による動脈硬化もある方等でも、内服薬の減量は可能です。ここまで読んで頂き、ご興味を持って頂いた方は、関東中央病院代謝内分泌内科にご相談頂ければ、いつでもこれらの病気のお話と検査・診断をさせて頂きます。ぜひ気兼ねなく一度受診して頂ければと思います。お待ちしております。

詳しくはこちらの診療科にて

糖尿病・内分泌内科

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