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病気のはなし

脳梗塞について

2019年4月

板谷 早希子

脳卒中とは

脳卒中は日本人の死因で第3位を占める病気です。脳卒中には大きく3つあり、血管が詰まってしまい脳の細胞が死んでしまう「脳梗塞」、脳の中の血管が破れて起こる「脳出血」、動脈瘤などが破裂する「くも膜下出血」に分類されます。脳梗塞はさらに、細い動脈が詰まる「ラクナ梗塞」、大きな血管が詰まる「アテローム血栓性脳梗塞」、心臓の中にできた血の塊(血栓)が脳の動脈に飛ぶ「心原性脳塞栓症」に分けられます。

脳卒中の症状

脳卒中の症状には、片側の手足の運動麻痺やしびれ、ろれつの回りにくさ、視野障害(片方の視野が見えなくなる)、めまい、複視(ものが二重に見える)などがあります。脳のどの部分に梗塞や出血が起きたかによって症状が異なります。いずれも“突然”症状がでることが多いです。このような症状が突然現れたときは、脳卒中の可能性があるため、できるだけ早く受診し、検査を受ける必要があります。CT検査では、脳出血やくも膜下出血、時間のたった脳梗塞を診断することができます。発症して間もない脳梗塞はMRI検査で見つけることができます。MRI検査ではMRAという血流の信号を立体的に表示した画像で、脳の血管の状態を診断することができます。

脳梗塞の治療

脳梗塞を発症した直後の患者さんの一部では、強力な血栓溶解療法や血栓回収療法がおこなわれます。これらは脳の血管が詰まるとすぐに脳の細胞が壊死してしまうわけではないため、早く血流を回復させることで脳の働きを取り戻そうとする治療です。

血栓溶解療法(t-PA療法)は、最終未発症時間(最後にいつもと変わりないことが確認された時間)から4時間半以内の患者さんが対象になります。アルテプラーゼという強力な血栓を溶かす薬を1時間で点滴します。この治療を行なった患者さんとそうでない患者さんを比べると、後遺症が残らなかった患者さんの割合が増えるとされています。しかし、諸刃の剣のような治療で、強力な血栓を溶かすお薬を使うため、脳内出血や胃腸の出血などの合併症が起きることがあります。この治療を行うには、年齢、症状の重さ、持病、内服中の薬、血液データなど厳密な基準があり、脳梗塞が大きく、症状が重い患者さんなどはこの治療を行うことはできないことがあります。血栓回収療法は、カテーテルという細い特殊な器具を手足の動脈から挿入し、脳の血管に詰まった血栓を直接回収して取り除く治療です。最終未発症時刻から6時間以内で、脳の太い血管や頸動脈の閉塞が確認できた患者さんで行われます。

いずれの治療も、発症から治療までの時間が短い方が、回復がよいとされており、早期発見、早期治療が重要になります。これらの治療ができない患者さんでは、病状や病態に合わせて、血栓予防薬や脳細胞保護薬などの点滴や内服治療を行います。機能の回復のためのリハビリテーション、再発予防も非常に大切です。

おわりに

何より大事なことは「予防」です。脳梗塞を繰り返すと、脳全体の機能低下を来たし、認知症につながります。脳梗塞の原因となるいわゆる「動脈硬化」のリスク因子には、高血圧症、糖尿病、高脂血症、肥満、喫煙などがあります。これらのリスク因子をコントロールすることは、脳梗塞の発症、再発の予防において重要です。また、心房細動という不整脈があると、心臓に血栓ができやすくなるため、リスクのある患者さんには予防的にお薬を飲んでもらいます。定期的に健康診断を受け、日ごろから健康管理を行っていくことが大切です。

詳しくはこちらの診療科にて

脳神経内科

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