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公立学校共済組合 関東中央病院

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病気のはなし

不登校について─友人関係と親子関係の視点から─

精神科 中 康

 不登校とは、同年代の同性の集団に入っていくことが不安から困難になった状態を意味します。きっかけは、友人関係のトラブル、いじめ、クラス替え、学業面での行き詰まり、学校の雰囲気が合わない、教師とのトラブルなど様々です。しかし共通するのは、周りからの評価に過敏になり、同年代の友人たちの中で自分を表現したり主張したりすることにブレーキがかかり困難になっていることでしょう。

 多くの場合、夜になると「明日は行こう」と思うが、朝になると体調がすぐれなかったり気力がなくなってしまったりして登校できないということがよく見られます。また上記の対人関係の不安は必ずしも意識されないことも少なくなく、本人もなぜ登校できないのかよくわからないままに、登校できないということもよく起きます。つまり、不登校の悩みの一部は自分でも意識できないため、わかりにくくなっているわけです。また不登校状態に陥ると、将来のこと等は頭から吹き飛んでしまい考えられない状態に陥ることがしばしばみられます。

 不登校が長引くと、インターネットやゲームにはまったり、生活が昼夜逆転になったりすることも非常によく起きてきます。これらの問題は、現実から逃避し、また登校できない劣等感、不安、みじめな気持ち、絶望感等の感情をはらして感じないようにするために起きてくることです。思春期の子ども本人が前向きな気持ちを取り戻していくと、後からゆっくり回復してきます。

 一方、不登校の子どもの親子関係をみると、思春期に起きる親離れの動きが停滞していることが必ずといってよいほど見られます。具体的には、過度に親に頼ったり、子ども部屋がなかったり、親と寝室を共にしたりしているようなことが少なからずみられます。思春期というのは、親離れが進み、友人関係が親との関係にもまして重要になってくる時期ですが、不登校状態においては、友人関係に入っていくことができず、親に頼り続ける状態が続いているわけです。このため、不登校状態を解決するためには、友人関係にまつわる不安を乗り越えていくことと、親から離れ、親に頼らず自分のことは自分でやるようにしていくことの、両方が必要となってきます。  不登校とは、このように普通によくある悩みの延長上に起きてきます。そのため、解決するにはそのような悩みを相談していくことが大事となり、薬物療法が効果をあげることはあまりありません。思春期の子ども本人が相談に行くことも良いですし、両親が親としてどのような環境を子どもに提供したらよいかについて、助言を受けることもしばしば必要となります。

 不登校への初期対応ですが、まずは不登校のきっかけが学校内の現実的な問題、すなわち友人関係のトラブルやいじめ、教師とのトラブル、勉強面での行き詰まり等がきっかけとなっているかどうかの確認が必要です。もしはっきりしたきっかけがある場合には、本人の悩みを傾聴し、気持ちを受け止め、問題の調整をはかり、タイミングを見計らって登校を促すことが、早期の登校再開につながる可能性があります。

 一方、不登校のきっかけがはっきりしない場合には、元々あった対人関係の苦手な部分が、何かをきっかけに強まって不登校に至る場合も少なくありません。そのような場合には、無理に登校させようとすることは避け、思春期の子どもが自ら足を踏み出すのを待つことも必要となります。
また不登校が長期化している場合には、医療機関や相談機関で相談する必要性が増してきます。
そして本人自身が前向きな気持ちを取り戻し、不安を乗り越えて同年代の仲間集団の中にまた入っていこうと思えるようになると、不登校は回復していきます。前向きな自分を取り戻すことで、昼夜逆転などの生活の乱れも回復していきます。しかし、そこに至るまではある程度の時間を要することも少なくありません。

 当院では、御両親と本人とを別々に面接し、本人のプライバシーを守る配慮をしています。また本人からの相談はもちろんのこと、親御さんだけの相談にも応じていますので、是非御活用ください。

詳しくはこちらの診療科にて