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病気のはなし

形成外科と整形外科、美容外科

2018年11月

部長 丹生 淳史

日本形成外科学会が設立されて60年が経ちます。しかしながら世間では未だに、形成外科?整形外科?美容整形?何が違うの?と混乱されている方が多いように思います。当院形成外科外来にも、整形外科と間違えて来られる方が少なくありません。形成外科で受診待ちされて間違いとわかり、改めて整形外科受診を手続され、大変な時間のロスとなってしまいます。未だ世間でよく理解されていない原因には我々形成外科医の周知不足もあるのかなと反省しております。今回はその違いについてご説明したいと思います。

整形外科との違い

形成外科は、身体に生じた組織の異常や変形、欠損などに対して、機能的および形態的に改善を目指す外科領域です。これに対し整形外科は身体の芯になる骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系からなる「運動器」の機能的改善を目指す外科領域です。もう少し具体的には整形外科は、背骨や骨盤、四肢を主な治療対象としています。一方形成外科は、皮膚も対象にするため全身が対象になり、そのため他の外科と重なる領域も少なからずあります。顔の変形やケガ、先天奇形や癌による変形や欠損などは主として形成外科が取り扱います。皮膚という領域では皮膚科と重なり、手の領域では整形外科と重なります。ただ何を主体として治療を必要とするかという点で皮膚科あるいは整形外科とは異なります。よくわからない時はどの科でもよいので受診して医師に相談してみてください。必要に応じて適切な診療科を案内してくれると思います。日本では当初、東大の整形外科の中で形成外科診療が行われて独立発展したという経緯があるのも混乱の一因となっているのかもしれません。またおかしなことに、中国では形成外科を整形外科と呼び、整形外科は骨科と呼ぶそうです。ますます混乱しますが、むしろ中国の方がわかりやすいのかもしれませんね。

美容外科との違い

次は美容外科です。世間では美容整形などという言葉が氾濫し、テレビでも堂々と使われています。これも整形外科と混同する一因になっているようです。しかしながらわれわれ形成外科医は美容整形という言葉は使用しません。美容外科と呼んでいます。「整形する」という日本語はすでにかなり一般化し、今更修正するのは非常に困難なようにも思えますが、是非とも直してほしいと願っています。

それでは美容外科と形成外科はどう違うのでしょうか?我々形成外科医は、広義の意味では美容外科は形成外科に含まれると考えています。この点を明確にするため、少し前から大学病院を中心に、形成外科美容外科という標榜がなされるようになってきました。形成外科と美容外科の大きな違いは、形成外科では保険診療を主体としていますが、美容外科では原則自費診療となります。保険診療上の正式な病名が存在し、それに対応する保険術式が存在するか否かの違いになります。病名があっても、保険術式が存在しなければ自費とはなりますが、必ずしも美容外科診療ではありません。一方病名がなければ、いくら保険術式があっても美容外科診療となります。すなわち病気が原因なのか否かが重要となります。しかしながら病気が否かは非常に微妙な時があります。例えば目や鼻が2mm歪んでいたとしても、他人に気づかれることはまずありません。この程度の差は個性の範疇と考えられます。
しかし2cm歪んでいたとしたらどうでしょうか?これはかなりの変形であり、精神的な苦痛も相当なものになるでしょう。この場合は醜状変形ということになります。では何cmまでなら個性で、何cm以上なら変形なのでしょうか?これに対する答えはありません。医師の判断であり、患者さん自身の訴えで決めるしかありません。癌やケガで変形が生じた場合は非常にわかりやすいですが(もちろん保険診療が可能ですので形成外科診療です)、生まれつきだとしたら非常に微妙な判断となります。個性の範囲内で変形とは言えないということになれば、美容診療ということになります。

以上形成外科、整形外科、美容外科について説明させていただきましたが、一般の方にはすぐにわからないこともあると思います。お困りの時は遠慮なくご相談ください。

形成外科で取り扱う主な疾患

・交通事故・労働時の事故などによる外傷(特に顔面・手指)
・体表面の腫瘍(良性・悪性の皮膚・皮下腫瘍、あざなど)
・先天異常(耳介変形、口唇裂、多指・合指症など)
・皮膚潰瘍(難治性潰瘍)
・熱傷(やけど)、熱傷後の瘢痕、ケロイド、瘢痕拘縮(傷のひきつれ)
・腫瘍切除後の欠損組織の再建(乳がん、頭頚部癌などの切除術後)

整容的な治療(あざ、わきが、顔面などの小腫瘍、きずあと、ケロイド、眼瞼の修正など)も保険診療内で行っております。

詳しくはこちらの診療科にて

形成外科

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