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公立学校共済組合 関東中央病院

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病気のはなし

膀胱機能と前立腺肥大症

神経泌尿科部長 大矢 和宏

 膀胱機能は、昔の大先生が「自立型」「自動型」(どう違うの?)「無抑制型」等に分類しており、今でも時々医師国家試験にも出題されます。「神経因性膀胱」と言う病気は膀胱そのものの病気ではなく、膀胱に行っている神経の病気で、大先生の分類は神経の何処が障害されているかで分類しているので、とても論理的で考えやすいです。

しかし、実際の診療に即した分類として国際禁制学会は「高活動型膀胱」(過活動膀胱ではありません):膀胱が膨らみきる前に急に膀胱内の圧力が上がってしまうタイプ、「正常型膀胱」、「低活動型膀胱」:膀胱が膨らみきっても膀胱内圧が上がらないタイプ、に分類しました。高活動型膀胱には膀胱の筋肉の収縮を押さえる薬、低活動型膀胱には膀胱の筋肉が強くなる薬を出す等、対応が簡単になりました。ただ、薬だけで上手くいかない場合も多く、その時は手術、自己導尿の出番となります。

 ところで、前立腺肥大症の治療法は薬剤療法、手術療法ともに目覚ましい進歩があります。当院でもHoLEP等のレーザー手術、出血が少ないなど身体に優しい手術が行われる様になりました。薬剤療法の進歩も日進月歩で、私も開発に携わったシロドシンなど以前の薬に比べて10~50倍もの効果が望めたり、場合によっては、前立腺を小さくする薬も登場しております。しかしながら前立腺は徐々に大きくなるので、薬を漫然と飲んでいると限界がきてしまう事があります。高血圧で薬を飲み始めたので、二度と血圧は測らなくても良いと言う事はありませんよね。それと同じ様に薬の効果を確かめる為に検尿をしたり、おしっこの勢いの検査をしたり、残尿の量を測ったりする必要があります。それでおかしい結果が出たら薬を変えたり加えたり、調整していきますが、それでも上手くいかない場合は手術も考えなくてはなりません。どんなに良い薬が出来ても、やはり手術を念頭に置いておかないと不幸な結果になってしまいます。つまり、一生おしっこの管付きになってしまいます。そうならない為には手術をするタイミングが重要になってきます。先にお話しした低活動型膀胱になってしまうと手術してもあまり良くなりません。

 そのタイミングをみるのに有用な検査として、尿流内圧測定(プレッシャーフロースタディ)があります。検査の詳細は省きますが、おしっこをする時にどれぐらい通り道が塞がれているか(閉塞度)、どれくらい膀胱の筋肉の力があるのか(収縮力)を判断出来ます。例えばおしっこの出が悪い場合、通り道が強く塞がれており(閉塞度高)、膀胱の筋肉の収縮力があるなら(収縮力強)、手術で塞がれている所を取り除けば、おしっこの勢いは良くなると思われます。また閉塞度高でも収縮力弱では、手術しても尿の勢いが良くなるとは思えません。手術の後薬を飲んだり、自己導尿とかおしっこの管を考える方が良いかも知れません。更に閉塞度低で収縮力弱では手術する意味がなく、自己導尿が良いと言う事になります。  当院ではこの検査が出来る最新式の膀胱機能検査装置「アクエリアス」を導入しました。導入当時は6台目、現在でも十数台しか日本では配備されておりません。もし、薬剤治療に行き詰まった時には、この検査をお受けください。必ずや快適な「排尿ライフ」が訪れると思っております。

追伸:今回は男性の排尿についてのお話しになりましたが、女性の排尿の悩みも男性に劣らす大きいと思います。こちらのお話しは又の機会にお付き合い頂きたいと思っております。

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