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病気のはなし

乾癬

2018年9月

部長 鑑 慎司

乾癬は銀白色の鱗屑(フケのようなもの)を伴い盛り上がった紅斑が全身に出ます。頭、肘、膝、臀部、下腿伸側などのこすれる場所にできやすいです。約半数の患者さんがかゆみを訴えます。爪の変形、関節の痛みや変形を伴うこともあります。皮膚の病気で関節の異常が生じることは見逃しやすいので注意が必要です。乾癬が発症する原因はまだ完全にはわかりませんが、様々な環境因子(不規則な生活や食事、喫煙、ストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤など)や遺伝が関与すると言われています。「かんせん」と読みますが、他の人に感染する疾患ではありません。乾癬は経過が長く、良くなったり悪くなったりを繰り返しますが、中には完治する方もいらっしゃいます。

治療方法は大きく分けて4種類あり、外用療法(塗り薬)、光線療法(紫外線照射)、内服療法(飲み薬)、生物学的製剤(注射または点滴)です。一般的にはまず外用療法から始めますが、患者さんの症状や生活様式に合わせて、これらの治療方法を単独で用いたり、組み合わせたりします。

外用療法にはステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬、ステロイドとビタミンD3の配合外用薬があります。ステロイドは炎症を抑えて、ビタミンD3は表皮細胞の過度な増殖を抑えます。塗り薬を強くすり込むと乾癬が悪化する恐れがありますので、やさしく肌にのせるように塗りましょう。毎日塗るのは大変ですが、根気よく治療を続けましょう。従来の軟膏、クリーム、ローションの他に、最近ではシャンプーやゲル剤もありますので、頭皮にも外用しやすくなりました。  光線療法には中波長紫外線(UVB)と長波長紫外線(UVA)があります。当科ではUVBに含まれる有害な波長を取り除き、治療効果が高い波長のみを使う「ナローバンドUVB療法」を実施しています。通院頻度は患者さんにより様々ですが、中には週2-3回照射する方もいらっしゃいます。完全予約制なので、通常の当科の外来よりも平均待ち時間は短くなっております。

内服療法にはビタミンA誘導体(レチノイド)、免疫抑制薬(シクロスポリン)、2017年に発売されたPDE4阻害剤などがあります。ビタミンA誘導体は表皮細胞の過剰な増殖を抑える薬で、光線療法と併用することがあります。胎児に影響を与える可能性があるため、男性も女性もビタミンA誘導体内服中、内服終了後は一定期間の避妊が必要です。シクロスポリンは内服量を増やせば効果も強力になりますが、腎臓の具合が悪くなったり高血圧になったりすることがあるので注意が必要です。PDE4阻害剤は免疫細胞や皮膚の炎症反応を正常化させる薬で、光線療法と併用することがあります。PDE4阻害剤は吐き気や下痢、頭痛などがでることがありますが、ビタミンA誘導体やシクロスポリンに比べると重度な副作用は少ないです。

生物学的製剤は、化学的に合成した医薬品ではなく、生物が合成するタンパク質を応用して作成した治療薬です。生物学的製剤は皮下注射や点滴で投与され、体内の免疫機能に関わる「サイトカイン」の働きを弱める薬です。他の治療法に比べて有効性は高いですが、肺炎や結核などの感染症にかかりやすくなることがあります。

当科では以上に述べました乾癬の治療は一通り実施しておりますので、乾癬が気になるときは、お気軽に当科までご相談ください。

詳しくはこちらの診療科にて

皮膚科

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