メニュー

公立学校共済組合 関東中央病院

  • フォントサイズ
  • 小
  • 中
  • 大

病気のはなし

『ケンシン』受けねば『モッタイナイ』

乳腺外科部長 館花 明彦

 皆さんは胃腸や肺のケンシンを受けましたか?昨年に当科が担当したこの欄で、ケンシンは大切だよと伝えました。さてケンシンと耳にすると、『健診』か『検診』が思い浮かびますね。何だぁ、同じことじゃない、と考えるのは大間違い。さあ、どう違うのでしょう!

 まず『健診』は、いま健康で病気の危険が無いか、を調べるのが目的。乳幼児健診・学校健診・職場健診や人間ドックです。いま自覚がないだけで本当は病気だったり、後で何か病気が起こる可能性が有るかを見つけ出すのです。そして、早めの対応や治療ができる機会を逃さないようにするのです。例えば、血糖値が高い→糖尿病→目・神経・腎臓が悪くなる。とか、脂質が異常→血管の弾力が低下→脳・心臓の血管が詰まる。など、悪い方に進む前、症状が出る前に何とかしようとするのが目的。だから「健診受けたら異常が1項目だからいいや。」とか、「異常だけど去年から変わらないからいいや」、はダメなんですよ!

 次に『検診』は、もう何か特定の病気になっているかを、自覚症状が出る前に発見し専門施設に行ってもらおうというのが目的です。肺、大腸、胃癌など各癌検診、癌以外では肝炎ウィルス検診などがあります。本人が元気なうちに病気を見つけさっさと治しちゃえというもの。なお、この検診には大きく二種類あり、例えば皆さんお住いの世田谷区や目黒区から検診案内やクーポンが送られてくるもの。これを対策型検診といい、ある集団やある地域で特定の病気での死亡率を下げるのが目的です。だから公共サービスもあるのです。そしてもう一つは任意型検診といい、自分自身の死亡リスクを下げるのが目的で、全額自費になります。保険診療じゃないのですね!  病気になる可能性を除外しようとする健診、早い段階の病気を見つけようとする検診、少し違いがわかりましたか?

 さて、われわれの外来には、検診結果で精密検査が必要とされたヒトも多数います。検診はマンモグラフィが一般的で、最近は視触診を省略する所も増えてきました。これは、視触診では死亡率が変わらない、との意見です。確かに、自分でわかる腫瘤があれば病院に行くでしょうね。でも乳頭の異常な分泌物、皮膚の異常など視触診で見つかる癌もあるのです。ところで乳癌検診を受け、精密検査受けた方が良いですよ、と判定される人はどのくらいでしょう?統計では10、000人のうち500人弱になります。しかし慌てたり心配してはいけません。この中で、本当に乳癌と診断される人は25人程度ですから、しっかり精密検査を専門機関で受けましょう。なお25人に入った人。つまり乳癌ですが、これはほとんどがごく早期の癌です。だから検診結果を無視するのは論外。せっかく自治体が予算から捻出しているサービス、大事にしましょう。一方、日本人にはマンモグラフィで癌が分かりにくい状態の乳腺が多いのは本当です。毎年の検診で癌が見落とされた、なんて話も聞きますが、実はもともと癌が写らない状況もあり、このような乳腺は年齢や薬の影響などもあります。この場合はエコー(超音波検査)を併用したり、今年は区検診を受けたから来年は自分でエコー受けよう、などの工夫がとても有益ですよ!

 マンモグラフィ検診が広まり、早期の乳癌がたくさん見つかり、たくさんの患者が治療受けているのに、欧米と違って日本人の乳癌死亡率は減ってないじゃないか!という意見があります。では、検診の対象年齢のうち乳癌検診の受診率がどのくらいかというと、米国などは確実に70%以上ですが、わが国ではせいぜい30%程度です。早期に見つかって治療すれば多くの患者は治ってしまうのに、早期に見つかる機会を自ら逃している人が多すぎるのでしょう。真面目な人は2年ごとに受けますが少数派、多くの人は全く受診していません。ある意味で日本が医療後進国にみられるのはこれも原因のようですね。モッタイナイ!!

 
診療科のご案内