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病気のはなし

長引く咳~本当に風邪ですか?~

2018年6月

部長 高見 和孝

咳は、本来、気道内の分泌物や吸い込んだ異物を外に排出するための生体防御反応ですが、ほぼ全ての肺の病気で生じると言われるほど、呼吸器の病気にとってはよくみられる症状です。
咳が持続する期間により、3週間以内の急性咳嗽(がいそう)、3週間から8週間までの遷延性咳嗽、8週間以上続く慢性咳嗽に分けられます。また痰の有り無しにより、痰を伴う湿性咳嗽と痰のない乾性咳嗽(乾いた咳)にも分類されます。急性咳嗽の多くはウイルスによる上気道感染(風邪)が原因で、咳止めなどの対症療法で自然に治まるものですが、咳が持続する期間が長くなるほど、感染症以外の原因による咳の占める割合が多くなり、COPD、肺結核、肺がん、心臓の病気などが原因となることもあります。ここでは受診のタイミング・ポイントについて頻度の高い病気を中心に紹介します。

1.急性咳嗽

発症後3週間以内の咳のことを言います。原因としては、鼻~のどの症状を主体としたウイルス感染によるかぜ症候群の頻度が最も高く、2日以上の発熱(37℃以上)がない場合、大抵は治療しなくても自然に治癒します。咳以外に以下のような症状を伴うときには、風邪ではない可能性があり、注意が必要です。

①熱が続く場合

特に38℃以上の高熱をきたす場合、鼻づまり・黄色の鼻汁の症状があれば副鼻腔炎、強いのどの痛みがあれば咽頭炎・扁桃炎、汚い色の痰を伴えば肺炎の可能性があり、細菌に対する抗生物質による治療が必要となります。のど・鼻症状があれば耳鼻科でのどや鼻の奥を内視鏡で診てもらい、汚い痰を伴えば内科で胸部レントゲン写真を撮る必要もあります。
寒気・頭痛・吐き気・ふしぶしの痛み、といった風邪の症状が通常よりも強い場合、インフルエンザウイルス感染が疑われます。簡易検査で90%以上の方を診断できますが、発熱開始後12~24時間は体内のインフルエンザ抗原量が少なく、感染していても検査では陽性に出ない場合もあります。診断が確定すればタミフル、リレンザ、イナビルといった抗インフルエンザ薬を使用します。

②呼吸困難感を伴う場合

気管支喘息発作、自然気胸(肺に穴があいて空気が胸腔内に漏れ肺が縮むこと)、心不全(不整脈、狭心症、心筋症)、何らかの原因の胸水(胸に水がたまること 細菌による胸膜炎・膿胸、結核、肺癌、心不全・腎不全・肝不全)、肺塞栓(足の静脈で血栓ができ、肺の血管に血栓がつまる)などが原因であることが考えられます。酸素投与や何らかの処置が必要な場合も多く、すぐに受診することが必要です。軽症の場合は、労作時のみ(動いた時だけ)に息切れを感じることもあり、注意が必要です。

2.遷延性咳嗽・慢性咳嗽

3週間以上続く咳のことを言います。慢性咳嗽の原因として、忘れてはならないのは結核の存在です。結核は決して過去の病気ではなく、現在も老若男女を問わず、一定の割合で新規の患者さんが見つかり、人口密度の高い東京は日本で最も罹患の多い都市のひとつです。人から人へ感染し、入院、隔離が必要となることもあり、胸部レントゲン写真で早期に発見し、治療することが大切です。

胸部レントゲン写真に異常が認められない場合は、咳の原因として、気管支喘息・咳喘息が約半数を占めます。一般の鎮咳剤(咳止め)は有効でないことが多く、小児喘息の既往や花粉症・アレルギー性鼻炎などアレルギー疾患がある方は、呼吸器内科の受診をお勧めします。成人になってアレルギー体質になる方も増えており、原因として大気汚染やタバコの煙が関与しているとも言われています。タバコを1日20本、20年以上吸っている方は、COPD(慢性閉塞性肺疾患、以前は肺気腫と呼ばれていました)という肺が壊れてしまう病気のために、咳、痰、息切れなどの症状が続いている可能性があります。COPDは、呼吸機能検査にて息を吐き出す力を調べることにより診断します。

その他、副鼻腔気管支症候群(副鼻腔炎と肺の気管支拡張症)、胃食道逆流症など、さまざまな原因で咳が続きます。長引く咳の場合は、風邪だと思い込まずに、是非一度、呼吸器内科を受診してください。

詳しくはこちらの診療科にて

呼吸器内科

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