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病気のはなし

糖尿病患者教育は、治療そのものです。-Elliott P.Joslin (1869-1962)-

2018年5月

部長 水野 有三

“Education is not a part of the treatment, it is the treatment.” 「(糖尿病の治療において)患者教育は治療の一部などでは無い、治療そのものです」 これは、世界で初めて糖尿病治療を専門とし、1922年以降、生涯を糖尿病治療に捧げた米国人医師 Elliott P.Joslin先生の言葉です。 勿論、糖尿病は教育だけ受ければ治ってしまうといった病気では無く、食事療法、運動療法に加えて、多くの方が内服薬やインスリン注射などの薬物治療を必要とされています。それでも糖尿病治療における患者教育の重要性は今もって非常に高く、多くの医療機関で教育入院が行われ、また患者さんや市民を対象とした啓発活動も壮んに行われています。これまでも「緑のひろば」で糖尿病の食事運動療法、薬物療法、あるいは最近では高齢者の糖尿病について解説して来ました。今回は、当院における患者教育活動についてご紹介したいと思います。

なぜ教育が必要か?

我が国の糖尿病の大部分を占める2型糖尿病は、生活習慣病の代表です。従って、その治療あるいは予防において生活習慣の是正は非常に重要です。どの飲み薬を服用するよりも食事や運動習慣を是正する事がもっとも治療効果があったという海外の研究も有る程ですが、食生活や運動習慣を是正するには、教育によりその必要性を理解し、その成果を実感するのが最も効果的です。インスリン注射が必須の1型糖尿病においても、安全かつ最も有効にこの特効薬を用いるためには、十分な知識が欠かせません。

糖尿病教室と患者会(欅会(けやきかい))活動

2ヶ月に1回開催される糖尿病教室は、通院患者さんを対象にした勉強会です。重要テーマの復習から最新のトピックスまで幅広くスタッフが解説します。当院の糖尿病教室の特徴は、講義の後に参加者全員で糖尿病食をいただき、食後の体操まで一貫して指導するシステムを45年間に渡り続けている事です。食事療法は、頭で覚えるだけでは不十分で、実際に目で見て、味わって、お腹で実感して頂くのが最良の方法だと思います。患者会は、いわゆる「患者友の会」で、現在170名ほどの会員がおられ、自己啓発、親睦、歩く会から研修旅行まで熱心に活動されています。「緑のひろば」には、糖尿病教室および欅会のご案内が掲載されていますので、ぜひご覧下さい。なお、年間予定表をご希望の方は、内科外来にお申し出下さい。

糖尿病教育入院

講義を中心とした短期間の1週間コースと、その後に治療方法の見直しと血糖コントロールを行う2週間コースがあります。

糖尿病を発症して間もない方、病気の知識が薄れてきてしまった方、血糖値が高くてコントロールが不良になってきている方など様々な方が対象となります。「教育なんて要らないから、早く薬を出して下さい」という事を仰る新患の患者さんがしばしばおられますが、どうかJoslin先生の言葉を想い出して下さい。教育入院とは、お勉強だけをする寺子屋のような印象があるかも知れませんが、実際には、様々な合併症の精密検査、インスリンを分泌する膵臓の能力(インスリン分泌能)やインスリンの効き具合の程度(インスリン抵抗性)、理解力などを個々に分析して、患者さんに最適な治療方法をご一緒に検討しながら、病気の知識や食事療法、運動療法、薬物治療の要点を身につけて頂く入院です。  外来通院をガソリンスタンドでの給油に例えれば、教育入院は車検に相当します。糖尿病の専門医の他、当院が誇る糖尿病療養指導士などの医療スタッフが担当します。ぜひ事故や故障が起こる前に車検をお受け下さい。

詳しくはこちらの診療科にて

糖尿病・内分泌内科

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