メニュー

公立学校共済組合 関東中央病院

  • フォントサイズ
  • 小
  • 中
  • 大

病気のはなし

アルツハイマー型認知症

神経内科統括部長 織茂 智之

アルツハイマー型認知症とは,脳の神経細胞が次第に衰えて死んで減少してしまい、脳全体が萎縮(小さくなること)してしまう疾患です。特に記憶に重要な“海馬”という部位が早期に障害されます。早期からみられる重要な症状として記憶障害があります。記憶はその保たれている時間で分類すると、数秒以内の即時記憶、数分から数時間程度の短期記憶、より長い長期記憶に分けられます。内容で分けると、エピソード記憶、意味記憶などがあります。エピソード記憶とは、過去の自分の経験や出来事に関連した記憶で、例えば“昨日の夕食は家族とお寿司を食べに出かけた”などの記憶で、意味記憶は経験とはあまり関係ない知識としての記憶で、例えば“日本の首都は東京である”などです。アルツハイマー型認知症では、短期記憶とエピソード記憶が早期から障害されます。また日時がわからなくなることが多く、次いで場所、人などがわからなくなります。その他、集中力が衰え、決断力が鈍り、問題を解決するのが難しくなり、ひいては日常の決まりきったこともできなくなります。また妄想や幻覚などがみられることがあります。これらの結果として起こる異常行動として徘徊、不潔行動、攻撃性、摂食異常、火の不始末などがあります。

アルツハイマー型認知症の診断には、まず認知症があるかどうかを知的機能の評価を行い確認します。次にアルツハイマー型認知症以外の認知症を除外します。意識障害、運動麻痺、歩行障害、感覚障害などを伴う場合には他の疾患の可能性があります。検査としては、必ず脳MRIを撮像します。脳梗塞や脳出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫などがあるかどうか、脳の萎縮とその部位、特に海馬の萎縮が目立つかどうかをチェックします。

アルツハイマー型認知症の発症には、脳内にアミロイドベータ(Aβ)蛋白という蛋白が貯まることが原因の一つと考えられています。アルツハイマー型認知症では前脳基底部のアセチルコリンなどを分泌する神経細胞が衰えて脱落し、脳内のアセチルコリンが減少し、ここからの指令が伝えられる大脳新皮質、海馬の機能が低下します。この結果、前述のような様々な症状が起こります。

アルツハイマー型認知症の治療ですが、残念ながらまだ根本的な治療法はありません。しかし、症状を軽減させることができる薬物があります。一つは脳内で減少しているアセチルコリンを増加させる薬剤で、アリセプト®、レミニール®、貼付剤のリバスタッチパッチ®、イクセロンパッチ®(2つの貼付剤の成分は同じ)です。もう一つは神経細胞を衰えさせない薬で、メマリー®といいます。現在臨床試験が行われている薬剤として、Aβ蛋白をターゲットにしたものでは、Aβの合成にかかわる酵素に対する阻害薬、Aβ蛋白に対する抗体やワクチンがあり、また神経細胞内に蓄積するリン酸化タウ蛋白をターゲットにした新しい治療法も開発されつつあります。当院でも臨床試験を行っておりますので、興味がございましたら御連絡ください。

アルツハイマー型認知症では動脈硬化が病変の進行に関与していると考えられています。従って、動脈硬化の予防、即ち高血圧・高脂血症・糖尿病などの予防、禁煙・適度の運動(有酸素運動)などが発症あるいは進行の予防に繋がる可能性があります。また、旅行・スポーツ・園芸などの社交的・趣味的活動をしている人、何ごとにも興味や好奇心を持っている人は認知症になりにくいと言われています。

診療科のご案内