病気のはなし
メタボリック症候群と尿路結石再発予防(食事・生活編について)
「痛い、痛い、痛い 死ぬかと思った。」尿路結石発作を経験した患者さんが良く言う言葉です。尿路結石症はメタボリック症候群(通称MetS(メッツ):ニューヨークの野球チームではありません。)の一疾患です。MetSの予防法と尿路結石の再発予防のための食事・生活指導は共通点が多いです。今回は、そのお話をしてみたいと思います。
まず、どれぐらいの人が病気に罹っているかと言うと(恰好良く言うと「疫学」です)MetSの罹患率は男性で30.4%、女性で11.9%であり、尿路結石は10万人あたり137.9人(男性191.9人、女性86.9人)だそうです。尿路結石はその昔は断然男性が多かったのですが、最近は女性が急追しています。
栄養食事指導
基本的には3食バランスの取れた食事内容で過食や偏食を避け、食事摂取時間も定めた規則的な食生活が良いとされていますがもう少し細かく見ていきましょう。
熱量(カロリー)
尿路結石になる方は肥満(内臓脂肪型)傾向が強いとされています。動物実験でも肥満動物にシュウ酸(尿路結石のほとんどがシュウ酸結石です)になる物質を与えると腎結石が出来る確率が上がる事は証明されています。エネルギー必要量の計算は複雑なため、まずは身長と体重から簡単に求められるBMI(体重(㎏単位)÷身長(m単位)÷身長(m単位))で体格を確認するのが分かりやすい方法です。BMIの目標値は18~49歳で18.5~24.9㎏/㎡、50~69歳で20.0~24.9㎏/㎡、更に70歳以上では21、5~24,9㎏/㎡と設定されています。高齢になると痩せすぎも良くありません。
カルシウム・シュウ酸
カルシウムを摂ると腸内でシュウ酸とくっ付いて吸収されなくなり結石を作りにくくする事は良く知られています。また、ホルモンの関係からもカルシウム摂取は結石を作りにくくする事が生理学を知っている人なら直ぐにわかります。ガイドラインではカルシウムの摂取量は1日男性で600~800mg、女性で500~650mgが推奨されています。シュウ酸については推奨摂取量の記載はありませんが、「食品中の結石関連物質の含有量」一覧が示されており、それを参考にシュウ酸の過剰摂取を避けるの良いかと思われます。一方、ポパイ(ほうれん草が大好きな水兵のキャラクター)ではないですが、1日にバケツ一杯の多量のほうれん草を食べない限りは結石の確率は高くならないとする研究もあります。更にMetSの方は高カルシウム尿症になりやすく、肥満(BMI>25)の方は尿中カルシウム・シュウ酸の排泄量が多い事も確認されています。
ナトリウム(塩分)
塩分を多く摂ると尿中カルシウムが増える事がわかっています。尿路結石予防から見ると1日の塩分は男性で7,5g未満、女性で6,5g未満が推奨されます。減塩醤油なんかは良いのでしょうが、減塩だと思うと1,5倍使ってしまうのは私だけでしょうか?
動物性蛋白(たんぱく)
まず動物性蛋白は二つに分類します。牛乳・バター・チーズなどの乳製品からのdairy protein(乳製品由来蛋白)と肉・魚・卵などからのnon-dairy protein(非乳製品由来蛋白)です。乳製品由来蛋白はカルシウムを多く含んでおり、上記でお話ししたように結石形成を抑えると考えられます。それに対して非乳製品由来蛋白は、尿を酸性化させ結石が出来やすくなります。MetSの栄養指導では動物性蛋白は40~50%程度に抑えることが推奨されており、尿路結石の再発予防においてもこれを参考にされるのが良いかと思われます。
プリン体
プリン体は体内で尿酸へと変化していきます。尿酸値が高い状態が続くと足の指が強く痛む“痛風”を起こしやすくなります。また、尿酸値が高くなると昔の参考書チャート式流で言えば「弱い酸は出ていけ」的にシュウ酸が結晶化して尿路に結石を作らせる原因になることもあります。プリン体の多い有名な食べ物は、魚卵(イクラ・タラコ・数の子等)があります。とても美味しいのですが食べ過ぎには注意しましょう。また、この時期の美味しい飲物としてビールがありますが、これにもプリン体は多く含まれており、尿路結石を経験した方はやはり呑み過ぎには注意しましょう。アルコールは代謝されて最終的にはお酢になるので尿を酸性化させてやはり結石生成を助長してしまいます。
身体活動の促進
尿路結石の再発予防のためには適度な運動の実施も推奨されています。前にお話しした動物実験の続きでは肥満動物に70%の食事制限と運動負荷を強いたところ、体重減少とともに尿の酸性度の改善、シュウ酸結晶ができにくくなる事がわかりました。また人に対する大規模調査では、運動を多くしている人の方が尿路結石になりにくく、1週間当たり表3の強度の合計が10メッツ以上の身体活動をすると再発率が31%減少したとする報告もありますが、差がないとする報告もあります。しかしながら、ガイドラインでは表3の合計が23メッツ・時/週以上行う事が推奨されておりますので、それを目指して頑張りましょう!
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