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当病院について

当病院について

基本理念と行動指針

当病院の診療基本方針

公立学校共済組合関東中央病院
平成16年12月24日制定
改正 平成22年1月20日
改正 平成26年8月8日
改正 平成30年5月14日
改正 令和 2年 1月 6日

ここに述べる診療の基本方針の内容は、既にマニュアル、通知、業務規定等に記載されている、或いは既知の事柄であるが、当院で働く全ての職員が遵守するべきものとして集約したものである。

第1章 原則
  1. (医師の責任)医師の医療上の判断は命令や強制によるものではなく、自らの経験、知識及び良心に基づいて行う。医師は医療の現場においては自らの言葉と行動に常に責任を持つ。
  2. (医療の質の向上)当院で働く医師は、その時代の最良で、適切な医療を提供することが期待されている。診療は病院活動の根幹をなすものであるので、診療の質を高く維持するために不断の努力が求められる。
  3. (患者さんの権利の尊重と健康の推進)診療に際しては、患者さんの権利が損なわれないように細心の注意を払う。常に患者さんの人権を尊重し、個人の秘密を守り、患者さんの健康と安全を最優先する。
  4. (診療行為とその正当化の手続き)医療は個々の診療行為とそれを正当なものにする手続きからなる。診療行為正当化の手続きは、診療行為実施の前に適切な手順で適切な内容の説明を行い、合意を得ること、また、診療行為実施後に、その結果と診療行為を通して得られた情報を患者さん及び家族に正確に伝達して理解を得ることからなる。
  5. (医療の不確実性)医療行為は多かれ少なかれ患者さんの身体に侵襲を与える。人間の生命の複雑性と有限性及び個人の多様性ゆえに医療は本質的に不確実である。たとえよかれかしとの善意に基づいていても医療を行った結果が有害になること、医療ができることには限界があることを常に自覚して謙虚な態度で診療にあたる。
  6. (医療事故への対応)医療の安全性を高める最大限の努力をしても、医療事故を完全には回避することはできない。医療事故が発生した場合には責任を回避せず誠実に対応する。虚偽の説明や診療録への虚偽の記載は決してするべきではない。
  7. (法令等の遵守)医師はその任務、資格、業務等が法令で厳しく規制された、すぐれて法的な存在である。また当院の医師は地方公務員等共済組合法で規定された地方公務員に準拠した身分であり、当院の就業規則、職員倫理規程等を遵守するべきである。

第二章 診療チームの構成と任務
  1. 入院中の一人の患者さんに対しては、当該診療科の部長、主治医、受持医のチームが診療を担当するのを原則とする。チームとしての意思決定のための過程が医療の質と安全を高めるために必須である。
  2. 入院診療を担当する診療科の部長は、少なくとも週1回は回診を行い、当該診療科の全入院患者についての臨床経過と個々の医師の診療状況を把握し、助言及び指導をする。
  3. 主治医とは、患者さんの診療に対して主たる責任を有する医師である。主治医はその患者さんの診療の基本方針を決定し、患者さんand/orご家族の方々に対する臨床経過の説明、インフォームドコンセントの取得等を行う。原則として当該診療科の医員以上の常勤医が主治医となる。例外的に当該診療科部長の判断でシニアレジデントを主治医とすることができる。
  4. 主治医は各診療科の学会の専門医あるいは認定医の資格を有するか或いは同等以上の診療能力があることが望ましい。
  5. 受持医とは、主治医の指示と指導の元に、主治医の診療の補佐または自ら診療を実施するものをいう。
  6. 臨床研修医(ジュニアレジデント)が受持医として診療に参加する場合は、常に主治医または上級医師の指導の下に診療行為を行うものとする。
  7. 主治医、受持医は毎日、担当する患者さんを診察して病状を把握し、所見を速やかに診療録に記載する。また、患者さんの訴え、要望等を聞き、誠実にこれに答える。
  8. 主治医、受持医が不在で患者さんの対応ができない場合は、当該診療科の他の医師が協力して診療を行う。主治医、受持医が不在中、診療科の他の医師は病棟看護師等から診療の依頼に迅速に対応する。
  9. 未成年の患者さん、意識障害のある患者さん、意思の疎通が困難な患者さんの場合、主治医、受持医は定期的に家族の方々に患者さんの病状、経過、治療方針等を説明する。

第三章 緊急時の対応
  1. 部長、主治医、受持医は、緊急時に連絡が可能なように病棟ナースステーション等に連絡先を通知しておく。
  2. 主治医、受持医は、時間外、休日を問わず緊急の用件で病院からの連絡を受けた場合は、必要に応じて登院し対応できるように体制を組んでおく。
  3. 診療科部長は、時間外、休日を問わず、当該診療科の主治医、受持医からの連絡を受けた場合は、必要に応じて登院し指導、監督を行う。
  4. 主治医、受持医が何らかの理由で緊急時の対応ができない場合、当該診療科の他の医師は病棟看護師等から診療を依頼されれば、これに対応する。

第四章 コメディカルスタッフとの連携・協調
  1. 質の高い安全な医療を提供するためには、コメディカルスタッフとの良好な協力関係が不可欠である。関連職種の各々の自発的努力が医療の質の向上に寄与する。コメディカルスタッフとの連携・協調にあたっては、お互いの人格、職制の尊重が基本であることを認識する。
  2. 医師が行う検査、診療の指示は所定の手順に従って正確に伝達する。
  3. 看護師を含めコメディカルスタッフから診療の要請があった場合には、速やかに診療し、その結果をコメディカルスタッフに伝える。
  4. 医師は普段より看護師を含めたコメディカルスタッフと、診療内容、臨床経過、患者さんや家族の反応等について十分な意思疎通に努める。特に、コメディカルスタッフが診療内容に疑問があった場合、積極的に医師にこれを伝えることが望まれる。診療内容によってはコメディカルスタッフが法的責任を問われる事もありうるので、医師には疑問に対して誠実に答える義務がある。こうした絶え間ない意思疎通の努力が医療の質の向上につながる。

第五章 記録
  1. 主治医、受持医は診療録に主訴、既往歴、現病歴、身体所見、検査所見、日々の臨床経過等の情報を目標志向型診療記録(Problem oriented medical record: POMR)の記載法に従って記録する。診療録は、患者さんや家族の方々へ開示することがあること、裁判における証拠資料となること等があるので、理解しやすく、誤解の生じ難い言葉を使用して、略語等での記録を可能な限り避けて記載する。個人的な感情や主観的な判断の記載は避け、できるだけ客観的で科学的な事実を記載するように努める。さらに画像診断や検査値の解釈、診療方針、臨床経過、カンファレンスでの議論等も記載する。また説明文書、同意書、手術記録、麻酔記録、検査結果等の必要な書類を作成し、ファイルする。受け持ち患者さんの退院後2週間以内に退院要約を作成し、診療録を完成させる。
  2. 院内で承認を受けたクリニカルパスを使用する場合、クリニカルパスに含まれる診療内容、想定内の経過等が前記の記録するべき内容の一部である場合はクリニカルパスで代用してもよい。
  3. 個々の診療行為の記録は、それぞれの診療行為の担当者(例、手術記録は術者、麻酔記録は麻酔医、内視鏡検査は内視鏡検査実施者)が責任をもって記載する。

第六章 診療方針の決定と変更
  1. 診療科の部長(あるいはこれに準ずる医師)は少なくとも週1回の病棟カンファレンスを開催し、管理下にある全患者の診療方針について議論をする。診療方針の決定は当該診療単位の全員一致が望ましい。カンファレンスでは既往歴、現病歴、身体所見、検査値、画像診断等から患者の病像を再構成する。これに過去の文献上の考察、患者さんの社会的背景、患者さんの意思、家族の希望等を加えて、合理的議論により診療方針を決定する。特定の医師の恣意や科学的裏付けのない権威を診療方針決定の根拠とすることは避ける。
  2. 手術については術前のカンファレンスで、病態、全身状態の判断根拠となる画像診断、検査データを提示し、手術方法や麻酔方法が適切であるかを再確認する。
  3. 病棟カンファレンスには、看護師あるいは必要に応じて他の職種の医療者にも出席を要請する。診療方針の決定に際して、看護師あるいは他の職種の医療者の意見を参考にする。同時に方針決定の経緯をその職種の他の者にも伝達するよう要請する。
  4. 医師が予定された診療行為が適当でないと判断した場合、病棟カンファレンス等でその旨を表明し、合理的議論で判断の是非を検討する。
  5. 深刻な意見の対立が合理的議論で解決されない場合、関東中央病院の全ての医師は、個別に病院長に対して調査検討を要請することができる。
  6. 主治医、受持医は診療方針と診療の予定を正確に患者さん及び家族に伝えるべきである。診療方針に変更があった場合には、変更の理由、変更後の方針を説明する。検査、与薬に関しても、実施前に概要を説明する。
  7. 主治医、受持医が自らの専門外の医学的判断が必要と考えた場合には、積極的に適切な他の診療科の医師の判断を求める。
  8. 部長(あるいはこれに準ずる者)は必要に応じて複数の診療科による診療方針検討のための会議を招集することができる。

第七章 入院と退院
  1. 入院決定時には明確な入院目的を設定し、これに基づき入院診療計画書を作成する。これを患者さんand/or家族に説明し同意を得る。
  2. 退院時には、入院中の診療の結果と得られた情報を患者さんand/or家族に説明をする。退院後の治療、療養の方針と計画の決定にあたっては、患者さんand/or家族の意向、病棟看護師、地域保健医療部の医療福祉士、退院支援看護師、訪問看護師、地域連携室等からの助言、意見を参考にする。この方針と計画を退院の前に、確実かつ正確に患者さん本人and/or家族に伝える。

第八章 説明と同意
  1. 患者さんは自身の病状について説明を受ける権利を有している。医師は患者さん或いは代理人に対して、患者さんの病状、診療計画、治療内容、検査の結果等を適宜説明する義務がある。
  2. この説明は、当該診療を直接担当する医師が、患者さん本人に対して行い、同意あるいは理解を得ることを原則とする。ただし、小児や知的障害、精神的問題を有する患者さんなどで、同意に必要な能力がないと判断される場合、あるいは説明が本人にとって有害と判断される場合には、本人の理解力や状況に応じた説明をする。これとは別に、親権者、後見人等に十分に説明して同意或いは理解を得ておく必要がある。
  3. 病状の説明に際しては、事実と推測とを区別する。根拠のない推測は避け、わからないことはわからないと率直に説明する。
  4. 侵襲を伴う診療行為(手術、検査等)を実施する場合には、病状の説明に加えて、当該診療行為が必要な理由、診療行為の具体的な内容、予想される身体的障害、合併症とその可能性、実施しない場合に予想される結果、他の代替手段とその利害得失、実施後の一般的な経過等を説明し、同意を得る。また説明内容と同意についての記録を診療録に記載する。どの診療行為で所定の同意書への署名を必要するかは、当院の「インフォームドコンセントに関するガイドライン」を参照する。
  5. 説明と同意に当っては、看護師等の医師以外の異なる立場の医療関係者が立ち会うことを原則とする。特に、所定の同意書を使用するような、侵襲を伴う診療行為の説明と同意にはこうした第三者の立ち会いは必須である。また患者さんの同意が得られる場合は、患者さんが信頼する家族あるいは親族の方にも同席して頂くのが望ましい。
  6. 重要な説明は、静かで落ち着いた、外部から見られない、音声が外に漏れない部屋で行う。
  7. 重要な説明では、説明文書をあらかじめ渡しておき、理解の向上をはかる。また、説明文書中に不明点、疑問点を前以て確認していただくように要請する。不明点、疑問点を次の説明の機会に重点的に説明し、理解を得るように努める。
  8. 重要な説明では、説明の節目ごとに、また説明終了時にも、理解できないことがないかを尋ね、質問を受ける。理解できていないと思われる場合には、再度説明する、あるいは立会いの看護師等に医師とは異なる視点から説明してもらうなど、理解を得るための努力を惜しまない。一回の説明で完全な理解を得られることは少ないと考えるべきで、説明の機会を複数回設けて理解の徹底を図る。
  9. 説明直後に同意書への署名を求めることは極力避ける。別の場所で患者さんと家族、知人などと説明内容について相談できるように配慮する。
  10. 緊急事態で同意を得る時間的猶予がない場合、家族や親族等が間に合わない場合などには、説明と同意が得られない理由、診療行為を行う根拠等を必ず診療録に記録する。
  11. 説明の内容によっては患者さんへの心理的ストレスが大きくなることがある。こうした場合は、説明後に患者さんと密に接し、反応を確認し、ストレスの軽減を図る。また、説明に同席した看護師等にも、異なる立場で接触することを依頼し、患者さんの精神的状況の把握に努める。必要な場合には精神科医、精神科リエゾンナースに援助を仰ぐ。
  12. 説明に同意をしていただくとき、同意書に署名をいただくときには、他医療機関の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くことが可能であること、その際には必要な資料を提供することを伝える。
  13. 関東中央病院で実施していない診療行為でも、他の医療機関で相当程度実施されている診療行為について、求められればこれを説明する。また希望があれば適切な医療機関に紹介する。

第九章 患者さんの自己決定権の限界
  1. 患者さんの希望があっても、当該診療科にその診療行為の経験がなく、かつ十分な準備のない診療行為は原則として行わない。
  2. 患者さんの希望があっても、倫理や法律に反する行動をとらない。
  3. 患者さんの希望があっても、医学上適切でないと思われる診療行為は原則として実施しない。
  4. 適切でない診療行為は、それが他の医療機関で行われるとしても、その実施に承認を与えたり、実施の援助を与えない。

第十章 診療指針、患者さんデータベース、臨床評価指標
  1. 各診療科は扱っている主要な疾患についての診療指針を明文化する。既に学会等で出ている診療指針、ガイドライン等は図書室で利用できる。これらは、現時点における医療のスタンダードと考えるべきもので、医療の標準化、患者さんへの説明資料、研修医の教育等に役立つ。各診療科は診療の対象となっている主な疾患についての患者さんデータベースを構築する。
  2. 一般的な臨床評価指標(例、ある疾患を有する患者さんの平均在院日数、手術創感染率など)以外にその診療科独自の臨床評価指標を設定し、年次毎に評価をして医療の質の向上をはかる。
  3. 医療は日々変化し続けている。医療の質を高く保つために、扱っている疾患について常に最新の情報を収集する。また得られた情報は診療科の構成員で共有するように努める。

第十一章 緩和ケア
  1. 疼痛をはじめ、患者さんにとって不快な症状や精神的苦痛の緩和に努めるのは医師の基本的な責務である。特に疼痛については「緩和ケアマニュアル」を参考にして対処する。
  2. 治癒を望めない患者さん、終末期の患者さんには精神的にも肉体的にも可能な限り、快適かつ人間としての尊厳を保ちつつ過ごせるように配慮する。「緩和ケアチーム」の応援を依頼することも考慮する。

第十二章 死亡時の対応
  1. 患者さんが死亡された場合、患者さんの家族は死因の説明を受ける権利を有する。主治医は可能な限り臨床経過を説明する。生前の臨床情報で死因が十分に説明できない場合は、病理解剖を提案して、死因解明の努力をする。
  2. 異状死体の場合は24時間以内に、玉川警察署(電話:3705-0110)に届け出るべきである。
  3. 医療事故による死亡の可能性が否定できない場合は、直ちに診療科部長、病棟セーフティーマネジャーを通して医療安全管理室または病院長に届け出る。

第十三章 医療事故
  1. 医療事故を防止するべく、常に患者さんの安全を最優先して行動する。
  2. 医療事故防止のため、医療安全管理マニュアル及び各種マニュアルを遵守する。
  3. 不幸にしてインシデント、アクシデントが発生した場合、先ず何よりも患者さんへの影響を軽減するべく最大限の努力をする。診療科部長及び病棟セーフティーマネジャーに連絡し、「医療安全管理マニュアル」に記載されている所定の手続きで医療安全管理室に報告する。
  4. 患者さん及び家族には、誠実な態度で対応する。
  5. 後々の議論、検討のために、忘れないうちにインシデント、アクシデントが発生するに至った経緯をできるだけ詳細に診療録に記載しておく。

附則(平成16年12月24日)
この規程は、平成16年12月24日から実施する。

附則(平成22年1月20日)
この改正は、平成22年1月20日から実施する。

附則(平成26年8月8日)
この改正は、平成26年8月8日から実施する。

附則(平成30年5月14日)
この改正は、平成30年5月14日から実施する。

附則(令和2年1月6日)
この改正は、令和2年1月6日から実施する。


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