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病院広報誌

緑のひろば

2018年3月号

反抗期について

精神科 菊地 秀明

思春期とは
 子どもは思春期(概ね小学校高学年〜高校生)を迎えると、成長ホルモンや性ホルモンの分泌が盛んになり、体は大人の体へと急速に変化し、第二次性徴も始まります。性的な衝動や攻撃的な衝動が高まり、みな落ち着きがなくなり、そわそわしたり、イライラし始めます。

思春期の親離れ
 小学生までは、子どもは親によく話をしたり相談をしたりします。しかし思春期に入ると、子どもは親に異性や性的なことを中心に相談しづらくなるため、話をする相手は親から友達へと変化していきます。そして親に向かっていた気持ちやエネルギーは徐々に弱まります。つまり一番大切な相手が親ではなく、友達になっていくのです。これが親離れです。
 具体的な親離れの行動を挙げます。まず親と話そうとしなくなります。親が話しかけても素っ気ない態度を取ったり、返事すらしないことも出てきます。子どもからの話も、必要最低限の要求のようなものが多くなります。そのため親は、子どもの思っていることや、子どもが学校で何をしているのかなどが分かりにくくなります。
 また、親が子どもに「こうしなさい」と言っても聞こうとしなくなり、むしろそれに反発し、喧嘩になることもあります。日常的に「うざい」「うるさい」「あっち行け」などと言うようになります。
 そして自分のプライバシーも守ろうとします。机の引き出しに鍵を掛けたり、部屋に入ってくるなと言ったり、スマホやSNSを覗こうとすると怒ったりします。外出も親とはしたがらなくなります。

思春期の仲間関係
 子どもは思春期に、親から離れ、まずは同性の仲間関係を作ります。それは、親から離れた寂しさを紛らわすとか、依存の対象を親から仲間へ置き換えるだけではなく、同性の仲間は自分と同じ悩みや不安を抱えているので、分かり合えるからです。
そして子どもは仲間関係の中で、自分の家庭とは違う、別の家庭の多様な価値観を知ります。今まで自分は親の言いなりになっていた、親の価値観をそのまま取り入れていたと気づき、そういう自分を変えたい、親から脱却したいと思うようになります。つまり子どもは、親離れするとともに、時代に即した親以外の価値観、友人や先生、本、テレビなどから様々な価値観を取り入れ、それまで親から取り入れてきた価値観とミックスさせ、「自分はこうありたい」「こういう大人になりたい」というような自己像を作っていきます。そして、その子どもがつくった新しい固有の価値観にもとづいて、将来の仕事や異性などを選んでいきます。
 また、子どもは仲間と勉強や部活動、異性などをめぐり競争します。仲間とは、友達でありながら、互いに競争したり戦う間柄となるのです。

反抗期は喜ばしいもの
 小学生ぐらいまでは、親にとって問題のなかった子、親の言うことをよく聞いていた子が、思春期になると親の言うことは聞かなくなり、逆に反発するようになります。しかしそれは、親の言いなりにならずに、自分で考え、自分の意見を主張し、自分の責任で行動するということでもあります。思春期で身につけなければならない主体性や積極性、自己表現、自己決定などの能力を身につけるということにもなるのです。要するに親離れや反抗期は、子どもが社会の中で親に頼らず同世代の仲間とともに自分の力を信じてやっていく、大人になっていくという過程の一部なのです。
 むしろ、思春期になっても親に甘え続けてしまう。自分では何も決められない。親を恐れて全く反発できない。親や仲間に気を遣い過ぎてしまって何も言えない。親や仲間の言いなりになってしまう。家や学校で良い子を演じてしまう。そのような子どものほうが、不登校や摂食障害などの問題を引き起こしてしまうことがあります。
 つまり思春期になった子どもが、親と距離を取ったり適度に反抗できるようになることは、成長している証であり、その成長を喜ばしく見守っていくことが大切なのです。


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