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病院広報誌

緑のひろば

2018年3月号

胃粘膜下腫瘍-当科と外科の連携治療LECSについて-

光学医療診療科 湯原 宏樹

胃粘膜下腫瘍とは
粘膜下腫瘍(submucosal tumor:SMT)は、腫瘍(病的な細胞が増殖したもの)が粘膜の下に存在していて、正常粘膜に覆われているので図のように正常粘膜が盛り上がっているように見える病変です。ほとんどの場合は無症状で、多くの場合、検診のバリウム検査や胃カメラで偶然に見つかります。腫瘍が表面に顔を出している場合は、そこから出血をして、血を吐いたり、便が黒くなったりすることがあります。

胃粘膜下腫瘍
胃粘膜下腫瘍

胃GIST(胃粘膜下の悪性腫瘍の1つ)
近年の検診の普及や画像検査の診断能向上などに伴い、無症候性の胃SMTが検出されるようになりました。内視鏡検査によって無症候性の胃SMTは0.4%の頻度で指摘されるとの報告がありますが、今後さらに増加するものと思われます。胃SMTは総称であり、消化管間葉系腫瘍 (gastrointestinal stromal tumor: GIST)のほか、平滑筋腫、神経鞘腫、脂肪腫、迷入膵、?胞、壁外性圧排など病理学的には腫瘍とはいえない病変も含まれることになります。基本的な考え方として、治療対象となるSMTは主にGISTなので、X線もしくは内視鏡で「SMT」と診断された病変をより正確にGISTと診断することが重要です。「GIST診療ガイドライン」において、有症状あるいは5.1 cm以上のSMT、 もしくは生検にてGISTと診断されれば絶対的な手術適応となりますが、逆に、腫瘍径が2 cm未満で、潰瘍形成、辺縁不整、増大傾向などの悪性所見がなければ年1〜2回の画像検査による経過観察とされています。腫瘍径が2〜5 cmのSMTに関しては、超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography:EUS)での精査が勧められています。 EUSは、消化管壁の層構造を明瞭に描出することが可能であり、腫瘍の大きさ、形態、深達度、発生部位、病変の主座、内部エコー像など様々な情報が得られるため、SMTに対する精査として必須な検査であるとされています。

GISTの治療
治療は大きく外科的切除と抗腫瘍薬による化学療法に分けられます。治療対象となるのはGISTもしくは有症状のSMTとなりますが、基本的に病変が局所に留まっているものは外科的切除が原則となります。一方、診断された時点で転移・播種を認める症例や術後再発を認めた症例に対しては化学療法を考慮することになります。

LECSとはECSとは
近年、胃外側からの病変の認識が困難な腔内発育型SMTに対して、経口内視鏡で切除範囲を決定することで切除範囲を可能な限り縮小させることができる、腹腔鏡内視鏡合同手術(laparoscopic endoscopic cooperative surgery:LECS)が開発され、2014年には保険での治療が可能となりました。腹腔鏡で手術をすると同時に、内視鏡を使って胃の中からも同時に腫瘍を観察、切除する方法です。高度な胃の内視鏡技術と腹腔鏡技術が必要とされますが、より低侵襲で可能な限り臓器を温存することができるLECSは、術後のquality of lifeをできるだけ維持することのできる術式として期待されています。


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