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病院広報誌

緑のひろば

2018年2月号

膵がんについて

消化器内科 外川 修

 膵臓は胃の後ろ、身体のほぼ中心に横たわっているタラコのような形をした臓器で、血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンと、膵液という消化液を作ることが主な働きです。膵液は膵臓の中心にある主膵管という管の中を十二指腸に向かって流れています。

 膵がんができると腹痛や黄疸、食欲低下、体重減少などの症状が出ますが、膵臓は身体の深くにあるため症状が出にくいと言われています。また食欲低下や体重減少は膵がんに特徴的な症状ではなく、膵がんを疑わないと発見が難しい場合もあります。

 膵がんが疑われた場合には、本当に膵臓に腫瘍があるのか(画像診断)ということと、見つかった病変が本当にがんなのか(病理診断)ということを調べます。画像診断で最も身体への負担が軽いのは腹部超音波検査、いわゆるエコー検査です。しかし膵臓は胃の真裏にあるので身体の外からでは胃が邪魔でよく見えません。CT検査やMRI検査は膵臓全体を確認できますが、小さな病変の診断が難しいことがあります。そこで最近では超音波内視鏡検査(EUS)という検査が重要な役割を担っています。先端に小型の超音波をつけた内視鏡(胃カメラ)を胃や十二指腸に入れ、そこから膵臓に向かって超音波検査を行います。体外からは胃が邪魔でしたが、胃からは邪魔なものはないので非常にきれいに膵臓を検査することができます。欠点は内視鏡検査なので患者さんが辛く、鎮静剤という薬を使わないとできないことでしょうか。さらに内視鏡の中を通る細い針で胃や十二指腸の壁越しに腫瘍を刺して細胞を採取すること(超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診:EUS-FNA)で病理診断も可能です。CTやMRIでは診断が難しかった1cm程度の腫瘍がEUSによって発見され、EUS-FNAで膵がんと診断できるようになってきました。

 膵がんと診断されたら治療が必要です。膵がんを治すためには手術でがんを取りきることが唯一の方法です。術式はがんができた場所によって、膵頭十二指腸切除術と膵体尾部切除術のいずれかが行われます。しかし膵がんはそもそも見つけにくく進行が早いので、見つかった時には手術では治らない状態であることがほとんどで、診断時に手術を選択できる症例は2割程度と言われています。よって多くの方は化学療法、つまり抗がん剤で治療します。抗がん剤と聞いてよいイメージを持つ方は少ないと思います。実際、これまで膵がんに対する有効な抗がん剤は少なく、効果もそれほど高くありませんでした。しかし近年フォルフィリノックス療法とゲムシタビン・ナブパクリタキセル療法という新しく効果の高い抗がん剤治療が保険診療でできるようになり、当院でも標準治療として行なっています。新しい治療は効果が高い分、副作用も出やすいのですが、最近では抗がん剤の副作用対策も進歩しています。

 膵がんは有効な治療が少ない難治癌の代表であり、現状では少しでも早く見つけることが重要です。しかし膵がんの原因、高危険群(なりやすいと考えられる人たち)は明確には判っておらず、予防方法や早期発見のための検診方法は確立していません。しかも症状が出た時にはすでに進行していることが多いのでやっかいです。また腹痛を胃の痛みだと思ってしまうと、胃カメラで何もないからと安心し、もっと進行してしまうこともあります。「胃」の症状があって胃カメラで何もない場合は、エコー検査などで膵臓も調べた方がよいでしょう。特に仰向けでは痛みが強くなり自然と横向きで寝ていることが多くなった場合は膵臓の痛みの可能性があります。

 もう一つ。膵臓はインスリンという血糖値を下げる唯一のホルモンを作っています。そのため膵がんができると糖尿病になったり治療中の糖尿病が悪くなったりすることがあります。もちろん食事や運動などの生活習慣の乱れでもそのようになるのですが、もし生活習慣に大きな変化がないにもかかわらず、急に糖尿病と診断されたり、主治医の先生から悪くなったと言われたりした場合は要注意です。


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