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病院広報誌

緑のひろば

2017年12月号

小児の不慮の事故

小児科統括部長 金子 正英

 こどもの健康を守るために、保護者の方はいろいろすることがあります。予防接種や健診を定期的に受けたり、かぜをひいたり熱を出せば心配で病院にかかることもあります。大事なこどもの健康を守るためには、普段の日常生活でも注意が必要です。

 不慮の事故は、小児の死亡原因で0歳児の第4位、1〜4歳の第2位、5〜10歳の第1位、11〜14歳の第2位となっています。男子では1歳から14歳まで不慮の事故が第1位です。死亡に至らないレベルを入れるとたくさんの事故が起こっています。これらの事故は、予防ができるものが多いのです。こどもを事故から守るため、子供の目線に立った予防を行っていくことが大事です。常にこどもから目を離さなければ予防はできるかもしれませんが、まったく目を離さないことは不可能です。目を離した時に、あるいはこどもが勝手に行ったとしても安全でいられる環境を作ることが大事です。

 事故の原因を知ることで、何に注意すればいいかがわかってきます。年齢別での不慮の事故の原因では、乳児では窒息、1〜4歳の幼児では、交通事故、窒息、溺水、5〜14歳の学童期では交通事故、溺水の順で多いという結果が報告されています。

 窒息は、圧倒的に乳児期に多く、状況としては就寝中に発生するものが多く、ほかは嘔吐物や食物などの誤嚥が原因になります。乳児が寝る環境として、ベッドやソファは注意が必要で、やわらかい枕や寝具での窒息やベッドからの転落でそのまま窒息、ベッドと転落防止柵にはさまれて窒息などの報告があります。また、4cm以下の口に入るような物を手の届く環境(高さ1m以下)に置かないなどの工夫も必要です。窒息しなくても、喉につかえたり、気道に入り咳が止まらなくなるなどの誤嚥、誤飲の事故は多く、4cm以下の物を持たせることは注意しましょう(できれば止めさせましょう)。

 

 交通事故は1歳以上で最も多く、自動車ではチャイルドシートの着用、自転車ではヘルメットの着用が必須です。チャイルドシートはこどもが嫌がるからと付けない保護者も見受けられますが、何が一番大事なのか、嫌がることでも安全が優先であることを改めてご理解いただきたいと思います。また、交通事故は自宅周辺で起きる頻度が高いこともあり、慣れた自宅周辺であっても小さなこどもが外で遊ぶ時は目を離すべきではありません。

 溺水は、4歳以内では浴槽で起こることが多く、一緒に入浴中に目を離した時(シャンプー中など)に起こったり、子供が自分で水が溜まっている浴槽内に間違って落ちてしまったりすることがあります。入浴後はお風呂の水を抜くことが必要です。また、浴室に鍵をかけることも有効です。5歳以上では、屋外での水の事故が多く報告されます。特に夏場の海や川では常に目を離さないことが必要です。

 建物からの転落事故は3〜4歳で多く発生します。窓やドアのまめな施錠と、ベランダや窓に足場となるものを置かないようにしましょう。

 こどもの手が届くもの、口に入るもの、触れては危ない物は、手が届かない場所に置きましょう。今日届かなくても明日は届くようになることもあります。昨日まで寝返りができない子が、急に寝返りできるようになりソファーから落ちることもあります。ある程度成長も見越してその都度対応が必要です。

 いろいろな安全グッズもありますし、さまざまな情報サイトもあります。こどもの安全を意識して楽しい子育てをお願い致します。

「不慮の事故」によるこどもの年齢・原因別の死亡数(平成27年) 
「不慮の事故」によるこどもの年齢・原因別の死亡数
(出典)「国民衛生の動向2017」


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