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病院広報誌

緑のひろば

2017年5月号

高齢者の糖尿病管理目標について

代謝内分泌内科医長 野村 瞳

超高齢社会を迎え、糖尿病をかかえるご高齢の方は増える一方となっています。

一口に高齢者といっても、心身の状態は個人差が著しく、また高齢者糖尿病では低血糖を起こしやすいという問題点も明らかになっています。重症な低血糖は認知機能の低下にもつながったり、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった疾患のリスクにもなり得ます。

このような現状を背景に、2016年5月に「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」が発表されました。
これまでは、年齢に関係なく一律HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が7%未満を目指すというものでしたが、高齢者に関しては、本人の健康状態(認知機能、身体機能、併存疾患、重症低血糖のリスク、余命など)を考慮し個別に目標値を設定することや、重症低血糖が危惧される場合は、血糖目標値に下限値を設定し、より安全に治療を行うことなどを目的に作成されました。

以下にガイドラインをお示しします。今はそうでない方も、年齢を重ねていった際に治療のご参考になればと思い、今回ご紹介させて頂きます。

ただ、表も注意書きが多くわかりにくい部分があると思いますので、糖尿病治療を行っている方やご家族がどのカテゴリーに該当するのか、また血糖値の目標はどこなのか、外来で聞いていただければお答えいたしますので、お気軽にご相談下さい。

高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)

高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)

治療目標は、年齢、罹病期間、低血糖の危険性、サポート体制などに加え、高齢者では認知機能や基本的ADL、手段的ADL、併存疾患なども考慮して個別に設定する。ただし、加齢に伴って重症低血糖の危険性が高くなることに十分注意する。

※注1)認知機能や基本的ADL(着衣、移動、入浴、トイレの使用など)、手段的ADL(IADL:買い物、食事の準備、服薬管理、金銭管理など)の評価に関しては、 日本老年医学会のホームページ を参照する ( http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/ ) 。エンドオブライフの状態では、著しい高血糖を防止し、それに伴う脱水や急性合併症を予防する治療を優先する。

※注2)高齢者糖尿病においても、合併症予防のための目標は7.0%未満である。ただし、適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法の副作用なく達成可能な場合の目標を6.0%未満、治療の強化が難しい場合の目標を8.0%未満とする。下限を設けない。カテゴリーIIIに該当する状態で、多剤併用による有害作用が懸念される場合や、重篤な併存疾患を有し、社会的サポートが乏しい場合などには、8.5%未満を目標とすることも許容される。

※注3)糖尿病罹病期間も考慮し、合併症発症・進展阻止が優先される場合には、重症低血糖を予防する対策を講じつつ、個々の高齢者ごとに個別の目標や下限を設定してもよい。
65歳未満からこれらの薬剤を用いて治療中であり、かつ血糖コントロール状態が図の目標や下限を下回る場合には、基本的に現状を維持するが、重症低血糖に十分注意する。グリニド薬は、種類・使用量・血糖値等を勘案し、重症低血糖が危惧されない薬剤に分類される場合もある。

     

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