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病院広報誌

緑のひろば

2016年9月号

こどもの不整脈

小児科統括部長 金子 正英

 不整脈と言うのは、字のごとく脈が乱れることを意味しますが、実際は普通の脈拍より速くなる「頻脈」、または遅くなる「徐脈」と、リズムが狂う「期外収縮」に主に分かれます。

 まず最初に正常の脈について説明します。
正常の脈を洞調律といいます。脈は心臓の中を電気が通り、心臓が動くことで起こります。心臓の右心房にある洞結節という場所から電気の興奮が自動的に始まります。洞結節からでる脈なので洞調律と呼ばれます。洞結節は、自分である一定のリズムで電気の興奮をつくり、その電気がまず心臓の心房全体に伝わり、そして心房が収縮します。心房が収縮すると血液は心室に送り込まれます。続いて電気の興奮は心房と心室の間の房室結節という中継地点を通り心室に伝わります。心室が収縮すると、心房から入ってきた血液を動脈に送り出します。このように心臓の働きは、洞結節からの電気により心房、心室が収縮することによって起こっています。洞結節は自律神経の影響を受け、運動や興奮で脈拍は上がり、安静や睡眠で下がります。

 不整脈になると、場合によっては正常な血液の流れに影響を及ぼします。しかし、特に子供の場合、一部の重い不整脈を除き、ほとんどの不整脈は問題がないか、少ない場合が多いです。実際によくみられるのは「期外収縮」で、特に学校などの検診でよく見つけられ、紹介受診されます。ほとんど自覚症状がなく、年長児では多少の動悸を感じる場合がある程度です。正常の洞調律の中に、一拍ずつ異常な脈が入り込むのが「期外収縮」です。心房性(上室性ともいいます)と心室性に分類されます。心房性の場合、ほとんど問題になることは有りません。心室性の場合も問題になることは少なく、多少頻度が多くても連発しなければ、運動の制限や薬を使う必要はなく経過観察できることがほとんどです。“大丈夫”と言う判断は、いくつかの検査をした上で判断されます。

 脈が遅くなる「徐脈」は、遅くなりすぎると、倒れたり、意識を失ったりする場合があります。年齢によりますが、脈拍は一分間に50〜60回以下になります。通常、症状があった場合に心臓が原因かどうか調べて初めて病気がわかることが多いです。脈が多少遅くても、症状がなければ問題がないことが多く、特に運動をされているお子さんで見つかります。

 脈が速くなる「頻脈」は、通常動悸を感じるか、ひどいと倒れたりする場合もあります。乳児では機嫌が悪くなったり、ミルクを飲まなくなったりします。脈拍は一分間に150から250回くらいとなります。頻脈を認めた場合は、まず安静にすることですが、基本的には病院で治療する必要があります。診断がつけば薬の内服治療となりますが、学童以上の難治例ではカテーテル焼灼術という方法で完全に治す場合もあります。

 一般に不整脈があると言われると心配されると思いますが、しっかりと病気の状態を把握し、どの位大丈夫で、何に注意するかをしっかり理解することが大事です。過剰な運動制限や心配につながらないよう医師にご相談ください。

 尚、今まで述べた不整脈については、基本的に心臓の奇形を伴わない場合です。何らかの心奇形を伴う場合は、より注意が必要となることがあります。

 当院でも、24時間心電図検査、運動負荷検査、心臓超音波検査により不整脈の検査を行うことができますので、気になられたり、学校で指摘された場合は、遠慮なくご相談ください。


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