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2016年3月号
皮膚科で実施しているレーザー治療
皮膚科部長 鑑 慎司
当科では太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性刺青、扁平母斑などにQスイッチレーザーを用いた治療を行っております。Qスイッチレーザーをこれらの色素斑に照射すると、皮膚の色が変わる原因であるメラニン顆粒にレーザー光線が吸収されて、メラニン顆粒が破壊されます。このことにより、色素斑の色調を周囲の正常な皮膚の色調に近づけることができます。
レーザー照射は痛みを伴います。そのため照射する前に、痛みを取るための麻酔薬を塗ったり貼ったりしてから、麻酔薬が効くまで1時間待ちます。範囲が狭いときや0歳児の場合は麻酔薬を用いない場合もあります。範囲が広い、局所麻酔では体動を抑えきれないなどの理由で全身麻酔を要する幼児患者さんのレーザー治療は当院ではできません。また、いれずみ、老人性色素斑、および肝斑に対するレーザー治療は当科では行っておりません。
太田母斑は生まれつきできる青黒いあざで、顔にできることが多いです。レーザーを3ヶ月毎に5回くらい繰り返し照射することが有効です。これとは別に、後になって両頬などに茶色の小さい斑点が点々と出現するものもあります。老人性色素斑(紫外線や加齢に伴ってできる、俗に言うシミ)と紛らわしいものもあるので要注意です。
異所性蒙古斑は生まれたときからお尻にある青あざが手足や背中など、お尻以外にできるものです。たいていは大人になれば消えますが、大きいものや色が濃いものは大人になっても残ることがあります。これもレーザーで色を薄くすることができ、しかも年齢が若いほど治療効果も高いです。中学生になった時に気になるようでしたら、レーザー治療を受けた方がよいでしょう。大人になってからレーザー治療を受けると、茶色いあとが残る方が時々います。
外傷性刺青は鉛筆の芯を皮膚に刺したり、転倒してこすった皮膚にアスファルトや砂などが入りこんだりするとできます。レーザーを1〜2回照射すれば色を薄くすることができます。
扁平母斑は茶色いあざです。生まれつきの場合もあれば、遅れて出てくるものもあります。レーザーが効くのはだいたい3人に1人ですが、治療前にレーザーが有効かどうかを予測することは難しいです。
当科には炭酸ガスレーザーもあります。できものを焼いたり出血を止めたりするときに用いることがあります。照射部に麻酔薬を注射してから照射します。
単純性血管腫やいちご状血管腫の治療に用いるパルス色素レーザーは当院にはありません。単純性血管腫は生まれつきある赤いあざで、だいたい5人に4人は大なり小なり薄くなります。きれいに消える方も時々います。治療をご希望の際は他院を紹介しています。
いちご状血管腫は生後1ヶ月以内に出ることが多い赤いできものです。自然にしぼんで消える患者さんもいますが、大きなこぶがあとに残る患者さんもいます。いちご状血管腫に対してはレーザー治療の代わりに、それよりも効果の高いプロプラノロールの内服を行っております。
以上に述べたものが気になるときは、お気軽に当科までご相談ください。