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病院広報誌

緑のひろば

2018年2月号

脳外科の「内視鏡手術」

脳神経外科部長 中内 淳

 患者さんにストレスが少なくてすむ手術方法がテレビで放送されているのを見ることがあります。例えば消化器系では内視鏡を使用し、お腹を開かず、小さな傷を数カ所開けるだけで、内視鏡(腹腔鏡)を用いて患部を治療し、体へのストレスを軽減、さらに入院期間を短くする手術方法があります。我々脳外科領域でも同じように開頭(頭蓋骨を大きく開く)ではなく、穿頭(頭蓋骨を小さく開ける)で、内視鏡を使用し、なるべく脳へのストレスを少なくする手術方法があります。それは脳内出血に対して行う手術方法「内視鏡的血腫除去術」です。通常の開頭による血腫除去は、直径約10cm程度の大きさで頭蓋骨を外します(切り取ります)。そして、脳の一部を切開し、脳内にたまっている血液(血腫)を顕微鏡を用いて除去します。手術時間は約3時間程度かかります。

 一方「内視鏡手術」は10円玉よりちょっと大きい穴を頭蓋骨に開け、そこから、直径1cmのシース(筒)を脳内に挿入し、その中に内視鏡と吸引管を挿入し血腫を除去する手術方法です。手術時間は約90分程度、開頭術の半分の時間で済みます。当然皮膚切開(傷口)の長さも短く済むため、手術後、傷は目立たず、患者さんにとっては非常に優しい手術方法になります。

 しかし、すべての脳内出血で内視鏡手術ができるわけではありません。この手術は小さな切開部位からカメラを挿入し行うため、ひとたび、大出血が起きた場合は血だらけで画像が全く見えなくなり、手術が出来なくなって、開頭術に変更する場合もあります。また止血(血を止める)方法にもテクニックが必要であるため、もともと血液をサラサラにする薬(抗血小板剤、抗凝固剤)を服用している患者さんにはおすすめできません。

 一方、開頭術はある程度の大きさで術野(病変部位)が確保でき、直接術野を見ているため大出血が起きても助手に血液を吸引してもらいながら、術者が処置をすることが可能であるため、サラサラにする薬を服用していても問題なく手術を行うことが可能です。

 つまり、内視鏡による血腫除去も開頭による血腫除去もそれぞれ一長一短があります。体へのストレスが少ない、手術時間が短くて済む、傷口が目立たない・・・だから、内視鏡手術ではなく、それぞれの患者さんの状態に対し最適な手術方法を選択することが一番重要なことです。

 当院脳外科には、内視鏡技術認定医が在勤しており、今回お話しした、脳内血腫はもちろん、下垂体腫瘍やクリッピング術(脳動脈瘤に対する手術)に対しても内視鏡を併用して手術を行っております。何かご心配な事がありましたら、当科に相談していただければ幸いです。

手術術式
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内視鏡と吸引管
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