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病院広報誌

緑のひろば

2012年10月号

ロコモティブシンドローム

整形外科部長 鈴木 祐司


 

ロコモティブシンドローム(通称ロコモ)を知っていますか?
 骨、関節、筋肉といった運動器の機能が加齢ととも衰えて、「立つ」「歩く」といった移動動作が困難となり、「要介護」や「寝たきり」になるか、またはそのリスクが高い状態を指します。
(※骨や関節、筋肉、神経など、体を動かす仕組みを総称して「運動器」といいます。運動器は連携して働いているため、どれか1つが障害を受けても、全体がうまく働かなくなります。)

 ロコモの原因は、加齢や運動不足、生活や食習慣の乱れや肥満から、バランス能力や筋力が低下したり、骨や関節の病気を来たすことにあります。
(骨関節疾患の三大疾病は変形性関節症、脊柱管狭窄症、骨粗鬆症です。)

 また、ロコモは悪循環を生じます。
 運動不足や食べすぎは肥満を招き、体重が増加すると膝などの荷重のかかる関節の負担が増加し運動時痛が生じます(変形性関節症、脊柱管狭窄症)。また、痛みなどにより運動不足になると筋力が低下し、骨がもろくなり(骨粗鬆症)、さらに運動器の連携機能が衰えて、バランス能力も低下します。このように、体を動かすと痛みがあり、ますます運動不足になるという悪循環に陥る結果、運動器全体の機能が低下し、ロコモが進行してしまいます。
 その結果として転倒→骨折を生じるリスクも高まります。

 「要介護」となる原因の病気としては、第1位の「脳卒中」、第3位の「認知症」と並んで、ロコモに深く関わる「骨関節の病気」と「転倒による骨折」は両方あわせて第2位となり、大きな原因のひとつとなっています。ロコモとその予備軍は全国で推定約4700万人と言われ、高齢化に伴いさらに増加すると予想されています。
高齢化が進行中の現在、「立つ」「歩く」といった移動動作が不自由なくできて、健康で充実した日常生活を送るためには「ロコモ」を防ぐことが重要です。

 予防には、骨や関節、筋肉などを適度に使い、機能を保つ日々の努力が大切です。
また、病気による関節や骨の変形・痛みなどがあるときには、痛み止めを適宜使用し、日常生活を制限なく送る事が大切です。

 そのためにはまず、ロコモであるか否かは、7つのロコチェックで確認します。

  1. 片足立ちで靴下が履けない
  2. 家の中でつまずいたり滑ったりする
  3. 横断歩道を青信号で渡りきれない
  4. 階段を上るのに手すりが必要である
  5. 15分くらい続けて歩けない2kg程度の買い物荷物を持ち帰るのが困難(1リットルの牛乳パック2個程度)
  6. 家のやや重い仕事が困難(掃除機、布団の上げ下ろしなど)
 いずれか1つでもあてはまれば、ロコモの可能性があります。

 さあ、そんな人は、ロコモ予防のために、ロコトレを始めて、筋力やバランス能力を日頃から鍛えておきましょう。

  1. 開眼片足立ち:つかまる所を確保して、
       片足それぞれ1分間ずつ、1日3セット。
  2. スクワット:椅子から立ち上がり座る動
       作を1セット5〜6回、これを1日3セット。
 その他、ストレッチ、ウォーキングなど無理のない範囲で身体を動かすようにしましょう。

 不明な点・詳細については、整形外科外来で、お聞き頂ければと思います。


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