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病院広報誌

緑のひろば

2011年5月号

大腸癌

外科 塩入 利一


今月は私達外科で治療を行っている病気のうち、大腸癌についてのお話をします。

癌にかかる人は年々増加しており、日本人のおよそ2人に1人が癌にかかるといわれています。私達外科では全身の癌のなかでも、頚部の甲状腺癌や胸部の肺癌・乳癌、胃腸や肝臓・胆嚢・膵臓などの消化器癌などさまざまな癌の治療を行っています。

今回お話しをする大腸癌は、肺癌や乳癌とともに増加傾向の大きな癌で、男性では肺癌に次いで二番目、女性でも乳癌に次いで二番目に多い癌と推定されています。

大腸は小腸から続く消化管で、水分の吸収や便の貯留などの役割を果たしています。大腸癌は場所や性質などから大きく結腸癌と直腸癌に分類されています。さらに結腸は盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸に分類され、大腸癌のなかでは直腸癌とS状結腸癌が頻度の高い癌です。

大腸癌はどんなことを契機に発見されることが多いでしょうか?

ひとつは大腸癌検診で行う便潜血反応検査で異常が見つかり、大腸内視鏡検査などで大腸癌が発見されることがあります。初期の段階では症状はあまりみられませんが、進行してくると便に血が混ざったり、便秘気味になるなどの症状がみられることがあります。痔と思っていたら癌ができていたということもありますので、気になる症状がある方は是非ご相談ください。

もし大腸癌が見つかった場合どのような治療を行うのでしょうか?

大腸癌の治療は手術などによって癌をすべて切除することが基本ですが、病気の進行具合などによって治療法も変わります。特に初期の段階では、肛門から挿入した内視鏡を使用して、大腸の内側から癌を切除する内視鏡的治療も行うこともできます。
初期の段階から進行してくると、癌が大腸の壁に潜り込んだり、大腸の周りのリンパ節へ転移をすることがあるため、内視鏡的治療では不十分な治療となってしまいます。この段階では、大腸癌の部分を含めてある程度の長さの大腸と周囲のリンパ節を同時に切除する、いわゆる外科的な手術が必要となります。

こうした外科的な手術治療としては、当科では従来から行われている開腹手術に加えて、部位や進行度に応じて、小さな傷から腹腔内へ器具を挿入して癌を切除する腹腔鏡下手術も行っています。腹腔鏡下手術については、2009年9月号の「病気の話」も参考にしていただけると思いますが、開腹手術と比較して傷が小さいために、手術後の痛みが少ないことなどが利点です。

大腸癌は多くの場合は上記のような手術治療で治すことができます。しかし、発見が遅くなったり、進行が早い癌の場合には、肝臓や肺などほかの場所に転移をすることがあります。転移の状態によっては、手術で切除することにより癌を治すことが可能な場合もありますが、手術だけでは治療が難しい場合は、抗癌剤や放射線などの治療も行っています。

抗癌剤というと副作用がつらい・あまり効果がないなどのイメージをお持ちのかたもいらっしゃるかと思います。しかし最近では様々な新しい抗癌剤が開発され、以前と比べて高い効果が認められています。また副作用もいろいろな方法で対処が可能となってきています。

大腸癌は消化器癌のなかでも比較的治りやすい癌です。早期発見と共に、きちんとした治療を受けていただくことが大切です。気になることや良くわからないことなどがありましたら、外科までご相談ください。  


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