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2011年4月号
変形性膝関節症
整形外科 松山 賢哉
歩いたり動いたりした時の膝の慢性的な痛み、膝の変形にお悩みの方はいらっしゃいますか?
老化と決めつけて諦めないで下さい!
適切な治療を行うことで、日常生活をより快適に過ごすことができるようになります。
膝が痛む原因はいろいろありますが、多くの方は『変形性膝関節症』と呼ばれる膝関節の軟骨の磨耗や、半月板や靭帯といった関節の中の軟部組織を傷めることが原因で発症します。
変形性膝関節症が進行すると、膝関節の痛みだけでなく、膝が腫れたり、関節液が溜まったり、変形したり、膝の動きも悪くなります。
皆さんの周りの方にもいらっしゃるかもしれませんが、「水が溜まる」、「O脚」等と言われる症状です。
ただの老化と思って放置していると、変形や痛みのため歩行困難になってしまうことがありますので、ぜひ、適切な治療をしましょう。
治療について
@大腿四頭筋訓練(太ももの筋肉の訓練)
膝には大腿四頭筋のいう膝を伸ばす筋肉がありますが、この筋肉のトレーニングが重要です。ひとつは、寝た姿勢で膝の下に枕を入れて、5秒程度、枕をつぶすようにじんわり力を入れる運動です。
もうひとつは、仰向けに寝て、片方の膝を伸ばしたままでゆっくり膝を上げて、床から10cmの高さのところで5秒間、足を静止する運動です。
それぞれ20回1セットとし1日に3セット、行いましょう。地道なリハビリですが、もっとも大切なトレーニングです。
A痛み止めの薬や湿布
いわゆる「お薬」です。今は痛み止めの薬や湿布もさまざな種類がありますので、患者様それぞれの症状に合わせて処方することができます。
B膝関節注射
「ヒアルロン酸」を関節内に注射する治療です。「ヒアルロン酸」を注射することで、関節軟骨を保護したり、関節内の炎症を抑制をすることで、痛みを和らげる効果が期待できます。
C膝関節鏡手術
骨の変形が軽度で、半月板の損傷による膝の痛みの方には、膝の中にカメラを入れて痛んだ部分を切除する処置があります。
通常、5o程度の傷が2ヵ所で行えるため、体にも負担がかかりにくい手術で、入院期間も短くて済みます。
当院で数多く行っている手術のひとつです。
D人工膝関節全置換術
骨の変形が著しく、薬や注射やリハビリで効果がない場合、人工の金属を入れる手術が必要になる場合もあります。
痛みのために歩行が困難だった方も、手術をすることで痛みもなくなり、歩行も可能になって、日常生活も快適になります。
この手術も当院で数多く行っている手術のひとつです。当院では、熟練したリハビリスタッフが術後のリハビリも丁寧に行っています。そのため、通院のリハビリが必要ない程度まで回復して退院することが可能です。
以上が膝の痛みに対する主な治療です。その病態や程度、治療方針は患者様によりさまざまです。適切な時期に適切な診断をして、適切な治療をすることが大切になります。
膝の痛みについてお悩みの方は、ぜひ、整形外科を受診されることをおすすめします。