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病気のはなし

夏に流行するこどもの感染症

小児科 板野 稔子
(緑のひろば 2008年6月号掲載)


これから梅雨が来て、本格的な夏が到来します。季節が変わるにつれ、こどもの間で流行する感染症も変わっていきます。冬は細菌感染が多く、夏はウイルス感染が増えます。夏の感染症の代表的なものを説明したいと思います。いずれも手洗い・うがいで予防できますので、しっかり行うことが大切です。

(1)プール熱(咽頭結膜熱)
アデノウイルスの感染です。夏、プールが盛んな時期に感染することが多いため、「プール熱」と名付けられています。感染している人の唾液や鼻水などの気道分泌物からうつります。高熱・咽頭痛・眼球結膜充血などの症状が出ます。熱は持続日数が長くなりがちで、のども痛くなるため、水分や食事を摂りにくくなってしまうことがあります。症状と流行状況から診断できます。のどの粘膜を取って検査することができます。潜伏期間は5〜7日です。抗生物質は効かず、対症療法として解熱剤や点眼薬の投与、水分が摂れない場合は点滴を行ったりします。

(2)ヘルパンギーナ
コクサッキーウイルスやエンテロウイルスの感染です。感染経路は、ウイルスの空気感染か、便中のウイルスの経口感染です。感染力は急性期に最も強いですが、便中には2〜4週ほどウイルスが排泄されているため感染源になります。のどの粘膜に水疱ができ、潰瘍ができることもあります。痛いため、ものを飲みにくくなってしまいます。乳幼児だとよだれが増えることもあります。発熱も伴うことがあります。流行状況と症状から診断できます。潜伏期間は2〜7日で、全経過は3〜7日くらいです。特別な治療方法はなく、対症療法で様子をみます。

(3)手足口病
ヘルパンギーナと同様、コクサッキーウイルス・エンテロウイルスの感染です。
感染している人の咽頭分泌物からの空気感染か、便中のウイルスの経口感染です。
その名前の通り、手の平や指・足の裏・口の中に小さな水疱ができる病気です。乳児はおしりにもみられることがあります。発疹は時にかゆみを伴います。口の中の発疹は痛みを伴うことがあるため、口から水分や食事を摂れなくなることもあります。発症初期に微熱が出る症例もみられます。今、マスコミで、中国での流行と銃症例について報道されていますが、日本では死亡例の報告は今までほとんどありません。それは、中国で流行しているウイルスと、日本のウイルスとの型が違うからです。流行状況と症状から診断できます。潜伏期間は2〜7日くらいで、全経過は1週間程度です。咽頭結膜熱やヘルパンギーナと同じように、特別な治療方法はなく、対症療法で様子を見ます。経口摂取ができず脱水の症状が出た時には、点滴をすることもあります。


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